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医師の個人情報を持ちだした元SEが逮捕

医師個人情報持ち出し事件(不正競争防止法事件)

 

■ 記事作成日 2014/10/16 ■ 最終更新日 2017/12/6

 

※2015/1/28追記 【重要】

 

当ページで紹介した不正競争防止法事件について、大きな進展があったことが確認できました。結果として、(元)容疑者M氏には不起訴という処分が下されました。警察としては十分勝算があった上で逮捕に踏み切った当事件でしょうが、一体何故このような結末に至ったのでしょうか。

 

当研究所ではこの事件について、詳細を取材中であり、元容疑者M氏から直接事の経緯についてお話を聞ける機会を得ました。

 

医師個人情報流出、逮捕と不起訴、MRT、iDoctor…一連の関連と事実についての取材は、後日、掲載予定です。

 

元勤務していた医師紹介会社(MRT 株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー)から医師および看護師の個人情報盗みだしたSEの男が、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)の疑いで逮捕されました。その数なんと1万7千人分!驚いたことに、このSEの男は盗みだした医師らの個人情報を元に、新たに医師紹介会社を設立するのに関わっていたというのだから許しがたい行為です。そして、逮捕されたこの男が持ちだした医師の個人情報を使用して新たに設立された会社が、東京都渋谷区の「株式会社iDoctor(アイドクター)」でした。

 

弁護士、医師でもあり、日本維新の会に党籍を置く形で新潟選挙区にて国政にも出馬した経歴(結果は落選)を持つ、異色の経営者とも言える「iDoctor(アイドクター)」社長の米山隆一氏は元MRTの代表取締役を経験しています

 

元MRT社員が盗んだ医師個人情報を、元MRT社長が新たに立ち上げた医師紹介会社にて悪用され、刑事事件にまで至った。何か特別因縁めいたものを感じるのは我々だけでしょうか?近年、個人情報流出事件が後を絶たず世間を騒がせる中、医師紹介会社業界でも決定的といえるような業界の信頼失墜事件が起きてしまいました。

 

今後の捜査の進展を待って、盗みとった個人情報を利用していた「株式会社iDoctor(アイドクター)」、そして、(被害者とはいえ)十二分に厳重管理をするべきだった医師個人情報流出を招いてしまったMRT(株式会社メディカルリサーチアンドテクノロジー)双方に対する当研究所の評価についても、再考しなければならない可能性が出ております。

 

事件続報や当研究所と個人的に親交のある記者を通じ、わかった情報からこちらに随時追記掲載をしていく予定です。尚、「iDoctor(アイドクター)」には家宅捜索が入っており、MRTから盗まれた個人情報と同じデータが警視庁により社内データベースから発見されているとのことです。会社ぐるみでの犯行などの可能性はあるのでしょうか?

 

続報が待たれます。


報道された記事

元SEの男逮捕=医師らの個人情報複製―営業秘密取得容疑・警視庁

 

勤務先の人材紹介会社から、医師らの氏名や生年月日などの個人情報を不正に取得したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は14日、元システムエンジニア(SE)のM氏(※容疑者不起訴により伏字にしました)=東京都日野市豊田=を不正競争防止法違反(営業秘密の複製)容疑で逮捕した。不正取得した個人情報は約1万7000人分に上るとみられる。

 

同課によると、M氏は「弁護士が来るまで話せない」などと述べている。

 

逮捕容疑は2012年5月30日ごろ、不正な利益を得る目的で、当時勤務していた医療関係者の人材紹介会社「MRT」(新宿区)のサーバーにアクセスし、医師や看護師らの氏名、生年月日、メールアドレスなどの営業秘密を複製し、不正に取得した疑い。

 

M氏は12年1〜7月、MRTに勤務。その後、別の人材紹介会社(渋谷区)の設立に関与していた。サイバー犯罪対策課によると、MRTから不正に取得された個人情報の一部とみられるデータがこの会社から見つかっており、関連を調べている。

 

流出はMRTの内部調査で発覚。同社は12年9月に新宿署に相談し、同課が13年12月にM氏宅や渋谷区の人材紹介会社を家宅捜索していた。 
(2014年10月14日 時事通信社)

 

医師情報 持ち出し容疑 求人サイト 元従業員を逮捕 1万7000件か

 

