ドクターズアヴェニュー（ステブラン株式会社）の評判・口コミ・ランキング

総評：16にも及ぶウェブサイト増殖戦略

ステブラン株式会社が運営する「ドクターズアヴェニュー」のウェブサイトを見るとその「地味さ加減」に戸惑います。業歴は10年を超える医師紹介会社ですが、最近の大手医師紹介会社ウェブサイトのコンテンツ充実ぶりと比べると、心なしか10年前にタイムスリップしてしまうかのような作りとなっています。

SEO対策上の理由からか、コーポレートウェブサイト以外にもかなり多数のウェブサイトを開設、展開しています。内科医求人を訴求した「内科医アヴェニュー」、東海中部地方にエリアを絞り込んだ「医師転職東海・中部」、アルバイト訴求の「医師のアルバイト・転職はドクターズアヴェニューブログ」、コラム形式の「医師転職コンサルタントの語り」、医師だけでなく薬剤師求人支援をテーマとした「薬剤師転職・求人ファーマシーアヴェニュー」、看護師転職訴求の「看護師転職アヴェニュー」など、関連保有ウェブサイトはその数16（！）。

この16のサイト全てにおいて、デザイン、コンテンツ含め全てが「10年前を思い起こさせる」ようなアナクロな出来栄えになっており、それぞれがやっぱり「地味」なのです。れでもよくここまでサイトを増殖させたなあ・・・と少々の感嘆の息はもれてしまいますが。

惜しむらくは、今どきのSEO施策では複数ウェブサイトによる相互バックリンクやテーマ別切り分け戦略などは完全に時代遅れになっており、全く効果を成していないというところでしょうか。

肝心の医師紹介事業の実力は如何程か

ステブラン株式会社が「ドクターズアヴェニュー」上で公開している求人募集は常勤が1814件、非常勤が937件、スポットバイトが976件。医師求人検索結果に過去の終了案件を大量に載せており、これでは情報の賞味期限信頼性に疑問がもたれます。

言うまでもなく、賞味期限の切れ求人掲載は、当事者の医師紹介会社の信用が落ちるばかりでなく、利用するユーザー医師にとってもベストマッチの就業先獲得機会の損失につながり、ひいては、地域医療発展促進の障害にも成りうるので、当研究所では、企業評価の際に大きな減点ポイントとさせて頂いております。

同社サイトのトップページは、特選医師求人をはじめ、常勤、定期アルバイト、スポットアルバイト・検診と４つのブロックに分かれた新着求人が目を引きます。それぞれ、3－4件の求人情報が表示され、短いスパンで更新されています。

続いて求人決定の際のポイントを紹介、ともに会員登録が必要となる転職サポートとアルバイトサポートの説明を通して、転職で重要なキーを握るコンサルタントの能力と重要性について説明がありますが、肝心の同社に所属しているコンサルタントの経歴及び実績に関する詳細情報は見当たりません。

「ドクターズアヴェニュー」の特徴は、ページの下部にある「診療科目別マーケット動向」などの情報と、サイトのあちこちで見られる「転職コラム」です（「転職コンサルタント勝手にお語り集」と題打たれています）。

科目別マーケット動向は、36に細分化された診療科目に在宅、健診、産業医、メディカルドクター、老健施設、僻地、離島、診療所の8広告を加えた44の分野に分けて、求められる人材や分野別の転職状況などを説明。コンサルタントのコメント付きで転職例も紹介しています。さらに、勤務形態別マーケット動向では、報酬の相場も含めて転職の現状を説明しています。

尚、「転職コンサルタント勝手にお語り集」というコラムや他のコラム（アルバイトコラム）などの過去記事がひとまとまりになって、自費出版でアマゾンから2008年に販売されています。私も手にとってみましたが、書籍というより「ミニ本」という装丁レベルであり、はっきり言えば同社の宣伝本なので、今更購入する必要性はあまりないでしょう。

ステブランは、コンサルタントの実力を科目別マーケット動向などの情報発信で裏付け、医師の登録に結び付けるウェブ動線戦略を取っているように見えます。最新医療などの情報はともかく、転職という同じ職場内ではタブー視される問題では、情報は不足しています。忙しさのあまり、横の連絡がとりにくくなっている医師ならなおさらです。科目別マーケット動向などでは、多くの医療現場に顔を出しているコンサルタントならではの視線角で、医療現場が求めている人材やスキルなどを紹介しています。

ただ、検索機能は一般的で大きな特徴はありません。トップページ最上部のナビから「医師求人（常勤）」のページにアクセスすると、募集科目、希望地域、病床区分の3項目で条件を選択して、希望の転職先を検索するシステムです。「医師アルバイト（定期）」は常勤と同じ3項目に、勤務体系と曜日を加えた5項目、「医師スポットバイト・検診」では希望地域、勤務体系、曜日の3項目で条件を指定、求人件数10件を境に色分けされた4カ月分のカレンダーが設けられ、日付ごとに求人募集が検索ができます。

いずれの検索にも、年収や当直の有無などの重要な就業条件を指定できる絞込項目がなく、公開した求人募集から転職の目星をつけようとすると、地域や科目で絞り込んだ求人情報を1件ずつ当たるしかありません。

「ドクターズアヴェニュー」のウェブサイトによると、同社サイトのリニューアルは2006年以降行われておらず、これだけの機能では望みの転職先を見つけ出せる可能性は、あまり高いとはいえません。やはりというか、少々古臭く地味に見えてしまうのは、見た目だけが原因でなく、こういった今どき必要とされる機能面の不足具合からも感じられてしまいます。

会社概要：ステブラン株式会社

商業登記簿謄本（画像クリックで拡大）

登録求人数

「ドクターズアヴェニュー」の医師求人情報は下記のようになっております。

公開医師求人数（2014年10月1日調査）

※キャリアコンサルタント保有求人と病医院直接応募求人を足した合計数

非公開医師求人数（2014年10月1日調査）

※キャリアコンサルタント保有求人と病医院直接応募求人を足した合計数

業績について

「ドクターズアヴェニュー」を運営するステブラン株式会社は業績を公開しておりません。

サービスサイトへのアクセス推移

アクセス状況の全体分析

同社運営サイトへの直近アクセス推移は上記のようになっております（2014年11月25日 SimilarWebにて調査。

同社の直近の月間アクセス数は6000PV程度になっており、一時期よりは随分とアクセス数が下がっている状況です。初回アクセスの75.1％を検索エンジンに頼っている状況から、Google等検索エンジンのアルゴリズム変化によって、全体アクセス数の低下に繋がっていると想定されます。

アクセス参照元サイト

同社サイトのアクセス流入元サイトは、データ量不足のため解析ができませんでした。

アクセス検索キーワード

同社サイトへのアクセス検索キーワードはデータ量不足のため解析ができませんでした。

代表取締役　辰己正征氏

「ドクターズアヴェニュー」を運営するステブラン株式会社代表取締役である辰己正征氏の詳細プロフィールは下記の通りになっております。また、辰己正征氏はFacebook、Linkedin、ブログのアカウントを所有しているようです。

同社に所属されているコンサルタントの紹介ページが見つかりました。

当研究所が独自で毎年調査している「日本の医師紹介会社TOP100社ランキング調査」において、ステブラン株式会社提供の「ドクターズアヴェニュー」はトップ３ランキング入りできたでのしょうか？結果はこのようになっております。

残念ながら、「ドクターズアヴェニュー」のトップランキング入りはどの分野でもありませんでした。また、その他項目を含めたランキング結果一覧は下記のようになっております（※その理由はこちら）。

厳しくなる競争の最中、現状で生き残れるか？

ステブラン株式会社は2003年に大阪に個人事務所として設立され、「ドクターズアヴェニュー」を開設。翌年には事業を拡大して資本金500万円の有限会社に移行しました。2006年には資本金を1200万円に増資するとともに「歯科衛生士の就職・転職サイト」を開設。2007年には資本金をさらに2000万円に増資して株式会社に移行しました。

2007年には名古屋に支店、2008年には東京に本部を相次いで開設。2009年には「看護師転職アヴェニュー」をスタートさせるなど、意欲的に事業を拡大してきました。これまでに「ドクターｽﾞｱｳﾞｪﾆｭｰ」は2度リニューアル。自社のホームページのほか、医師や医療関係の求人情報を中心にブログなど15のサイトを運営していますが、信用調査会社に企業活動のデータはありませんので、売上等のデータが手元に落ちてきません。

「ドクターズアヴェニュー」は、公開している求人募集や検索システムの充実よりも、医師の転職マーケットの動向など、転職コンサルタントならではの現場情報をウェブサイト上で発信し、転職支援サービスの信頼度向上に力を入れています。その姿勢は非常に評価できうるものであり、常に情報収集をしておきたい医師は同社のサイトは時々チェックしておくとよいでしょう。

「経験豊かなコンサルタントが、あなたの転職を全力でサポートします」のような具体性のないフレーズで、コンサルタントの実力をアピールする医師紹介会社が多い中、医師転職マーケットの細かい分析や求められる人材の説明は、転職を志向する医師にとって力になると思えます。

肝心の求人検索機能と保有求人数は、一応、及第点レベルには達しています。しかしながら、就労条件絞り込み検索の機能が弱く、すでに募集終了した賞味期限切れの求人募集などが検索アウトプットに反映されたりなど、手元求人情報のスクリーニング管理が行き届いていません。サイトデザイン等と相まって「古臭い」というイメージが常につきまとっています。

近年、医師紹介会社業界はより競争が激しくなっておりますが、現状のままで今後生き残りが図れるかどうかは不明です。そろそろ、事業としても1ステップ上のレベルに上がるために、求人検索システム含めて大きな全体刷新が必要な気が致しますが、如何でしょうか。現状維持のみを求めるのであれば、先はジリ貧しか無いでしょう。競合他社は猛烈な勢いで事業投資とサービス刷新を行っております故。同社のみ置いてけぼりにされないことを望んでおります。

現状の「ドクターズアヴェニュー」はB評価止まりが適当でしょう。

この記事を書いた人

医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします