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医師紹介会社を使っている病院は56.7%

医師転職サイトの選び方 =No.1 医師転職市場と医師紹介会社業界の基本=

 

■ 記事作成日 2014/6/14 ■ 最終更新日 2017/12/6

 

少々古い記事で恐縮ですが、2011年の日経メディカル調査によると、「医師紹介会社を使っている病院は56.7%、手数料の相場は「年収の20%」である事がわかりました。

 

手数料の年収20%というのは、医師紹介会社を通じて医師を雇い入れた医療機関側が全額負担するものであるので、個々の医師には直接関係するものではありません(医師の給与等から手数料が支払われる事はないのが、医師紹介会社の大前提です)。

 

注目すべきは、半数以上の医療機関が医師紹介会社を何らかの形で利用しているということでしょう。医師紹介会社の使い方としては、1.「常勤医師枠の補充」 2.「スポット医師(単発アルバイト)枠の補充」 3.「定期アルバイト(非常勤)枠の補充」と3タイプのニーズに対する医師人材紹介が主なサービスとされています。

 

上記の日経メディカルによる調査は56.7%という数値でしたが、201年の現在はもっと高い利用率となっている可能性があるでしょう。

 

実際に、医療機関の医師紹介会社に対する依存度は大きくなっている傾向は肌感覚で強くなっていると感じられ、当研究所がインタビューした医師紹介会社幹部曰く、(不幸にして)常勤医師紹介にて、何かしらのトラブルが起きてしまい「出入り禁止」と医療機関に言われてしまっても、「単発バイトだけはそれとは別なので、引き続き、誰か紹介して欲しい」と言われたケースもあるそうです。

 

要はそれだけ医療機関の医師人材確保において、医師紹介会社を頼らざるをえないという現状が生まれてきているのでしょう。その理由は、(耳にタコができるほど聞かされたでしょう)相対的な医局の弱体化という原因が目立った主張ですが、実はそれ以外にも、医師紹介会社が頼りにされる事情が複数存在しています。

 

 

更に医師紹介会社利用率は高まる可能性

 

医師の皆様なら御存知の通り、2004年の医師臨床研修制度におけるマッチング・システムの煽りを受ける形で、歴史的に各大学が慣習的に担ってきた医師派遣制度の弱体化を補完すべく、自治体などが率先して各々の地元医療機関への医師紹介機能(地域医療センター等)を持つようになってきています。

 

しかしながら、バックグラウンドの確かな医師を雇うことができるというメリットが有る反面、スピーディーな対応に事欠いていたり、地域ネットワーク特有の「しがらみ」を医師サイドが嫌ったりといったデメリットが目立ち、上手く機能しているとは言い難い状況です。

 

それを補完する形で現れた医師紹介会社ですが、現在はこちらのほうが主流となりつつある傾向にあります。双方は、一般サラリーマンにおける「ハローワーク」と、凄腕ヘッドハンターなどが所属する「民間転職支援会社」との関係にも似ています。

 

医療機関側の医師紹介会社を使うメリット

  • 必要なタイミングで必要な人材をスピーディーな対応で補充することができる
  • 従前型医療ネットワーク特有の「しがらみ」がない人材の拡充が可能である
  • 1件1件の紹介事案に対する真剣度が高い

 

医療機関側の医師紹介会社を使うデメリット

  • 報酬が高い(年収の2割を支払うのが通常)
  • バックグラウンドが不明な医師が紛れ込む可能性がある
  • 質の低い医師紹介会社による不誠実な対応、紹介事案

 

1度勢いのついたこの流れは簡単に止めることは難しく、今後ますます医療機関同士の競争が激しくなっていくことは必定であり、「全ての医療機関は診療報酬だけに頼っては生きていけない時代」になるのは間違いありません。海外のように、医療機関のM&Aも予想される中、これまで医師紹介会社を利用してこなかった医療機関についても、順次、より優れた医師人材確保のために、医師紹介会社を利用していくことになるでしょう。

 

ということは、医師である皆さんも、医師紹介会社の有効な活用方法をいち早く知識として仕入れておくことで、将来キャリアを有利に動かせる可能性があるわけです。


医師紹介会社のタイプ別分類

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一見外側から見ても違いがわかりづらい医師紹介会社をよく見てみると、その中身は全く異なるバックグラウンドを持つ企業がモザイク模様のように市場で入り交じっていることがよくわかります。ここではおおまかに下記の視点を持って、医師紹介会社を分類してみましょう。

