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2018年春、第7次保健医療計画スタート

第7次保健医療計画

■作成日 2018/5/7 ■更新日 2018/5/7

 

2018年4月から、各都道府県の保健医療計画が「第7次保健医療計画」になりました。

 

昨年度までは、保健医療計画からみた都道府県の姿として、医療機能の整備の状況、病床数の状況、医師確保対策などについてお伝えしてきましたが、今回からは、各都道府県の「第7次保健医療計画」のポイントや、今後期待される医療体制の整備目標、さらなる医師確保対策などについて、お伝えしていきたいと思います。


法改正と連動する医療計画

現在、各都道府県が策定している「医療計画」は、国が定める制度です。

 

これを管轄しているのは厚生労働省であり、改訂の時期には必要に応じて法改正なども行われています。第7次の改訂に際し、やはり今回もいくつかの省令等の改正が行われました。

 

  1. 医療提供体制の確保に関する基本方針の一部を改正する件(平成29年厚生労働省告示第88号)
  2. 医療法施行規則の一部を改正する省令(平成29年厚生労働省令第27号)
  3. 医療法第三十条の四第二項第十一号に規定する療養病床及び一般病床に係る基準病床数の算定に使用する数値等の一部を改正する件(平成29年厚生労働省告示第89号)

 

まず1.についてですが、今回の改正で変わったこととして、疾患の呼び方があります。第6次の医療計画まで使われていた「5疾患」とは、「がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患」でしたが、このうちの急性心筋梗塞が「心筋梗塞等の心血管疾患」に改められました。

 

また、今回の改正でポイントの一つに、改正時期の変更もあります。
第6次までは5年毎の改訂でしたが、第7次からは6年毎の改訂になりました(理由は後述します)。

 

その他、精神疾患に関連するものとして、在宅医療との連携を深めることや、災害派遣精神医療チーム(DPAT)の整備状況、救急搬送における救急医療用ヘリを利用した救急医療体制なども、盛り込まれることになります。

 

次の2.では、診療所の病床数に関連する事項が定められています。在宅医療の提供の推進のために必要な診療所、へき地に設置される診療所などについて、「療養病床又は一般病床の設置については、都道府県医療審議会の意見を聴いて、都道府県知事が必要と認める場合は、都道府県知事への許可申請の代わりに届出により病床が設置されることになる。」とあります。

 

許可申請の代わりに届出により、というのは変わらないのですが、その前に「都道府県医療審議会の意見を聴いて」というのがあります。

 

つまり、「ベッド数を増やす(減らす)のでよろしく」と届出をする前に、都道府県の医療審議会のご意見を伺わなくてはならない、ということです。

 

次の3.については、基準病床数の算定に関する事柄です。
具体的には

 

  • 「性別及び年齢階級別の長期療養入院・入所需要率」を「性別及び年齢階級別の療養病床入院受療率」に変更することに伴う改正
  • 地方ブロックの性別及び年齢階級別一般病床退院率の改正
  • 療養病床及び一般病床に係る病床利用率の改正
  • 平均在院日数の改正

 

等の改正が行われています。つまり、基準病床数を決める際に、考慮する数値が変わるということです。

 

では、これまでの医療計画に関する、大まかな流れを見ていきます。

 

第7次保健医療計画

 

このように、「医療計画の改訂」は基本的に、医療法の改正と連動しています。医療法自体は第二次世界大戦後まもなくの頃に成立した法律なので、時代の流れや社会の変革に応じて、改正されることになります。

 

医療計画の改訂はこれと連動していますが、医療法の第一次改正の時に「医療計画制度を導入」することになったきっかけの一つには、病床数の急激な増加や、それに伴う医療機能の偏在が社会問題化したことがあります。

 

「国が全国の病床数や医療機能を適切に配置するのは難しいので、地域の実情に合わせて、都道府県ごとに取りまとめることとする」ということです。

 

2018年は、惑星直列の年

 

先ほど、「第7次からは6年毎の改訂になりました(理由は後述します)。」と記しましたが、この理由には、医療と介護との連携というキーワードがあります。

 

平成12年(2000年)に介護保険制度がスタートしましたが、介護の分野にも医療と同様に「介護保険事業(支援)計画」というものがあります。

 

これは、介護サービスの拡充、地域支援事業による在宅医療・介護連携、地域ケア会議、認知症施策、生活支援・介護予防等の推進などが示された、都道府県が作成する「計画」です。

 

こちらは3年ごとに改訂がなされることになっていますが、2018年は医療計画と介護保険事業(支援)計画が、同時改正される年です。

 

日本には現在、2025年問題と呼ばれる社会的な問題がありますが、これの解決に向けた政策を取るならば、医療と介護を切り離すことはできません。ましてや「在宅医療の推進」を国の方針として掲げているならば、尚更です。

 

