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何故、ひとりよがりな求人サイトが多い?

医師求人検索システムの利便性問題

 

私が医師の求人、転職を支援する企業とそのサイトを研究していてつくづく思うことは、「何故に、こんなにもユーザー(医師)の利便性を無視した医師求人サイトを作りつづけるのだろうか」ということです。

 

現在、累計100社以上の医師求人転職支援サイトの詳細を研究してきていますが、医師の立場になったサービス(※)を提供しているのはほんの一握りの会社です。特に、転職や好条件アルバイト求人を探している医師にとって重要な「求人検索のシステム」と「サイト登録求人募集」について、なぜこだわりを持たない会社が多いのか、大いに疑問です。

 

せっかくですので、これまで医師求人転職サイト研究してきたなかで気づいた、低レベルな医師紹介サイト上で頻繁に遭遇する「どうしても気になる点」「許せない点」を幾つかご紹介していきましょう。

 

※この記事でいう「サービス」とは、「転職コンサルティング」という人的支援要素ではなく、あくまでもサイトそのものの使い勝手や検索システムを含めたユーザーインターフェースについてを意味します。


耐えられないUIの典型的パターン

医師求人検索システムの利便性問題

 

医師紹介会社のサイト上不具合において、どうしても我々が耐えられない典型的なパターンは下記の10項目です。細かいことを言うともっと多数あるのですが、1度でも求人募集を検索したことがある医師の方ならば、それぞれ共感できる部分があるのではないでしょうか。

 

一般職の求人検索システムをそのまま転用

 

医師専門ではなく、他の一般職(所謂、サラリーマンやOL)の人材紹介や派遣サービスを行ってきた会社が、新たに医師紹介業に乗り出した際などに見られるパターンです。

 

医師求人検索は「常勤」「非常勤(定期アルバイト)」「スポット(単発アルバイト)」のおおまかに3種に分けて、それぞれに異なる検索システムが必要になります。ところがこういった一般職転用サイトは、医師の方向けの求人情報を提供するはずなのに、何故か「正社員」「紹介予定派遣」「パート」といった言葉を絞込検索などでそのまま使う傾向があります。

 

医師求人検索システムの利便性問題

医師求人の絞り込みワードに「正社員」って…(クリックで拡大)

 

※画像は「医療人材ネット(メディアオンライン株式会社)」

 

ひどい場合は「初心者可!」のような、まるで学生向けアルバイト情報誌のような文言まで踊っているから驚きです。

 

医師ニーズの高い絞り込み項目がない

 

求人や転職をする医師の方々にとって、共通して興味のある就労条件や診療科目などがあります。常勤ならば「年収1800万円以上」「当直なし」だったり、非常勤ならば「産業医」「人間ドック・健診」だったりするわけですが、こういった医師からのニーズが高いワードで求人募集が絞込できないサイトが結構あります。フリーワード検索窓があればいいですが、それすらないサイトも珍しくなく、そういうサイトは使い勝手の悪さが際立ちます。

 

検索利便性にマッチしない選択システム

 

これは好みもあるのでしょうが、求人募集を検索する際には「地域(エリア)」、「診療科目」、「就労条件」など、それぞれの医師が持っている希望項目をあちこちチェックしたり選択したりする必要があり、コレが結構面倒くさいわけで・・・。できるだけ簡単に見やすユーザーインターフェース(UI)を整えて欲しいのです。

 

例えば、希望勤務地のエリアを選ぶ際などは、プルダウン選択形式のサイトは視認スペースが小さいので、とても使い勝手がよくないのです。

 

医師求人検索システムの利便性問題

 

エリア選択にプルダウンは使いづらい!

 

登録もないのに広範囲の都道府県検索

 

元々の求人募集が少ない東北、四国エリアや、医師紹介会社の組織規模や営業エリアが理由で対象外になっている場所についても、選択肢として表示しておくのは迷惑なだけです。

 

本当にそのエリアで求職が必要な医師にとっては検索するだけ時間の無駄ですから、案件登録が今後も見込めないエリアや絞込条件などは、トップで表示させなければいいだけです。無駄に営業全国制覇しているように見せたがる会社が多すぎます。

 

医師求人検索システムの利便性問題

求人がないエリアは最初から表示しなければよいのでは?