 

1.組織規模
2.支援スタイル
3.展開エリア
4.専門性
5.事業バックグラウンド/社歴
6.求人票のオリジナル性

 

1.組織規模による分類

 

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医師紹介会社市場が目に見えて急拡大したのは、2004年の医師臨床研修制度がスタートしてから。ここ10年強程度に起こったお話であり、業界自体が若いと言わざるを得ません。

 

医師紹介会社業界で最も古いと言われる老舗紹介会社でも30年程の社歴に留まっており、業界全体に市場独占型のジャイアント企業が存在していなかったのが特徴であり、中規模の紹介会社が互いに凌ぎを削り合っていました。

 

ところが近年、大手資本を携えた企業による市場参入が相次ぎ、中にはあっという間に市場を席巻するがごとく、大手の1角として台頭する企業が現れ、業歴の長い老舗紹介会社との間で競争が始まりました。同時に、元紹介会社社員などによる零細医師紹介会社の立ち上げも盛んになり、一気にプレイヤーの数が増加して現在に至ります。

 

分類としては大まかに下記のように分かれるでしょう。

 

1.「新興大手」

(例:エムスリーキャリア民間医局メディウェル、等)

2.「老舗大手」

(例:リンクスタッフリクルートドクターズキャリア、等)

3.「実力派2番手グループ」

(例:株式会社エムステージ(旧メディカル・ステージ)メディカル・コンシェルジュ、等)

4.「その他中堅/零細法人」

(例:ABEドクターステーションアネナビ、等)

5.「個人事業/1人社長型法人」

(例:メディカルパーソンドクターラボ、等)

 

 

2.支援スタイルによる分類

 

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医師紹介会社の中には、組織(チーム体制)で分業体制を敷きながら登録医師の転職支援をバックアップする紹介会社と、担当となるコンサルタント個人が全ての業務を担当する紹介会社に2分されます。

 

「チーム体制型」、「個人依存型」、双方ともにそれぞれメリットデメリットがありますのでここで記しておきますが、大切なのは、先生が登録をお考えになっている候補先紹介会社が、一体どちらの体制を敷いているのかを予め調査しておくということでしょう。

 

「チーム体制型」の構成スタッフ

 

「チーム体制型」の医師紹介会社では、具体的に医師転職について必要な作業を分業体制で支援しており、多くの場合は担当業務によりしっかりと部署分けがされています。つまり、一定数以上の社員がいる組織規模でないと、「チーム体制型」の医師紹介サービスは維持をすることができません。

 

医師側担当者(=コンサルタント、エージェント)

 

医師であるあなたが直接ご面会することになる職種の人物です。多くは、登録した医師個人と面会し、ニーズを汲み取り、就業候補先の提案、医療機関との面会や現場見学をアテンドしたりします。この医師側担当者の能力多寡により、医師側の求職ニーズを正確に医療機関に伝えられるかどうかが左右されます。通常、他の職種担当者は表に出てこないため、医師紹介会社=医師側担当者(コンサルタント、エージェント)という印象が持たれます。

 

「医療機関側担当者(=クライアントサポート、病院担当者)」

 

求人を出している医療機関の基礎情報、求人情報管理や新規求人を開拓、掲載用求人票を作成する作業を行います。通常は医師と直接面会することが無いため、存在自体を知ることはあまりないでしょうが、実際に医療機関の情報を直接仕入れているため、非常に重要な職種であり、「登録医師が条件の良い求人を得られるかどうかは医療機関側担当者にかかっている」と言っても言い過ぎではありません。コンサルタントとは車の両輪としての活動を担います。

 

SE/データベース技術者/ウェブ担当

 

また、最近の紹介会社は求人、医師、医療機関情報を安全効率的に管理するために、バックエンドで活動するSEやデータベース技術者を積極的に雇用しています。

 

「チーム体制型」のメリット

 

これら「医師側」、「医療機関側」、「SE等バックエンド側」が協力しながら、1人の医師に対して常勤転職やアルバイト求人提案を行っていきます。有力な医師紹介会社では、1人の医師転職を成立させるために、10名近くのスタッフがチームとして関与することも珍しくありません。

 

チーム体制型のメリットとして、業務がそれぞれの能力にあわせて分業されていますので、非常に専門性の高い支援サービスが期待できます。小さなトラブルなどが発生しても、複数人数で対処にあたるため、問題が大きくなる前に処置が可能になりますし、複数人数の多面的な視点や情報交換により、医師にとってベストの選択しを導きやすくなります。

