ドクターラボ（株式会社ＩＴＡ）の評判・口コミ・ランキング

総評：公開求人もなく非公開求人を語るのは如何なものか

株式会社ＩＴＡが運営する「ドクターラボ」は、求人検索機能すらなく、保有求人件数の紹介もなく、初見訪問者にいきなりの登録を勧めるタイプの医師紹介会社です。この手法が通じるのはよっぽどブランド力を持った医師紹介会社でないとほぼ成り立ちません。近年、自身の個人情報をむやみに知らない企業に登録することを控えているのは、なにも医師だけではありません。

「ドクターラボ」サイトでは「関西圏で本気で仕事を探すならドクターラボにお声かけください。大阪本社の会社だからこそ得られる非公開求人があります」コピーライティングがされています。

大阪にベースを置く医師職業紹介サイトは数多くあり、東京に次ぐ激戦区です。

その激戦区にて、求人検索機能も新着求人さえも掲載していない、いわば公開求人数0医師紹介会社が、非公開求人に言及すること自体がナンセンスに思えます。まずはまっとうな数の公開求人数を揃えて頂いて他の大阪ベース医師紹介会社と同じステージに立ち、話はそれからだと思うのです。

サイトを開くとすぐに登録クロージングを迫られる超強気なウェブサイト構成

同社サイトトップページでは「ドクターラボ」の強みを４点挙げています。

1. 「コンサルタント力ではどこにも負けません」
2. 「詳しい求人情報には自信があります」
3. 「トータルサポート力は他の追随を許しません」
4. 「すべては納得のいく転職のために」

残念ながら、どれも具体的根拠を証明するのが難しい強みばかりであり、定量的なデータで株式会社ITAが競合他社より優れている点を明示することはできておりません。「言うだけならだれでもできるよね」という強みの類になってしまっているのが残念です。

サイトトップイメージの真下に登録のフォームが続き、「ドクターラボ」に関する事前情報が殆ど無い段階で、いきなり「登録クロージング」を迫られる強気の作りです。転職までのプロセス説明とわずかながらの転職事例が掲載されていますが、こちらも他社のボリュームと比べると心もとない状況です。

看護師転職支援サイトも運営

株式会社ITAは「ナースバンクキャリア」という看護師の転職支援サイトも運営していますが、こちらは勤務地による検索機能だけは備えています。同社が「医師紹介」と「看護師紹介」のどちらに力を入れているのかがなんとなくわかってしまいますね。

ただし、「ナースバンクキャリア」の求人検索結果をよく見てみると、求人掲載日が（株式会社ITAが設立された2）008年の案件が群を抜いて数が多く、、一度サイトを構築した後は求人情報をスクリーニングしていないような印象を受けます。

看護師の転職サイト「ナースバンクキャリア」も関西での強みをアピールしていますが、実際に表記される求人募集はむしろ東京など首都圏が中心なのはどういうことなのでしょうか。単純に疑問に思えました。

「ドクターラボ」サイトのトップページのフッダーにあるナビには「紹介会社の皆様へ」の項目があります。医療機関と医療系職業紹介会社との仲介役をプロモートする内容ですが、あまり自社で積極的に営業開拓するよりは仲介に徹する方がお好きな医師紹介会社なのかもしれません。

会社概要：株式会社ITA

商業登記簿謄本（画像クリックで拡大）

登録求人数

「ドクターラボ」の医師求人情報は下記のようになっております。

公開医師求人数（2014年9月1日調査）

※キャリアコンサルタント保有求人と病医院直接応募求人を足した合計数

非公開医師求人数（2014年9月1日調査）

※キャリアコンサルタント保有求人と病医院直接応募求人を足した合計数

業績について

「ドクターラボ」を運営する株式会社ITAは業績を公開しております。

サービスサイトへのアクセス推移

アクセス状況の全体分析

同社運営サイトへの直近アクセス推移は上記のようになっております（2014年11月25日 SimilarWebにて調査。全体のアクセスデータが不十分で調査結果がでませんでした。つまり、まとまった規模のアクセスが集まっていない医師紹介会社サイト（月間1万PV以下、1日訪問数200名以下）として認識してよいと思われます

