常勤医師年収差は就業先の組織形態で差
転職先の決定には様々な要因があります。ある医師は労働環境、ある医師は人間関係、ある医師は年収など、その要因は転職する先生それぞれの心の奥に個別に存在しますし、厳密に言えば全く同じ理由で転職する人というのも少ないものです。
例えば、現在の年収に悩む医師も、具体的にいくらの年収を必要としているかなどは個人個人で異なります。今回は参考までに、転職先の組織形態(個人病院、医療法人)および職種(医師、院長等)による平均給与の差について触れてみますので、常勤医師の方は転職先決定の際に参考にしてみてください。
一般病院(医療法人の場合)の職種別平均給与
医師の年収は、厚生労働省の中央社会保険医療協議会による医療経済実態調査(医療機関等調査)に詳しい。ここから、組織形態別、職種別に年収一覧表をピックアップしましたので参考にして、ご自身の転職先候補を考える際の基礎資料にしてみてはいかがでしょうか。
尚、参考までに看護師、薬剤師、医療技術職等のコメディカルや歯科医師の年収についても目を通されたい。
※平成24年平均年収データを参照
項目名1 | 平均給与/年 | 賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
病院長 | 30,551,052 | 426,578 | 30,977,630 |
医師 | 15,067,637 | 829,212 | 15,896,848 |
歯科医師 | 9,114,221 | 719,694 | 9,833,916 |
薬剤師 | 4,242,214 | 821,765 | 5,063,978 |
看護職員 | 3,624,913 | 769,854 | 4,394,766 |
医療技術員 | 3,285,035 | 724,752 | 4,009,787 |
(注1)「看護職員」とは、保健師、助産師、看護師、准看護師。
(注2)「医療技術員」とは、診療放射線技師、臨床検査技師、栄養士、理学療法士、作業療法士など医療に関わる専門技術員(歯科衛生士及び歯科技工士は除く)。
(注3)合計数値と内訳数値は、四捨五入の関係で合致しない場合あり。
一般病院(国立病院の場合)の職種別平均給与
国立病院は一般の医療法人に比べて、給与は少ないものの賞与で年収を補う傾向があります。一般医師の年収は1500万弱とほとんど医療法人と代わり魔炎が、院長職になるとその年収は2000万円弱であり、3000万円を超える医療法人の院長職と比べると相当年収には差が有ることがよくわかります。
項目名1 | 平均給与/年 | 賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
病院長 | 14,259,645 | 5,384,686 | 19,644,330 |
医師 | 12,183,280 | 2,728,633 | 14,911,913 |
歯科医師 | 10,083,976 | 2,247,167 | 12,331,143 |
薬剤師 | 4,821,224 | 1,397,594 | 6,218,818 |
看護職員 | 3,998,378 | 1,085,812 | 5,084,190 |
医療技術員 | 4,505,157 | 1,271,963 | 5,777,121 |
一般病院(公立病院の場合)の職種別平均給与
公立病院の場合、医療法人よりも国立病院に近い給与体系になっています。やはり基本亭な給与は抑え気味にしつつ、賞与で年収を補填しているのが見て取れますが、医師給与に関しては国立病院よりも25万円ほど年収が高い状況ですね。病院長職においては、国立病院より100万円も年収が高くなっています。
項目名1 | 平均給与/年 | 賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
病院長 | 17,212,993 | 3,489,879 | 20,702,872 |
医師 | 12,969,669 | 2,197,737 | 15,167,406 |
歯科医師 | 11,688,238 | 2,226,721 | 13,914,960 |
薬剤師 | 4,802,877 | 1,303,246 | 6,106,123 |
看護職員 | 4,233,554 | 1,152,718 | 5,386,271 |
医療技術員 | 4,435,043 | 1,238,611 | 5,673,655 |
一般診療所(医療法人の場合)の職種別平均給与
医療法人が経営する一般診療所の職種別平均給与は以下のとおりになっています。病院長の年収がかなり高いにも関わらず、医師の年収が引くのが特徴ですね。やはり経営者(=病院長)が自身の取り分を多くし、経費としての人件費を削減する傾向にあるからでしょう。
項目名1 | 平均給与/年 | 賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
病院長 | 27,783,258 | 90,477 | 27,873,734 |
医師 | 13,157,145 | 197,941 | 13,355,085 |
薬剤師 | 6,942,518 | 488,962 | 7,431,480 |
看護職員 | 2,900,610 | 579,152 | 3,479,762 |
医療技術員 | 3,108,040 | 575,384 | 3,683,424 |
一般診療所(個人の場合)の職種別平均給与
個人経営の医院は院長の報酬が公開されておりません。一般医師の給与はやはり他の組織形態から比べて100万円程低めになっています。
項目名1 | 平均給与/年 | 賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
病院長 | データなし | データなし | データなし |
医師 | 11,438,897 | 2,006,620 | 13,445,517 |
薬剤師 | 6,133,040 | 1,752,322 | 7,885,361 |
看護職員 | 2,963,008 | 589,591 | 3,552,600 |
医療技術員 | 3,585,628 | 733,221 | 4,318,849 |
一般医師の給与のみで比較
組織形態 | 平均給与/年 | 賞与 | 平均年収 |
---|---|---|---|
一般病院 |
15,067,637 | 829,212 | 15,896,848 |
一般病院 |
12,183,280 | 2,728,633 | 14,911,913 |
一般病院 |
12,969,669 | 2,197,737 | 15,167,406 |
一般診療所 |
13,157,145 | 197,941 | 13,355,085 |
一般診療所 |
11,438,897 | 2,006,620 | 13,445,517 |
ここまでの表を「一般医師」の給与のみで相互比較してみると上記のようになります。平均年収の最高額は一般病院(医療法人)に務める医師で、15,896,848円。最低は一般診療所(医療法人)に務める医師で13,355,085円となり、その差は255万円近くにもなっています。
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