従って、医療計画と介護保険事業(支援)計画の改正のタイミングがずれてしまうことが無いよう、今回の「第7次医療計画」からは、6年毎見直しへと変更されました。

 

2018年はさらに、診療報酬の改訂と介護報酬の同時改定も行われました。診療報酬は2年毎、介護報酬は3年ごとに改訂されてきましたが、2018年はちょうど、この2つの同時改訂の時期でもあります。

 

つまり、2018年4月は、医療と介護に関するさまざまな事柄が、大きく変化するタイミングだったのです。

 

それからもう一つ、都道府県が独自で定めるべき事柄として「地域医療構想」というものがあります。これは至極簡単にいえば「医療と介護をどう連携させていくのか」についてまとめられたものです。これについても、2018年4月のタイミングでの改訂が行われています。

 

このように、医療と介護にまつわるさまざまな事柄が大きく動くことから、2018年は「惑星直列の年」とも言われています。

 

実際の医療計画、何がどう変わったか

 

各都道府県のWebサイトには、第7次医療計画が公開されていますが、一部の都道府県ではまだ、パブリックコメントを集めるための「案」や「素案」のままのところもあります。2018年4月27日現在での状況を整理してみました。

 

第7次保健医療計画からみる都道府県と医師の姿

 

2018年4月27日現在では、3つの都道府県で「案」または「素案」が公開されていますが、すでにパブリックコメントは締め切られていますので、近日中には正式な「第7次医療計画」が公開されることでしょう。

 

試しに、いくつかの都道府県のものを確認してみたところ、全体的な傾向として、以下のような事柄が記されているようです。

 

  • 医師の偏在を是正する方向へと大きく舵を切る
  • 在宅医療に関する計画の義務化
  • 同時期に改定する地域医療構想や改訂介護保健法と保健医療計画の関係
  • 都道府県知事の裁量権拡大

 

ところで、2018年3月に、「医師の地域偏在の是正策を柱とした医療法と医師法の改正案を閣議決定した」というニュースがありました。今回の医療計画の改訂において「医師の偏在を是正する方向へと大きく舵を切る」ようになっているのは、こうした法改正も影響しているのでしょう。

 

第7次保健医療計画からみる都道府県と医師の姿

出典:毎日新聞

 

昨年度末まで2年に渡り、当コラムにて全国の医療状況等についてお伝えしてきましたが、全国ほぼすべての都道府県で「医師の偏在」「医療機能の偏在」が地域としての課題として取り上げられていました。

 

今回の法改正により、各都道府県ではこれまで以上に、地域医療に関わる医師を確保していく必要性に駆られることになります。第7次の医療計画の中では、こうした課題や対策が、如実に現れているように思われます。

 

まとめ - 医師の人生を決める、働き方とは?

第7次保健医療計画

 

現在の日本の状況、やがて来る2025年問題などを加味すると、全国の各地域、特に県庁所在地以外の都道府県の中心地から離れた地域では、医療機能不足、医師不足、看護師不足などのさまざまな課題を、をどのように解消するかが、喫緊の大きな課題になっています。

 

その根底にあるのはやはり少子高齢化の進行です。

 

これは医療業界以外でも働き手不足、高齢者1人を支える人数の激減など、喫緊の課題となっています。現在は「働き方改革」と称した、大きな政策改革の真っただ中にあり、今のところは「医療者の働き方」への言及はなされていませんが、近い将来にはこうした観点からも、「医師としての働き方」を考える時が来ます。

 

当コラムでは今後、第7次保健医療計画を元に、一定の地域の中では、どのような医療情勢、医療体制へと変化しているのか、第6次医療計画との差分がどこにあるかなどをまとめ、その中での医師確保対策や、地方で必要とされる医師像などについて、お伝えしていきたいと思います。

 

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保健医療計画の概要とその資料の見方|医師紹介会社研究所

 

参考資料

 

厚生労働省 第51回社会保障審議会医療部会 資料1-1
第7次医療計画について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000162891.pdf

 

厚生労働省 医療計画及び介護保険事業(支援)計画の整合的な策定について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000176776.pdf

 

厚生労働省 第1回医療計画の見直し等に関する検討会 平成28年5月20日
医療計画の概要について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000124780.pdf

 

厚生労働省 第9回医療計画の見直し等に関する検討会 参考資料2-3
医療法第30条の4第2項第11号に規定する療養病床及び一般病床に係る
基準病床数の算定に使用する数値等の一部を改正する件(案)について(概要)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000151980.pdf

 

医政地発0331第4号 「特定の病床等の特例の事務の取扱について」の一部改正について
https://www.nisseikyo.or.jp/images/news/gyousei/2017/170403/170403-12.pdf

 

医政発0331第57号 平成29年3月31日 医療計画について
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000159901.pdf

 

毎日新聞 医療法改正案 閣議決定 医師の地域偏在を是正へ
https://mainichi.jp/articles/20180314/k00/00m/010/103000c

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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