良い求人(票)の見極め方を知りたい
■ 記事作成日 2015/10/9 ■ 最終更新日 2015/10/9
40代の脳神経外科医です。これまで仕事一筋で突っ走ってきましたが、自らの体力的にも限界が見え始めていたところに、自分の人生を振り返って、家族との時間を如何に過ごすことが出来なかったか…非常に罪悪感を感じています。そこで、もっと自分自身のQOLを高める事ができる職場に転職を考えているのですが、どの求人票を見ても「都合のいいこと」しかかいていないのではないか?という疑念にかられています。
特に自分自身、疑い深い方というわけではないのですが、何せ私は初めての転職ですので、求人(票)の良し悪しを判断するための基準をいまいち持ち合わせていないなあと感じています。
よろしければ、(同じような条件でも)良い求人、悪い求人、それぞれを求人票から」見抜く方法があればご教示いただけませんでしょうか?宜しくご検討くださいませ。
お問合せありがとうございます。
求人票の多くは医師紹介会社が医療機関からのヒアリングを基に作成し、掲載されていることがほとんどです。したがって、求人票から見て取れる医療機関の良し悪しなのですが、医師紹介会社担当者のヒアリング能力にも大きく左右されることがあるのは言うまでもありません。
しかし、「良し悪しは紹介会社次第」というご回答ではなんとも味気ないですから、そういった医師紹介会社担当者のヒアリング能力、求人票作成能力に関しては一旦触れずにおいて、医師の先生がどういうポイントを確認すべきかについてを簡単にご回答させて頂きます。
実は求人票の診療科、地域、職責(役付きかそうでないか等)によっても変化するところもありますが、求人票を見る際、そしてそれを元に面談に進む際において、共通的にいえるのは下記の3つを少なくともチェックして欲しいです。
1.【医師募集の背景】
医療機関が求人を募集する裏側には、当然その理由=背景があります。新施設や新たな診療科が立ち上がるから新たに医師が必要なのか、増床なのか、突然の離職者がでたのか、はたまた前任者のトラブルによる解雇やリストラクチャリングの穴埋めというケースもあり得ます。
こういった背景を求人票にしっかり記載されている例は多くはないものの、一部の誠実な医師紹介会社は、医療機関の求人背景については相当なボリュームを割いて記述する方針を取っています(エムステージ(旧メディカルステージ)等)。
全国規模の医師紹介会社では、互いに求人募集が重なっていることも珍しくないため、Aという医師紹介会社の求人票で良い案件を見つけたけれども、記載内容から求人募集まで汲み取れない…という場合は、先に触れたような、求人背景をきっちり書き込む「Bという別の医師紹介会社」にダブルチェックをしてもらい、その背景を汲み取っていくという方法が有効でしょう。
2.【就労条件の継続性】
当直なし、オンコールなし…就業当初に提示されていた就労条件が、いざ転職をしてみると「現場の事情」によってなし崩し的に反故されてしまうケースが散見します。
求人票に記載されている条件の雇用契約書への記載はもちろん、ひとつひとつ面談時に口頭でも確認を取り、継続的に条件が守られていく旨をしっかりと確認していくことが重要になってきます。雇用契約書への記載などは、医師紹介会社担当者を通じてチェックしてもらうと便利です。
3.【相場感から外れた良い条件には注意】
特に年収がらみのお話が多いのですが、やはり、年収が2000万やそれ以上といった好条件の求人は、それに対価となる労働強度が非常に高いケースがほとんどです。楽な仕事で高い給与という夢の様な案件は、医師求人の世界とはいえ、ほとんど存在しないのが実際のところです。
相場から外れたような極端に良い条件の求人は、それと対価にどのような業務強度を強いられるのかなどをしっかり見極める必要があります。この点は、求人表を実際に作成した医師紹介会社に、素直な意見を伺ってみるべきでしょう。
しっかりとしたコンサルタントなら、こういった極端に条件のよい求人に潜んでる事実を、事前にしっかりと説明してくれます。逆に、なにか隠すような素振りや「なんとなくおかしいな」という雰囲気を感じたら要注意です。こういうときにピンとくる直感は、案外バカにできないものでして…往々にして、はっきりと先生にはお話できない「しんどい業務」が待ち受けている可能性があるのものです。
もちろん、そういった条件を納得の上で、その就業先に転職する意思がある場合は問題はありません。対価として多額の収入を得られる(だろう)ので、双方WinWinですね。
ご参考まで。
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