「非公開求人」ってそもそもなぜ非公開なんですか?
■ 記事作成日 2015/10/6 ■ 最終更新日 2015/10/6
医師紹介会社のサイトを見ていると、どこの企業も「非公開求人が沢山あります」と紋切り型のようなアピールをしています。そもそも、非公開求人って何故に非公開なのでしょうか?
お問合せありがとうございます。
非公開求人の存在って、確かに謎ですね。実は当研究所スタッフも、最初に医師紹介会社業界の調査を始めた時に感じたのが「非公開求人という存在の胡散臭さ」だったのです。
というのも、結局はその医師紹介会社が「沢山持っている」と主張する非公開求人の実数を、外部から客観的に確かめることは事実上不可能だと理解したからです。
それぞれの医師紹介会社が言うところの保有数を信じる他ありません。
もちろん、医師紹介会社が言うところの非公開求人数を全て疑っているわけではないのですが、「存在を確かめようがない亡霊のような数字」とも言えそうな非公開求人数を、諸手を上げて有難がるのも随分とおめでたい話だと思いませんか?だから、あまりにも非公開求人数だけをプッシュする医師紹介会社に対して、ファーストインプレッションが「胡散臭い」と、我々は直感的に感じてしまったのです。
ひょっとして先生もそう感じられているのではありませんか?
もちろん、我々が取材を進めていくにつれて、しっかりとした医師紹介会社は非公開求人の数を一定以上保有していることもわかりました。また、医療機関との直接交渉が上手な医師紹介会社などは、元々存在しない求人内容でも、交渉の巧みさによって「求人を医療機関からその場で創りだしてしまう」という事も得意としています。非公開求人の全てが嘘ではありません。
一方、全く存在しもしない非公開求人数と、その具体的な求人内容まで(※過去に人気があった受付締切済み求人だったり、100%存在しない全くのデタラメ求人だったりします)作りこんで、恥も外聞もなく掲載しているダメ医師紹介会社も一定数存在している事を、我々は確認しています。
非公開求人の非公開性を悪用して、自分たちの姿を実際より大きく見せているなんてのは、「まるで悪徳不動産屋のような医師紹介会社」ですよね。先生にも気をつけていただきたいものです。
こういう不埒な医師紹介会社らが、業界の信用を失墜させたり、真面目に頑張っている医師紹介会社の努力を水泡に帰せしめているのは間違いありません。
でも、非公開求人の真実ってそんなもんなのです。
ですから、これをお読みになっている先生方が医師紹介会社とパートナーを組むときは、是非とも「非公開求人の数」だけに惑わされないで欲しいのです。医師紹介会社の実力は、やっぱり個別のコンサルタント自身の力にも大きく左右されてきます。
さて前置きが長くて恐縮です、ようやく本題です。
「何故、非公開求人は非公開なのか?」という理由ですが、上記のような実態と背景をもとに、私共は3つの理由が、先生への回答として当てはまるのではないかと考えます。
【理由その1】:医療機関側からの要請だから
求人掲載を発注する側の医療機関都合で、非公開としての取り扱いになることは良く有ります。新しく病院、病床を増やけれども、ライバル医院にあまり内情を知られたくなかったり、大学医局とのしがらみを気にしたり…という、先生の想像に難くない理由も然り。
はたまた、人間関係がどうも上手く行っていなかったり、リストラクチャリング含めて現在雇用調整を行っている医療機関等で、在籍している先生やナース、コメディカルスタッフの方々に、医師求人をかけている事自体を余り知られたくないケースなどですね。
これも非公開求人としてはよくあるパターンです。
【理由その2】:非公開求人はいくらでも創り出せるから
既に触れましたが、医療機関との交渉が上手な医師紹介会社においては、登録してくれた先生からヒアリングした就業ニーズに則って、いくらでも(といっても医師転職相場における常識の範囲内ですが)自由自在に就労条件を獲得してきます。彼らにとっては、非公開求人などいくらでも創り出せる存在であり、その数を云々という議論は、実は非常にナンセンス極まりないといえます。
年収に拘る先生ならば、年収2000万~もっと好条件を。お子様との時間を大切にしたい先生ならば、週4日勤務で宿直なしの求人を見事に要してきます。デキる医師紹介会社は先生のニーズをいとも簡単(?)に、医療機関から引っ張り出して見せます。
転職サポートの実際の現場では、このように先生の就労ニーズを如何に医療機関から引っ張り出してこれるのかが、コンサルタントの腕の見せどころなのです。
求人票内容のすべてが公開されている「吊るし」の求人(公開求人)ですが、その公開条件にとらわれてしまい、最初から公開条件に納得した先生からしか応募がありません。ですから、「吊るし」の公開求人ばかりを先生に奨めるコンサルタントは、間違いなく使えないダメ人間です。
このように、「非公開求人を創り出せる」となると、それこそどのような先生のどのような就労ニーズも(繰り返しますが、医師転職相場の常識範囲内であるならば)一旦は医師紹介会社が引き受けることができるのです。
ですので、事実上、非公開求人は無尽蔵に存在しており、「吊るし」の公開求人よりも医師紹介会社が活躍するべきフィールドであると言えそうです。だから声を大にして「非公開求人ありますよ」と宣伝するのです。
そして三番目…これが今回のキモですよ。
【理由その3】:非公開の方が医師紹介会社にとって都合がいいから
まずなにより、「非公開」という響きが、より多くの先生を魅了するため、登録者が増える傾向にあります。
隠された情報があれば知りたくなるのは人情です。「本当に条件のいい求人は非公開求人にしかないのですよ」と医師紹介会社から言われれば、医師の皆さんとしては「そういうもんだよな」と疑問を挟む余地もなく、なんとなく納得してしまいがちです。非公開求人を見たければ、すぐ登録をしてね!というわけです。
これだけならまだしも、先にお話したように「非公開求人」という妖しい響きを悪用して、持ってもいない求人をさも持っているかのように振舞っているC級医師紹介会社があるわけです(特に地方に多い!)。
どうせ外部からは確認することも出来ない亡霊のような数字が非公開求人数です。
このブラックボックス化された求人を巧みに悪用する企業があるということだけは覚えておいてくださいね。要は、真面目に営業するにせよ、悪用するにせよ、医師紹介会社の営業戦略として、求人は吊るしの公開求人より非公開求人の方が、業務上遥かに都合がいいのです。
とかいいつつ、当研究所でも非公開求人の保有数をランク付けしたりしていますのでね。。。あまり腐すこともできないのです(※大人の事情)。
ご参考まで。
この記事を書いた人
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