 

「チーム体制型」のデメリット

 

サラリーマン組織としての悪癖が出る場合があります。例えば思うように転職支援が進まない場合、責任の所在が曖昧になりがちなケースがあります。また、チームスタッフ同士で情報伝達の連携が取れていないケースなどでは、社内で医師や医療機関の保有情報が偏り、せっかくのよい医療機関からの求人をコンサルタントがスルーしてしまった…ということもあり得ます。

 

「個人依存型」の医師紹介会社

 

読んで名のごとくであり、「チーム体制型」の各スタッフが行う業務職域を、コンサルタントが1人で全てになう形で転職支援を進めるタイプの医師紹介会社です。作業効率で言えば分業制が優れているのは間違いないのですが、組織規模が極端に小さかったり、一部の高い能力を持つコンサルタントの営業力に依存していたりする医師紹介会社がこの体制を取っている・・・もしくは、取らざるをえない状況になっています。

 

「個人依存型」のメリット

 

業界で著名な有能コンサルタントが所属している場合、その方が担当者になることで転職が有利に働くことがあります。有能な方のもとには医療機関からの情報も集中するので、総合力としてチーム体制型企業よりも上になってしまうことは往々にしてあります。

 

また、複数人数で対応すると情報共有化に失敗するケースが見られますが、1人のコンサルタントがすべての業務を行うならば、情報伝達ミスなどの可能性が大いに削減されます。

 

「個人依存型」のデメリット

 

有能コンサルタントが必ずしもあなたの担当になってくれるとも限らない上、そもそも有能なコンサルタントが所属しているかどうか?誰が本当に有能なのか?噂上での実力と本当の実力が一致するのか?などは外部から不明だったりします。

 

1人のコンサルタントが行える業務量限界の天井は低いため、どこまでしっかりと転職サポートをしてもらえるかがかなり微妙であり、転職後のアフターフォローまで気遣ってもらえる余裕が無いケースもみられます。そうなると、転職後にもしトラブルなどが起きた場合、医師は全てを自己解決しなければならなくなります。

 

よっぽど相性が良いといったようなケースを除いて、「個人依存型」の医師紹介会社だけに絞り込んでお付き合いをするのは、当たれば大きい、ハズレればこれまたダメージも大きいという大きなギャンブルといえるかもしれません。

 

紹介会社の支援スタイルを見抜く方法

 

それぞれの医師紹介会社が「チーム体制型」なのか「個人依存型」なのかは外部から判断がつきづらいのが実際です。当方の経験から言うと、大した組織体制も整っていない「個人依存型」の医師紹介会社でも、見栄を張って「チームで業務に当たります」と大言を吐く例は珍しくありません

 

登録候補先となる医師紹介会社の支援スタイルを見抜くには、当サイトのような外部データを参考にする他、帝国データバンクなどの企業調査会社資料を入手して、その紹介会社の組織規模を調査してみる、元従業員や利用経験のある医師にヒアリングしてみる、コンサルタントとの面会時にバックエンドのサポート体制(医療機関側担当者の具体的な活動)や、医療機関担当者と直接お話をさせて頂けるか打診する、医療機関担当者の病院アプローチ現場を見学させていただくなどの方法があります。

 

医療機関担当者と先生との直接対話を拒絶するようならば、その会社は組織体制に関して見栄を張っている「個人依存型」の医師紹介会社である可能性が高いでしょう。

 

 

3.展開エリアによる分類

 

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医師紹介会社は全国に支店を配置して、全都道府県からの対応に備えている企業と、得意なローカル都道府県やエリアに絞り込んで活動をしている企業に2分されます。

 

1.全国エリアが対象の医師紹介会社

 

全国に支社を持つ医師紹介会社は、一定水準以上の組織規模が必要とされます。少なくとも売上5億以上、社員50名以上が基準となるでしょう。また、どこに本社が存在するかも重要で、大阪に本社がある企業は大阪の求人に強く、東京に本社がある場合は東京の求人に強いのは言うまでもありません。

 

注意すべきは、支社を出していると公表しつつも、実態は誰も居ない無人支社を登記してあるだけというケースが見られることです。自らの実態以上に求人獲得エリアを広く見せようという魂胆であり、こういう半ば虚偽情報を平然と公開しているケースが見られる医師紹介会社への登録は勿論お勧め致しません。