 

常勤、非常勤(定期)、スポットとごちゃまぜ

 

零細の医師紹介会社のサイトなどは、一発検索機能しか有しておらず、常勤、非常勤、スポットと案件のすべてがまとめてズラズラっとただ表示されることもあります。真剣に転職を考えている常勤求人のニーズと、できるだけラクで割のいいバイトを探す非常勤やスポットのニーズは全く別物なのに、混同させて表示するという神経がわかりません。如何に医師ユーザーのことを考えていないのかが透けて見えます。

 

求人検索自体できない

 

こんなの問題外ですが、こういう会社は結構存在します。最近、事業を始めた零細ベンチャーの医師紹介会社か、医療コンサル系の会社が片手まで始めたような紹介サービスでは、求人募集検索をシステムとして持っていないケースが珍しくありません。

 

連続検索がしづらい

 

医師求人募集の検索は、少しずつ条件を変えて何度か連続で行うのが普通のユーザーの使い方です。それを全く考慮せず、1回入力した内容を二回目以降もわざわざもう一度入力しなければならないなど、手間がかかる医師転職求人支援サイトのサイトは、それだけでゲンナリします。

 

無関係項目も検索結果に出てしまう

 

単純にデータベースが壊れているのかもしれませんが、医師求人とは無関係な求人募集がワラワラと紛れ込んでいるケースに時々出くわします。例えば、歯科医師求人や看護師求人など、医師求人とは無関係な結果が多数出てくると、それだけでユーザーとしてはイラツキ度がMAXになるのも当然です。

 

医師求人検索システムの利便性問題

「医師の求人」で検索しているんですけどね・・・

 

※画像は「アポプラスメディカルジョブ(アポプラスステーション株式会社)」

 

意味不明の絞り込み分類

 

他業種から参入仕立てて医療人材業界や医師に対する知識が極端にお粗末だったり、日本語が不自由だったりするのがバレバレになっています。ユーザー医師に対しても失礼きわまりないです。下記例では「派遣系(常勤ベース)」「コンタクト系」という意味不明な日本語が使用されています(コンタクトレンズ外来のことだと思いますが…「系」ってなんだか女子高生かラーメン屋みたいな文言ですね)

 

医師求人検索システムの利便性問題

 

※画像はドクタースクェア(株式会社ユニヴ)

 

求人募集の水増し/空求人問題

 

何年も前にとっくに募集の終わってしまった案件が検索結果に出てくることが、求職医師にとってなんの意味があるのでしょうか?単に医師転職求人支援会社の、自社サイトの保有求人募集を多く見せたいだけの求人数水増し/空求人工作でしか無いと思います。

 

医師求人検索システムの利便性問題

募集終了した案件も大量に検索結果に反映させて水増し/空求人する

 

※画像はFAドクター(株式会社ファズナ)

 

こういったフェイクを知らぬふりをして続けている会社は、最も私が嫌悪感を抱くタイプの医師紹介会社です。

 

 

以上、10項目の不満について述べてきました。

 

もう少し細かい話をすると、個別の求人募集の詳細には「高給求人募集」と目立つようにタグが付けられているにも関わらず、具体的な年収金額の絞込検索ができなかったり、「あと一歩なんとかならなかったの?」というか「隔靴掻痒」というか、片手落ちのサイトも結構有ります。なんだかなあという感じになりますね。

 

徹底的にユーザー利便性を追求した医師紹介会社のサイトは本当に少ないですね。


最低限持っていてほしい機能

医師求人検索システムの利便性問題

 

それではついでに、医師紹介会社のサイトで、私が個人的に「最低限機能として備わっていてほしいと思う項目」についても触れておこうと思います。

 

複数エリアの一括検索

 

独身の医師にとっては、必ずしも今いる都道府県で求職をしなくてもよいわけです。医師ご自身のライフスタイルも考慮して転職する方がほとんどなのですから、複数の候補エリアをまとめて検索できる機能は必須です。何度も何度も同じ検索作業をユーザーにさせないでくれっていう話です。

 

願わくば、DtoD・コンシェルジュ(総合メディカル株式会社)のように、自分が選んだ選択項目を色付きで反転させるなどすると見やすく使いやすくなるので、更に好印象です。

 

医師求人検索システムの利便性問題

求人検索時に選択項目が色付き反転され、且つ、自分の選んだ項目がチェック付きで表示されるので条件絞込がわかりやすく便利

 

ニーズの高い条件の絞り込みと使いやすいUI

 

「産業医」、「当直なし」、「年収○○○○万円以上」…医師の皆様からニーズが高い項目はある程度決まりきっています。だったらそれに沿った検索がトップページからダイレクトに楽ちんにできるように工夫をしておくべきですね。