勤務先から医師や看護師の情報を大量に持ち出したとして、警視庁は十四日、不正競争防止法違反(営業秘密の複製)の疑いで、医師向けの求人情報サイト運営会社「MRT(エム・アール・ティー)」(東京都新宿区)の元従業員、M氏=東京都日野市豊田=を逮捕した。

 

警視庁によると、M氏はMRTを退社後、同様のサイトを運営する「iDoctor(アイドクター)」(渋谷区)の設立にかかわったという。同社が保有する情報と、不正入手した情報に重複があり、警視庁は新会社のために持ち出した可能性があるとみて調べている。

 

逮捕容疑では、二〇一二年五月、MRTのデータベース(DB)にアクセスし、営業秘密に当たる登録医師などの個人情報を不正に複製し、入手したとされる。持ち出した情報は一万七千件に上るとみられ、住所や氏名、生年月日、学歴、勤務先も含まれていた。

 

MRTは転職先や医療関係のアルバイトの紹介などのサービスをしており、関係者によると、M氏は同年一月から、システム管理の担当者として勤務。DBにアクセスできる権限を利用し、医師などの情報を引き出した後、同年七月に退職した。

 

◆同業転職者や外部業者 絶えない情報流出

 

企業情報の流出事件が後を絶たない。同業他社への転職者や外部業者による情報の持ち出しが目につく。専門家はDBの管理や従業員教育の徹底など、漏えい対策の必要性を訴える。

 

今年三月、半導体メモリーの技術を転職先の韓国企業に漏らしたとして、東芝の提携先の元技術者が不正競争防止法違反容疑で逮捕された。二カ月後、日産自動車でも、販売計画を持ち出して他社に転職した元社員が逮捕された。

 

七月には、ベネッセコーポレーションの子どもを含む顧客情報約一千万件の流出事件で、警視庁が外部業者のシステムエンジニア(SE)を逮捕した。

 

今回は医師の求人情報が狙われた。最新技術はもとより、少子化や医師・看護師不足の中で、特に地方での医師のニーズは高く転職は頻繁。個人情報も価値は高い。

 

経済産業省が昨年発表したアンケート結果では、回答企業約三千社のうち13・5%が「過去五年間で営業秘密の漏えい(可能性も含む)があった」と答えた。明らかな漏えいがあった約二百社の半分以上で中途退職者が関与していた。

 

情報セキュリティ大学院大学の原田要之助教授は「正社員が前提の終身雇用制が崩れ、情報流出のリスクは増している。DBへのアクセスや外部媒体の持ち込みの日常的なチェックなど、企業は対策にコストをかけるべきだ」と指摘する。

 

不正競争防止法で、情報漏えいの罰則は、個人が懲役十年以下、罰金一千万円以下、法人が罰金三億円以下と定められている。

 

日本知的財産協会の久慈直登(なおと)専務理事は「外部業者を含め、営業秘密の取得が犯罪だという社内教育が必要。日本は米国と比べ罰金や懲役の上限が低く、罰則強化も考えていいのでは」と話す。 (北川成史)

 

<不正競争防止法> 業者間の公正な競争の確保や、関連する国際約束の実施が目的で制定された法律。製造ノウハウや顧客名簿、販売マニュアルを保護対象の「営業秘密」とし、不正な複製や開示を禁じている。違反すれば10年以下の懲役または1000万円以下の罰金、法人は3億円以下の罰金が科される。国内で管理されていた営業秘密を国外で開示した場合も処罰される。

 

(東京新聞 2014年10月14日 夕刊)

今後の医師紹介会社の対応

医師個人情報持ち出し事件(不正競争防止法事件)

 

正直、今回の事件を聞いて「これでまた医師紹介会社のモラルと情報管理体制が厳しく問われるだろう」と暗鬱な気持ちになりました。ニセ医者派遣問題など、医師紹介業において個人情報の管理体制は非常に重要な事業ファクターになっています。今後、同じような事件が起きないためにも、各医師紹介会社は、登録医師の情報管理について、今一度、考え直さなければならない時が来ていると思われます。

 

今回はとりあえず速報的な記事になっておりますが、今後入ってくる続報と共に、こちらのページで我々も情報発信を継続していく予定です。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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