 

医局に頼ることを除き、医師求人の空白エリア(東北、離島、僻地など)にてスポットバイトを行いたい、転職を行いたいという場合は、全国エリアを対象とできる医師紹介会社の力がどうしても必要となるケースが多くなってきます。

 

2.ローカルエリアが対象の医師紹介会社

 

福岡を中心とした九州エリア、札幌を中心とした北海道エリア、東京を中心とした関東エリア、大阪を中心とした関西エリアの4パターンが最も多いです。中には、千葉県、埼玉県に絞り込んでいる企業や、東海エリアの医師紹介会社もありますが、全体的な数からみると非常に少数派です。

 

大多数が「戦略的に特定のエリアに絞り込んでいる」というわけではなく、「企業規模的に仕方がないから本社周辺のみの仕事に絞らざるをえない」というのが実際のところでしょう。

 

ローカルエリアのみを対象としている医師紹介会社でも、医師転職需要の多い関東求人を部分的に扱っているケースをしばしば目にします。この場合、それらの求人がその医師紹介会社のオリジナルのものであるかどうか(他社サイトから無断転載などしていないか、キュレーションのように全く自社が関与していない第三者(社)が開拓した求人ではないか)を疑っておくほうが無難でしょう。

 

 

4.専門性による分類

 

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大手の医師紹介会社の多くは「総合力」を売りにしますので、あまり絞り込んだ専門性について触れることはありません。あえて触れるとしたら、「看護師や薬剤師などには手を出さず、医師の転職一筋…」といった面を押し出している企業はあります(株式会社エムステージ(旧メディカル・ステージ)等)。

 

しかし、中堅以下小規模の医師紹介会社は、対象とする医師属性を絞り込んだり(女性医師当直のみ専門医産業医内科医眼科医健診40代以上医師、等)することで、専門性を大きく前に出してくるケースも出てきました。

 

自らの属性とマッチする専門性を持った医師紹介会社を抑えておくことは1つの有効な手段ですので、登録候補先企業がどういった専門性を強く打ち出しているのかをしっかりと事前調査するべきでしょう。

 

1.「女性医師」

(例:女性医局 等)

2.「当直のみ」

(例:当直医局 等)

3.「専門医」

(例:専門医局 等)

4.「産業医」

(例:産業医局 等)

5.「内科医」

(例:内科医アルバイトJOB内科医アルバイトメディア 等)

6.「眼科医」

(例:眼科求人オンライン 等)

7.「健診」

(例:女性のための健診医局 等)

8.「40代以上の医師」

(例:40代50代60代の医師転職ドットコム 等)

 

 

5.事業バックグラウンド/社歴による分類

 

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2,000年代に入り、医師紹介会社業界は他産業からの新規参入が相次ぎました。勿論その主たる要因は、2004年の医師臨床研修制度導入による、医局の影響力減少と医師紹介業界の拡大なのですが、中には全く医療業界について知識のないまま参入してきているとんでもない紹介会社も存在しています。

 

登録しようとしている医師紹介会社が、本当に信頼に足る企業かどうか。それらの会社の事業バックグラウンドや社歴をよく見ることでもよくわかりますので、注意してみてください。

 

  1. 医療メディア等企業が始めた医師紹介会社
  2. 昔から医師人材を扱っている医師紹介会社
  3. 調剤薬局運営企業が母体の医師紹介会社
  4. ベンチャー型の独立系医師紹介会社
  5. 開業コンサルが母体の医師紹介会社
  6. 他の医療人材紹介が主力の医師紹介会社
  7. 一般人材会社から参入した医師紹介会社
  8. 全く別の分野から参入した医師紹介会社
  9. 求人を外部から寄せ集めた医師紹介会社

 

上記の医師紹介会社のバックグラウンドによる分類とそれぞれの詳細説明は、こちらの過去記事の中段以降に詳しく記述してありますので、併せて参考にしてみてください。

 

 

6.求人票のオリジナル性による分類

 

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医師紹介会社を選出する際、最も重要な基準の1つとして「オリジナルの求人票を保有しているかどうか」という件があります。要は、自社できちんと医療機関とコンタクトを取って求人票を作成・掲載しているかどうか、ということであり、この点を怠る、もしくはシステム上全く行っていないという医師紹介会社は、最初から登録を避けるべきだと当研究所は考えています。

 

医師紹介会社のサイトを閲覧すると、一定件数以上の公開求人を掲載しているところがほとんどです。ところが、それらの求人情報が、掲載企業とは全く関係のない第三者(社)が作った求人票だったり(※上記で言う「求人を外部から寄せ集めた医師紹介会社」はこのパターンに当てはまります)、競合他社サイトから無断転載をした求人票だったりした場合はどうでしょうか?

 

その会社に登録をしたところで、肝心の医療機関サイドが「お宅の会社に求人掲載を頼んだ覚えはない」と拒絶されたり、実際の転職プロセスにおいてトラブルに成っても、「元々その求人票は他社が作成したものなので、当方は責任を持てない」と紹介会社が逃げの一手を打ってくるケースがあります。

 

反面、全て自社で医療機関とコンタクトを取り、完全オリジナルの求人票を作成している医師紹介会社の場合、責任の所在が曖昧になることや、医療機関側から拒絶を食らうこともありません。求人票のオリジナル性というのは、医師紹介会社を選択する際、かくも重要なポイントであることを知っておきましょう。

 

更に最悪なのは、全く存在しない架空の求人や既に締め切られた過去の好条件求人などを掲載して、問題になっている医師紹介会社もあるということです。

 

医師紹介会社を選ぶ際、求人票のオリジナル性は是非チェック項目の1つとして取り入れていただきたいところです。


その他、注意しておくべき点

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その他、医師紹介会社を選ぶ際の基本として注意する点をピックアップしておきます。

 

業界動向を多少知っておくこと

 

冒頭にも触れましたが、実際、医師紹介会社が先生の転職に関わることで、いくらの利益を獲得しているかということを知っておくのは重要な事です。また、業界動向に耳を傾けることで、評判の良い会社とそうでない会社の情報を事前入手できることもあるでしょう。

 

医師紹介会社が増えた理由を別から探ってみると、これまで一般の職種を取り扱っていた人材紹介会社が医療機関への転職に着目し始めたこと。つまり、グループや企業内で医療機関を扱う部署を新たに作ったということになり、それは即ち、既存の職種に関する人材紹介業だけでは人材業界が成り立たなくなってきている証拠でもあります。

 

そこには医療系転職支援会社が医師や看護師などを紹介するマージンが他の人材派遣よりも高額であること、また、人材不足を背景として、求人依頼を行う医療機関の数が増え続けていること。激しい競争にさらされる中の生存戦略として、医療機関側が戦略的に良い医師人材を常に欲しがっているということが大きく関係しています。

 

ところが、医師に限らず、すべての職業人にとって「転職」とは大変大きなハードル複数を抱える大問題です。自己流の下手糞な転職活動を展開してしまったために、すっかり医師キャリアパスから落ちぶれてしまう先生が、後を絶ちません。

 

  • どうやって良い就業条件の医療機関を見つけていいのかわからない。
  • 現状の仕事が忙しくて、並行して転職活動をする暇がない。
  • 求人要件と実際の職場での待遇が異なる可能性がある。
  • 数字に現れない転職のリスクなどを考えると気が重い。
  • 家族の了承が得られない、転居手続き等が面倒だ。

 

など、転職にまつわる心配事は、それこそ個別の医師によって千差万別です。医師専門の転職支援市場が発達したからといって、医師にとって転職はいまだ大きなハードルだらけなのは、今も昔も同じといえるでしょう。

 

こういった背景と医療機関のニーズを知識として仕入れておき、自身の転職活動に有利になるように「上手に医師紹介会社を利用してやる」という意識が、これからの医師には必要だと思います。

 

非公開求人の光と影

 

医師の転職事情とは離れたお話しを、少しだけします。一般職種の世界で求人と言えばハローワークという方は多いでしょう。もちろんハローワークでも、医療関係の仕事の紹介をしてくれます。しかしハローワークで、自分にとって好条件な仕事はほぼ見つかりません。

 

国の機関であるハローワークは、書類の準備などに面倒なことが多く伴います。そのため、医療機関もハローワークには頼まないということがあるのです。ハローワークで求人を探した人ならわかりますが、「求められている条件は大きいのに、収入は少ない」という傾向も顕著に見られます。

 

それに加えて増加する転職支援会社に求人が殺到するために、良い人材がハローワークに来ないということも起こっています。良い人材が来ないのであれば、ハローワークにわざわざ求人を出すメリットはなくなってしまうのも必然でしょう。

 

実は同じような事が「ダメな医師紹介会社」についても言えるのです。

 

つまり、実際に条件がよい求人募集というものは、非公開で実力がある転職支援会社にばかり一極集中してしまう現実があります。本当に良い求人情報とは、一般には公開されない「非公開求人情報」のなかに埋まっているといってよいでしょう(実はこれ、医師に関わらず、企業経営幹部、コンサルタント、法務職や上級IT技術職など、一定のステータスや高給が確約される職種における転職事情においては全く同様に見られる事実です)。

 

同時に、上記の一般企業転職におけるハローワークの例ではありませんが、実力不足のダメ転職支援会社には、誰でも取得できるような一般的に公開されてしまった求人情報しか集まりません。もちろん、こういった求人情報は、実際の求職者の個別条件を無視した大凡の情報しか載っていないことが多く、結果、転職も失敗に終わりやすくなってしまうので注意してください。まさに、負のスパイラルに陥る能性があるわけです。

 

如何に良い転職支援会社を選び、相性が抜群であなたに対して理解力のある転職コンサルタントと出会うことができるかが、医師の転職にとっては最初の関門になってくるのです。

 

とはいえ、非公開求人を本当に保有しているかどうかは外部から確かめることはできませんし、その保有件数も確かめることはほぼ不可能です。不誠実な医師紹介会社が、「非公開求人を日本で一番保有していますよ」と誇張したとしても、その実態を確かめるのは難しいというのが、残念ながら現実です。

 

また、近年は決まりきった求人に沿った形で医師を探すのではなく、医師個人のバックグラウンドやQOLニーズ、就労条件に沿った形で、医師紹介会社側から医療機関に能動的に採用提案をしていくというスタイルが主流になりつつあります。

 

こういったセミオーダースタイルの転職支援の場合、非公開求人という言い方はあまり適さなくなってきているといえるでしょう。ですから、あまり非公開求人というキーワードだけに惑わされるのはどうかと思います。

 

 

医師紹介会社はアフターフォローの充実具合で決めるべき

 

上記でも少し触れましたが、医師紹介会社の中には1度転職支援をしたらそれっきり、というアフターフォロー体制が0という会社も珍しくありません。反面、しっかりした信頼足る医師紹介会社に限っては、転職を終えた後のフォローについても真剣に考え、まめに連絡を入れてくれ、なにかトラブルがあった場合、すみやかに解決に向けて尽力する体制を取っています。

 

転職は1度きりとは限らず、その先も医師の人生は続きます。何故、アフターフォローを軽視する医師紹介会社に喜んで登録するのでしょうか?当研究所はそういった医師に対し、常々警告を発しております。医師紹介会社を選ぶならアフターフォローこそが重要な鍵ですよ、と

 

 

そもそも「交渉する力」をその会社が持っているか

 

一般企業への転職支援会社と医師紹介会社の違いは、医療機関側との交渉力の差に他なりません。。医療という特化領域で勝負するわけですし、まして最近では競合企業がドンドン増えています。そのため、医療機関や医師の獲得に、医療機関系の転職支援会社も必死であると言えます。

 

医師側の求めている就労条件があまりに高ければ、実力や経験を見た上で判断し、条件の一部を少し落とすようにたしなめることもあります。しかし、優秀な医師転職支援会社を雇えれば、時間はかかれど、ほとんどの条件は、どこかしらの医療機関と合致することでしょう。

 

もし1つでもあなたが提示する条件がそぐわない場合、良質な転職支援会社は貴方の代わりに徹底的な報酬交渉をしてくれます。医師不足という状況もあり、医療機関もできれば良い医師を確保したいので、条件交渉には比較的応じてもらえるケースが多いのも事実です。

 

さらに忙しい医師の為に、新居や引越し、子供の保育園や学校のリサーチなどもしてくれる会社も今では珍しく無くなって来ました。こういった良質な転職支援会社内では、キャリアコンサルタントの育成にも、余念がありません。

 

例えば医療機関での勤務経験者のみに絞ってコンサルタントを集めている会社もあれば、教育研修を充実化させてコンサルタントのスキルアップに取り組む会社もあります。

 

是非、医師紹介会社個々の「交渉力」がどの程度のものかを、先生方の厳しい目でウォッチング、判断して欲しいと我々は願っております。

 

※この記事は聴覚障害のある方向けに、音声化してYoutubeにアップされています。

 

 

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします


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