アクセス参照元サイト

同社サイトのアクセス流入元サイトは、データ量不足のため解析ができませんでした。

アクセス検索キーワード

同社サイトへのアクセス検索キーワードはデータ量不足のため解析ができませんでした。

代表取締役　榮武志氏

「ドクターラボ」を運営する株式会社ITA代表取締役である松村総一朗氏の詳細プロフィールはみつかりませんでした。

同社に所属されているコンサルタントの紹介ページが見つかりませんでしたした。

当研究所が独自で毎年調査している「日本の医師紹介会社TOP100社ランキング調査」において、株式会社ITA提供の「ドクターラボ」はトップ３ランキング入りできたでのしょうか？結果はこのようになっております。

残念ながら、「ドクターラボ」のトップランキング入りはどの分野でもありませんでした。また、その他項目を含めたランキング結果一覧は下記のようになっております（※その理由はこちら）。

従業員2名体制で医療機関への直接営業と就労後のケアはどこまでできるのか

株式会社ITAは2008年に設立され、資本金は500万円。医療系の職業紹介のほかに医療系人材の採用専門のホームページの作成・運営にも取り組んでいます。同社のホームページには、サイトの制作実績が公開されておりますが、従業員2名の体制を考えると、実際のウェブ制作は外注化されている可能性が考えられます。当然、医師紹介事業も然りです。

同社ウェブサイトによると、ITAとは『I Trust All―私は(私たちは)全てを信頼します』という意味の英文の頭文字から名づけらとのことです。さらに、『Itsudemo Taisetuna Anatani―いつでも大切なあなたに』という願いを込めて、頭文字をとった社名でもあるといいます。企業信用調査会社によると、株式会社ITAの従業員数は2人、2013年5月期の売上高は8200万円で前年同期を32.3%上回り、利益も500万円で前年同期より50％増加しています。

従業員2人で医療系の人材紹介とホームページの制作をこなし、8200万円を売り上げているのは、相当優秀な実績ですが、相当アウトソースを利用する必要があるでしょう。特に医師紹介事業やナース紹介事業において、医療機関に直接の顔見え営業がマメにできているのかどうかが人員ソース的に疑問に残ります。というより、恐らく無理でしょう。医師紹介事業はこの部分がキモなんですが、どうしても外部ソースに医療機関営業を頼ってしまうと、実際に紹介後のトラブルなどが起きた際の対応が後手後手に回るのが怖いです。

もう一つの疑問点として、売上規模8000万を超えていて営業利益が50万円というバランス。設備投資なく、2名体制ならば労働分倍率も低いはずの事業にしては、やたら利益が小さいです。積極的な節税対策の結果かもしれませんし、別の理由かもしれません。

あくまで一般論ですが、人材紹介事業の売上高は従業員一人あたり2000万を超えることはかなり難しいです。2000万円/1名いけば相当優秀な事業運営をされているといえます。その中で営業利益率は通常25％～40％に達してもおかしくありません。となると、同社の一人当たり売上が4000万円という破格はさておきとして、利益率を低く見積もって25％と考えても、2000万円以上は営業利益が叩きだせそうなものですが・・・。

財務状況の実際は少々気になりましたが、実際は内部の方々でないとわからないのでこれ以上言及しておくのは辞めておこうともいます。

ITA株式会社はサイト制作の実務能力があり、SEO対策にも気を使っているのでしょうか、Googlで「関西」「医師求人」と入力して検索すると、大手医師紹介会社と並んで1ページ目に表示されます（2014年10月19日現在）。

このように「ドクターラボ」を運営するITAにとって、ウェブシステムをいじくることなどは難しい環境ではなさそうです。にもかかわらず、公開求人検索システムが存在しないとうことは、そもそも大した求人数を保有していないのだろうと予測ができてしまいます。スタイリッシュですっきりしたサイトデザインは個人的に好みなんですが、2名体制で医師就労後のケア営業ができているのかという懸念点、医師紹介会社としての基本「求人検索機能」が備わっていないという点、および、財務状況がいまいち不鮮明という理由で、当面、当研究所ではB評価にさせて頂きます。

この記事を書いた人

医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします