転職エージェントを“うまく使う”という発想を
■ 記事作成日 2015/9/16 ■ 最終更新日 2017/12/6
「医師のキャリアプランニングに“転職”は欠かせない一手である」…と言っても決して過言では無い医師人材市場環境において、“転職エージェントの活用”が、転職を成功に導くための一つの良策である事は、もはや常識かもしれません。
さらに、「転職エージェントにも優良・不良があるため、優良エージェントの優秀なコンサルタントをパートナーにする事が、転職成功の鍵である」…という事実についても、転職を経験したり、先輩や同僚のケーススタディを見聞きしているある一定のドクターには、医師転職市場の知見として把握されている事でしょう。
しかし、そのような世の中に於いても、転職エージェントをうまく活用し、よりよい転職活動を経て、よりよい良い結果=成功に辿り着けるドクターと、そうではないドクターがいます。
その差はいったい、何なのでしょうか?
転職に暗雲が立ち込めるドクターには、あらゆる優良エージェントに複数登録していながらも、転職に時間がかかったり、良い条件の求人に出逢えなかったり、面接落ちが続いたり、それ以前の書類落ちが続くなどなど、山あり谷ありの七難八苦が見受けられます。
そうならないための“その差”にスポットを当て、転職エージェントの有利な使い方について、考えてみる事にしましょう。
転職エージェントに“いつ”相談しましたか?
多くの転職エージェントは、ドクターの転職に関する“A to Z”をサポートすると公言しています。さらに、ほぼ全ての転職エージェントは“利用料無料”であり、“ネットで簡単登録”のインターフェイス環境も整っています。
ドクターの転職市場では、一昔前とはガラリと様変わりしました。医局の力が弱まり、ネットの転職活動環境が整った今、より良い転職への意志さえあれば、誰もが簡単に転職のドアをノックできる状態です。
しかし、それにも関わらず、多くのドクターは、転職エージェントに相談するタイミングを間違っています。
“転職をする”…と、完全に決意したタイミングや…
“退職をした”…という、ステップアウト後のタイミングなど…
転職エージェントにコンタクトをとるドクターは、概してそのタイミングが遅過ぎる傾向にあります。
“鉄は熱いうちに打て”…という諺は、転職市場においても真実です。元来、転職の可能性を少しでも考えたタイミングでの転職エージェント登録が望ましいのです。
なぜなら、より良い転職には、転職というレイヤーに於ける、特別なノウハウやスキルが必要だからです。それらは、一生懸命に医業に従事してきた事で、得られるものではありません。どんなにドクターが優秀であっても、転職ノウハウやスキルが伴わなければ、成功は得られないのです。
ブランクがあれば、市場価値が下がる!?
転職先が決まってもないのに、とりあえず現職を辞めるドクターは少なくありません。この傾向は転職経験のあるドクターに顕著で、過去の転職成功体験が、間違った概念を導いていると考えられます。「嫌なら辞めて、また転職エージェントに相談すればいいや」…という安易な発想は、正しく“運の尽き”である事を、覚えておきましょう。
医師が転職をする場合、前職よりブランクがあれば、一般的に市場価値が下がります。たとえそれが数か月であっても、留学・産休・育休・介護・看護・闘病など、明確な理由がなければマイナス要因となるものです。
「前職で何か問題があったのではないか?」
「権利主義の転職クルーザー人材ではないか?」
「診療スキルや手術スキルが鈍ってはいないか?」
…明確な理由が無いブランクは、多方面からあらゆる勘ぐりを受ける事は免れません。
「現職に不満があるからとりあえず辞めよう。しばらくゆっくりして、次の身の振り方を考えよう。」…では、ドクター自身の高い人材価値を保てないのです。いくら優良な転職エージェントの優秀なコンサルタントでも、マイナス要因を問題の無い具合に調整できても、プラス要因に転嫁する事は出来ませんし、マイナス要因を一つ一つ払拭していくプレゼンテーション作業は、実に苦労がつきまといます。
同じ転職をするなら、自らを高く売れる時機を見計らうべきですし、転職エージェントの力を借りるポイントは、マイナスをアベレッジにするのではなく、アベレッジをよりプラスにする箇所であるべきでしょう。
転職活動は、必ず、退職前から始めるべきもの。「現職の退職は、次の転職先が決まってから」…という鉄則を遵守するようにしましょう。
エージェントの力を借りて、転職のノウハウを得る転職を
「良い条件で希望の転職をしたい。できれば早いタイミングで。」