 

常勤、非常勤、スポットの明確な区分け

 

理由はみなまで言う必要ありませんね。
根本的ニーズが違うのですから、検索上はっきり分けていただきたい。

 

情報掲載日・更新日

 

水増し/空求人問題にも関連しますが、古い求人情報と新しい求人情報をはっきりとわかりやすく区分けしてほしいのです。求職する医師にとって、募集の終わってしまった古い情報などなんの意味もないじゃないですか。

 

そのためには、情報の初掲載日と更新日を最初から明記しておくべきです。ここで医師紹介会社の「誠意」が見えます。

 

医師求人検索システムの利便性問題

掲載日・更新日の表示はそのサイトの良心バロメーター

 

※画像はエムスリーキャリアエージェント(エムスリーキャリア株式会社)

 

絞込項目ごとに登録案件数がひと目で分かる

 

エムスリーキャリアエージェントなどは、絞り込み項目の横に「カッコつき数字」で、それらの絞り込み項目の下にはいくつの求人募集が該当するのかを、検索絞込の前に確認することができます。こういった細やかな配慮こそが、本当にユーザー医師の手間を省き、気持ちよくサイトを使ってもらう「おもてなし」なのではないでしょうか。さすがです。

 

医師求人検索システムの利便性問題

どの項目も登録数がひと目でわかるので無駄な検索が不要となる

 

※画像はエムスリーキャリアエージェント(エムスリーキャリア株式会社)

 

非公開求人募集の数を明記

 

「登録しないと見れない非公開案件多数!」などと、なんの根拠もない非公開求人募集のアバウトな数を誇る会社が多いのですが、実際に保有している非公開求人募集数を公開しているところはとても少ないです。

 

そんなに自信があるならば、非公開求人の正確な数字を最初から表記すべきなのです。なぜそれをしないのでしょうか?エムスリーキャリアエージェントなどの一部の会社しかやっていません。

 

医師求人検索システムの利便性問題

非公開求人の数を最初から明記しておくべき

 

※画像はエムスリーキャリアエージェント(エムスリーキャリア株式会社)

 

非公開求人については、私は言いたいことがたくさんあるので別記事でいつかまとめましょう。でもほんのさわりだけ書かせて下さい。

 

正直言って、非公開求人についてはいくらでも嘘をつけるので本当に保有しているかどうかわからないきちんと非公開求人募集の保有数を公開している企業しか信頼出来ないといえます。

 

また、非公開求人募集数に自信がある程の営業力を持つならば、公開案件数もそれなりに持っているはずである。従って、公開求人数も少ないのに、とにかくひたすら登録をさせないと非公開求人募集を紹介しないというスタンスの会社はあまり信用しないほうがよいでしょう。

 

なぜならば、求人元の医療機関としては、自分のところの求人募集を、わざわざ非公開マターにする理由などほとんど存在しないから。条件の良い医師求人募集であればあるほど、公開求人にして多数の医師からアクセスと応募を受けて、優秀な人材に絞り込むほうが採用戦術上効率が良いといえます。


良質UIサイトの医師紹介会社程、人的サービスも一流である

医師求人検索システムの利便性問題

 

今回の記事はあくまで「ウェブサイト上」に限った不満と改善点を連ねてみましたが、不思議なことに、AA評価やAAA評価などの「人的コンサルティングレベルの高い医師紹介会社」は、それぞれのウェブサイトの出来もクオリティが大変高く、ユーザー医師に負担にならないようなユーザーインターフェースを徹底的に心がけています。

 

医師紹介会社のウェブの出来を見れば、その先にいる転職コンサルのレベルも推し量ることができるのですね。

 

「良質サイトの医師紹介会社」≒「良質マンパワーの会社」

 

という法則が成り立つことは、覚えておいて損はないことだと思います。

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします


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業界歴10年以上、全国10拠点展開の老舗企業メディカルステージでは、賞味期限の維持管理を徹底された保有求人数6000件以上を誇示する、常勤転職の「Dr.転職なび」に加えて、医師のニーズやご意向を中心に求人を組み立てて創りだすオーダーメイド型の求人サイト「AgentxMedicalStage」等を新たに展開。実際の業務量がわかる求人票の作成へのこだわりや、コンサルタント全員が医療経営士資格取得者として、能力担保を対外的に明示した転職サポーティング体制を打ち出している、高評価の医師転職支援会社です。

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