…このように、転職エージェントに登録するドクターの過半数は、転職を決心したタイミングで、できるだけ早期の転職を目指し、転職エージェントにコンタクトをとっています。
転職ノウハウやスキルのあるドクターならば良いのですが、多くのドクターはそれを持ち合わせていません。自らの強みと弱みを分析し、市場でのポジショニングを把握し、求人元医療機関に響くプレゼンテーションが行える能力は、なかなか会得できるものではない筈です。
だからこそ、転職の可能性が頭を過ったタイミングで、転職エージェントの門戸を叩いてみるべきなのです。転職を迷っている段階こそ、プロのノウハウが身に沁みるというものです。
先ず、悩みを聞いてもらうだけでも、大きな価値があるでしょう。自らの心の内をアウトプットする作業は簡単な事ではありません。現況の悩みが何なのか?…を、洗いざらい吐き出して、客観的に見てみる機会は滅多にありませんから、自分の気持ちを整理し、「実際、何が問題なのか?」…というポイントに辿りつく事ができる筈です。
その段階で、早急な転職が必要なのか?もっと策を練った方が良いのか?…など、転職に向けた時機や方法を戦略的に計画する事もできます。
戦略的な計画を、転職エージェントのコンサルタントと共に練っていく建設的な作業は、ドクターの転職の成功率を高める重要なファクターですから、元来、これを外す訳にはいきません。しかしながら、転職エージェントへのコンタクトが遅れてしまった場合、この計画がおざなりになりがちです。
戦略的な計画のない転職活動は、ゴールの定めのないレースのようなものです。どこに向かって、何のために走っているのかわからないままどんなに頑張っても、見知らぬ土地で道に迷うのが関の山でしょう。
・自己分析と市場分析によるゴール設定
・ゴールへの到達方法とスケジュール設定
・書類や面接などのPRノウハウやスキルの会得
具体的な転職活動の前に、先ずはこれらの転職ノウハウやスキルを得ていなければなりません。そのためには、転職エージェントの力を借りるのが賢明です。転職エージェントへの早めのコンタクトを強くお勧めします。
★鉄則★
転職エージェントへのコンタクトは、できるだけ早めに。退職前である事はもちろん、転職検討段階で、すぐに相談を。
転職エージェントに“何を”相談しましたか?
多くのドクターは、転職エージェントのコンサルタントへの相談内容を、“自らが従事する医業”という限定的な内容に終始している傾向があります。
「どんなキャリアとスキルを持っているのか?」
「どんな職場でどんな条件で働きたいのか?」
「どんなビジョンを持っているのか?」
もちろんこれらの情報は、転職活動の本筋です。
確かに“自らが従事する医業”は、ドクターの人生そのものをつくるマスターピースですが、その周辺のピースにも着目し、一つ一つの条件をチェックしなければ、パズルは完成しないのです。
つまり、
- 住居・交通・買物などの生活環境に関する事情
- 子供の学校や教育環境に関する事情
- 自らや家族の趣味や嗜好に関する事情
- 自らや家族の医療や介護などに関する事情
- 転職候補先病医院の同僚や上司のプロフィール
- 転職候補先病医院の職場の雰囲気…etc.
…など、医業以外の家族や自分自身の生活全般に関する事や、一歩踏み込んだ職場環境に関する要望や質問なども、相談すべき大切な内容なのです。転職エージェントには、医業と直接関わらない事も、相談していいのです。
特に、転居を伴う転職の場合、実に慎重に、周辺のピースに関する状況を相談・確認し、納得のいく状況にしておかなければなりません。その相談が不十分な場合、後々大きな問題に発展してしまう事になるでしょう。
よくある失敗例:子供の教育環境が悪い
転居を伴う転職の失敗例で、非常によく起こり得るトラブルの一つに、子供の教育問題があります。
地方都市に新設された病院のオープニングスタッフとして転職したA医師は、病院近くの新築一戸建て社宅に転居したそうです。良い条件で勤務でき、新設病院だから変な柵は無く、病院が用意した社宅で家賃は廉価だし、言う事無しの転職成功だと思っていたところ…小学生の息子が、地元の小学校に馴染めないという思わぬ事態に陥ったそうです。
そのエリアは、昔ながらの住宅地と、病院が新設されたニュータウンが混在している土地。今時珍しい、“ヤンキー的”な若い父母が多く、その子供たちは、襟足を伸ばした茶髪といった風貌で…案の定、勉強もスポーツも二の次の環境だったそう。中学受験を見据えてきた小学三年生の息子は、同級生の粗野な言葉遣いや態度に順応できず、とうとう不登校気味に。
もしもA医師が、子供の教育環境までをしっかり吟味し、転職エージェントに相談していたら、トラブル回避はできたでしょう。いくら中学受験を考えていたとしても、別の公立小学校区に転居するなど対処していたはずです。
よくある失敗例:医業以外の人間関係が悪い
転職の失敗例で、非常によく起こり得るトラブルの一つに、職場の人間関係問題があります。仮に仕事に於ける人間関係は良好でも、もっと踏み込んだ土着的な付き合いを半ば強引に要求される事で、生活に支障を来す事もあるようです。
B医師は、妻と3歳の娘と共に転居し、地方都市から首都圏の小規模な個人経営病院に転職したそうです。そこには、オーナーである病院長のほか、勤務医はB医師を含めて2名しか居ません。そんな環境の中、B医師は頻繁に「付き合い」に借り出される羽目になったそうです。そこの病院長はゴルフやクラブ遊びなど、昭和風情の医師のような遊興が好み。休日は別の医師と交互にゴルフに誘われ、平日も何かと飲み事に連れまわされます。
これでは医業はもちろん、家庭生活にも影響を来すというものです。幼子を抱える妻が、知らない土地でストレスを抱えるようになったため、B医師は病院長に付き合いの断りを申し出てたら…たちまち人間関係が悪化。「もうこの病院では働きたく無い」…と、思うまでになってしまったそう。
もしもB医師が病院長の生活嗜好までを把握していたら、別の求人元に転職していたでしょう。医業以外の付き合いが多い職場かどうか?…などについて、転職エージェントに相談すべきだったのです。
★鉄則★
医業以外の事も転職エージェントに相談しよう。家族や自分の生活環境に関わる事全てをきちんとチェックしよう。
転職エージェントを吟味し、パートナーを選ぼう!
転職エージェントの実力は、実に様々でピンキリです。転職エージェントにも優劣があり、どこに相談しても良い訳ではない事は、多くのドクターが承知済みでしょう。
従って、転職サイトのランキングなどからパートナーとなるべきエージェントを選ぶドクターが多いようなのですが、ランキング最上位のエージェントを選んでも、転職活動が波に乗らないドクターも少なくありません。いったい、何故なのでしょうか?
「いくら優良な転職エージェントでも、全てのコンサルタントが優秀とは限らなければ、ドクターにマッチするとも限らない。」
「いくらランキング上位の転職エージェントだとしても、そのランキングが正当かどうかは限らない。」
…転職活動の不穏は、このような理由が原因でしょう。ではいったい、どのような点に注意して転職パートナーを選べば良いのでしょうか?その切口や方法を考えてみましょう。
複数の転職エージェントに同時登録してみる
評判が良いと思われ、ドクターの志向に合っていそうな転職エージェントを3つ程度ピックアップし、先ずはその総てに登録してみて下さい。
信頼のおける転職エージェントランキングサイトの上位3社でも構いません。大手有名エージェント・地元有力エージェント・求人数の多いエージェントといった具合にポイントを分散させて選んでも良いでしょう。
大切な事は、的を絞った複数社に“同時に登録してみる”という事です。登録後の転職エージェントの対応スピードや誠実さや濃やかさなどを、ドクターの身を持って知る事が出来るからです。
転職エージェントの求人数や条件の良さなどは、当然ながら景気などの社会情勢に影響されますから、例えドクターの友人が良い条件で転職できたエージェントでも、いつも好条件な求人を潤沢に持っている訳ではありません。
同時に転職アクションを進め、より良い求人を照会してくれたり、良い対応をしてくれたエージェント、より好感が持てるコンサルタントをパートナーに選べば良いのです。
多くのエージェントでは、具体的に求人元に応募する前の段階では、複数社に相談する事を厭われる事はありません。また、複数のエージェントに登録している事を、敢えて初期段階で教示する必要はありません。一社を通じて面接をしても、その案件が消滅した段階で、他社を通じて面接を進めても何ら問題はありません。「コンサルティングはドクターと弊社の専属契約が前提です」…なんて言い放つエージェントとは、縁を結ばない事です。
多少面倒かもしれませんが、目ぼしい3社を選び、3社とも初期面談までは行ってみて下さい。(もちろん、登録後の電話やメールの対応が悪いエージェントは、早々に縁を切り、面談にまで進める必要はありません。)
ドクターの意向を理解してくれ、転職ノウハウやネットワークを持ち、心地よくパートナーシップを組める相手は、「優良エージェント」とされる企業の中から、ドクター自身が選ぶ必要があるのです。最後は企業力に加えて“人と人との繋がり”が転職成功のキーになるため、個人と個人の相性も、とても重要なポイントになるのです。
★鉄則★
転職エージェントは、優良とされる企業の中から同事に複数社登録しよう!ドクターの肌感覚で、好適な最終パートナーを選択しよう!
信用できるランキングの見分け方
医師向けの転職エージェントが乱立している中、そのランキングサイトも乱立しています。そんな中で、優良な転職エージェントを探し当て、登録するためには、どんなランキングサイトを信用したら良いのでしょうか?
・情報量が多いサイトかどうか?
転職エージェントの紹介ランキングは、ランディングページのような体裁で情報量の少ないペライチサイト等が多々見受けられます。ランキングもベスト5やせいぜいベスト10といった程度。しかも、それらを裏付ける説明や分析が、ほんの数十行といったケースも多いようです。
元来、多くのサービスを熟知し、分析しなければ、ランキングなどできるはずもありません。また、しっかりと内部調査や研究を行った場合、相当量の分析結果が出てくるはずです。従って、情報量が多いサイトかどうか?…というのは、信用度における重要なポイントとなります。
・頻繁に更新されているサイトかどうか?
情報は生き物です。サイトをアップした後に、頻繁な情報更新が見受けられないランキングは、信用できません。
・医師転職の周辺情報が豊富なサイトかどうか?
ただ転職エージェントのランキングを掲載しているだけではなく、医師の転職に関する多角的なお役立ち情報や、旬のニュースなどを掲載しているサイトは信用できます。医師転職という特殊な市場に於いて、どれだけ造詣があるかを量る事ができます。
・客観的な評価情報があるサイトかどうか?
物事を分析するには、定量的な指標と、定性的な指標が必要です。この二つの視点のあるランキングを信用して下さい。定量的な指標とは、多くの利用者(医師・医療機関)の声を集めるなどしたものです。
定性的な指標とは、調査対象に深く踏み入った情報を得ている事と、その分析を行っている者がプロフェッショナルであるという事です。仮に情報量が多くとも、発信者が不明であったり、アルバイトが制作をしたようなサイトは、信用すべきではありません。ドクターならば、医業に精通した者が書いた情報かどうかは、一読すれば分かるはずです。
★鉄則★
信用できるのは、生きているサイト。情報更新が多く、情報量も多い骨太なサイトのランキングを参考にしよう!
転職エージェントを活用する意味を知ろう!
転職エージェントに集まる求人には、大きく3方向に大別されます。
一つ目は…
経営が好調で、転職エージェントを使って採用コストがかかってでも、良い人材を多数確保したい医療機関からの求人。
二つ目は…
何らかの事情(僻地・繁忙・急募など)で、転職エージェントの力を借りる必要がある、医療機関からの求人。
三つ目は…
できれば採用コストをかけずに採用したいが、なかなか良い人材が集まらないため、転職エージェントを使ってみようと考える、人気のない医療機関からの求人。
転職エージェントを利用しての転職が一般的になった今、その萌芽期によくドクターから上がっていた疑問…「なぜ転職エージェントのコンサルティングは無料なのか?」…という問いを受ける事は無くなってきました。しかし、この原点の疑問に焦点を当てる事で、転職エージェントとの上手な付き合い方が見えてきます。
転職エージェントは、医療機関に優秀な人材を紹介する事で、入職決定時に成功手数料によるコンサルティングフィーを申し受けます。その金額は、一人の医師当たり、100万円程度~500万円程度と様々ですが、とにかく数百万円のお金が動きます。医療機関は人事部をアウトソーシングしているという発想と、成功報酬というシステムの上で、この金額に納得し、支払っているのです。
採用コスト比較で採用を決定する医療機関の事情
現在の医師の転職市場では、医療機関に直接応募をしてくるケースは10%にも満たず、多くのドクターは転職エージェントを介して応募をしています。しかし時々、直接応募をしてくる医師もいるようです。
また、多くの非公開求人の場合、特定の転職エージェントが専任にて取り扱うケースが多いのですが、複数の転職エージェントと同時にやりとりをしている医療機関もあります。
つまり、どんなにドクターのキャリアやスキルが、その求人に見合う充分なものだとしても、ドクター自身とは別の観点から、不採用になるケースも有り得るのです。
キャリアやスキルに加え、面接の印象も同程度の人材が複数いた場合…医療機関は採用コストの低い人材を選ぶでしょう。直接応募の人材なら採用コストは0円ですし、転職エージェントの紹介人材ならば、コンサルフィーが安価な方が良いと考えるのが普通でしょう。
もちろん、ドクターを高く売り込むポイントを見出し、キャリアやスキルや人柄などで“一歩リード”させ、コスト競争にならないようにディレクションをするのが転職エージェントの役割ですが、いつ何時でもそうなる訳ではありません。ならば、ドクター自ら、転職エージェントとの付き合いにおいて、“転ばぬ先の杖”となるべくチェックをしておくべきです。
「この求人は、御社の専任取扱いになっていますか?それとも複数のエージェントさんが担当されていますか?」
…この質問で、担当コンサルタントは襟を正します。もし専任取扱の場合は、堂々と誇らしげに“ドクターのためにご準備した特別な非公開求人です”…などと話すかもしれません。もしも複数社が取り扱う求人だと判明すれば、応募に際する戦略を、一歩踏み込んで練り込む好機となるでしょうし、他の求人を探す契機にもなるでしょう。
「この求人の医療機関への紹介実績はありますか?また、いつ頃からお付き合いをされていますか?」
…この質問で、担当コンサルタントは背筋を伸ばします。もし取引実績のある長い付き合いの医療機関ならば、ドクターは安心してコンサルティングを依頼して良いでしょう。その医療機関と転職エージェントは、良好な信頼関係が築けている証です。しかし、実績もなく付き合いも浅い医療機関ならば、コンサルタントの説明がきちんと裏取りされたものかどうか、何度も念を押す必要があるでしょう。
★鉄則★
コンサルタントが嫌がるかもしれない、一歩踏み込んだ質問で、その求人の背景をしっかりチェックしよう。
不合格…エージェントに、良心や能力があるか?
どんなに優良な転職エージェントに登録をしても、百戦錬磨で全ての求人応募に合格する訳ではありません。こればかりはマッチングやタイミングの問題ですから、ドクターの人材価値とは別の理由で書類落ちや面接落ちに直面する事もあるでしょう。
もしもドクターが合格しないケースがあっても、それは良くある転職活動中の出来事ですから、あまり気にする必要はありませんが、その際、必ず、転職エージェントにその不合格理由を聞いてみて下さい。
「今回、不合格だった理由は何だと思われますか?」
…この質問で、転職エージェントの良心と能力が分かります。
「タイミングが悪く、別の求人に決まっていた。」
…書類落ちの場合は、この理由でも納得できます。
「ドクターの考えが医療機関の方針と違っていた。」
「準備期間が短く、戦略不足が否めなかった。」
…面接落ちの場合は、この理由でも納得できます。
しかし、「ドクターのキャリアやスキルが、医療機関の求めるものと合致しなかった。」…などと言い放つコンサルタントは、全く信用ができません。医療機関に応募する際に、最低限の条件チェックは必ず行い、求人元にもどんなタイプ・レベルの人材が必要かは符合させているはずなのです。いえ、させていなければいけないのです。
つまり、不合格理由をドクターだけに起因させようとする場合、往々にして他社エージェントに競合負けしたか、そもそもエージェント側の調査不足や能力不足で、応募前に双方のマッチング率が低すぎたというのが要因です。
もしも、良心も能力もないエージェントやコンサルタントに当ってしまったならば、それは鞍替えの合図です。不合格の場合に、自らの力不足やタイミングの悪さに言及し、次の戦略を共に練ろうとしないエージェントとは縁を切り、良心と能力を持ちあわせた先をパートナーに再選定する事を強く推奨します。
★鉄則★
転職活動での不合格は、採用コストの都合や、エージェント側の調整不足によるものもある。不合格の場合は、必ずその理由をエージェントに問い、その良心や能力を確認しよう。
転職サービスを有利に使いこなせるように…
私、野村龍一が、医師転職コンサルタントの立場から、口を酸っぱくして言っている事があります。それは…良い転職は、転職エージェント選択時に決まっている…という事実です。
ドクターがより良い転職を実現できるよう、当研究所がお勧めする優良なエージェントへのコンタクトを、心からお勧めします。
…このように、転職エージェントにも優劣がある事を、再三お伝えしてきました。その甲斐あってか、転職エージェントの有用性を享受するには、転職エージェント選びが大切だという事実を、一定のドクターに届ける事はできたかもしれません。
しかし、転職活動の質を上げ、転職成功へとより導くためには、「転職エージェントを有利に使う」…という発想の下に、ドクター自身が重要なチェックポイントを意識し、必要に応じたアクションを、絶妙なタイミングで起こす事が望まれます。
優良な転職エージェントでも、全てのコンサルタントが優秀だとは限りません。仮に優秀なコンサルタントが担当に就いてくれた場合でも、ドクターとの相性もあれば、求人応募のタイミングやマッチングという問題もあります。そのような医師転職市場においては、どんな大船に乗ったとしても、その舵だけは自らの手で握り続けておく事が大切なのです。
この記事を書いた人
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