第13回:【医療経営士】医療経営士3級から医療経営士2級を目指す
■ 記事作成日 2018/1/26 ■ 最終更新日 2018/1/26
医療経営士3級 最近の合格傾向などを分析
元看護師のライター、紅花子です。
昨年末から再開したこのコラム、2018年1月からは、3級の次のステップ、「医療経営士 2級」を目指している方に向けたコラムとして、お届けしていきたいと思います。
「2級」は3級に合格しないと受験ができない
医療経営士2級の資格試験は「医療経営士2級」像に鑑み、その習得・到達度を測ることを目的とするとされています。
ではこの「医療経営士2級」像とは一体何なのでしょうか。
医療経営士の資格認定を行っている一般社団法人 日本医療経営実践協会(以下、協会)のWebサイトには、医療経営士2級像として、次の事柄が挙がっています。
- 医療経営に関する知識や経営課題を解決するための分析能力を有し、実践できる。
- 中堅管理職が身につけるべき医療経営に関する知識・問題解決能力を有し、実践できる。
同様に医療経営士3級像(到達レベル)は「医療・医療経営に関する基礎知識、倫理/モラルを習得している」とありますから、それよりもさらに進んで、課題の分析能力や解決能力、経営的な観点(視点)が重視されているようです。
医療経営士2級の受験資格に、「医療経営士3級に合格していること」と「協会の会員となること」というのがありますので、3級のレベルは「それを踏まえて」ということになるのでしょう。
尚、同協会のWebサイトには、「2級合格までの道」についての解説があります。
3級に合格し、そこから半年以内に協会への会員登録をすると、2級の受験申込ができるようになります。
「2級」の範囲は、3級の比ではない
前掲のイメージ図のように、医療経営士2級は「2つの分野」に分かれています。一般分野と専門分野です。それぞれの分野に含まる学習内容をピックアップします。
第一分野(一般分野) | 第二分野(専門分野) | |
---|---|---|
科目 |
1.医療経営概論 |
1.診療報酬制度
|
医療経営士3級は、協会推奨テキストが8冊、つまり一つの試験範囲として8つの科目がありました。
これをまとめた形で1回80分、50問が出題されましたので、それと比較すると、2級の出題範囲は倍以上に増えていることになります。
実際、2級のテキストは両分野を併せて19冊あります。
3級の試験も実際に受けてみると「範囲が広い」という印象がありましたが、2級はその倍以上、かなりの知識を詰め込む必要があります。
3級の試験で、実際に一番苦労したのは、医療分野に関係する法律の施行年やその概要、制度の開始年やその内容、時々変更される年やその内容など、一つにまとめてしまうことが出来ない点です。
もちろん、自分なりに非常に大きな年表を作る、という方法もあったかもしれません。しかし、「なぜこれが改正されるのか、そのきっかけは何か」というのは、それぞれの法律や制度によって違います。
また、違うテキスト(科目)で同じ内容が違う視点(表現)等で出てくることもあり、頭の中をどう整理していくのかがポイントだったと思います。
「2級」に合格している人は、どのような人たちなのか
では、これまでに2級に合格している人の人物像を考えてみます。
協会が公表している情報によると、2017年10月に行われた第14回「医療経営士2級資格認定試験」では、受験者数672名中、合格者は187名、合格率は27.8%だったそうです。
これによって、累計合格者数は1,000名を超えました。
年代別では、30歳以上39歳以下の合格者が最多で合格率は27.6%、40歳以上49歳以上が2番目に多く合格率は25.6%です。
しかし年代別の合格率が高いのは、実は50歳以上59歳以下の年代。受験者数、合格者数ともに30代40代よりは少ないのですが、合格率としては一番高い35.0%だったそうです。
勤務先の状況をみると、医療関連企業がもっとも合格者数が多く、137名の合格者が出ています。合格率は30.2%でした。その他の勤務先(病医院/金融機関/大学生・短大生/その他)よりも、受験者数、合格者数ともに多くなっています。
受験者数は全体の67%以上、合格者数は70%を超える勢いです。3級でも同様に、受験者数、合格者数ともにトップは医療関連企業でしたので、これらの企業に勤務する人の方が合格しやすい何かがあるのかもしれません。
現在の社会情勢、医療経営を第三者の視点で考えられる土台、あるいは勉強に割く時間の確保の方法など、その理由はさまざまなのだと思います。
まとめ
2級は3級と同様、医療関連企業に勤務している人の方が、合格率が高いという状況があります。
病医院勤務者の合格者は、わずか22名、合格率は21.4%しかありませんでした。3級は40%以上の合格率でしたから、およそ半分くらいになってしまう計算です。
この背景には何があるのか。やはり「今現在勤務している病医院の経営状況」だけではなく、医療マーケティングや医療IT、広報・広告/ブランディングなどといった、ともすれば「外部委託」となっている部分まで踏み込んだ知識が必要とされていることが、その理由の一つといえるでしょう。
外部の委託事業者に「全てお任せ」ではダメだ、ということです。しかし2級をクリアすれば、1級はなぜか「医療者の一人勝ち」の世界。本当に病医院の中に入り込まないと分からない分野での知識と経験が、問われることになります。
この先の日本は、人口減少に伴い、医療機関がどんどん淘汰されている時代です。「医療経営」について、深く考えてみるのも、医師として必要な資質になってくるのかもしれません
参考資料
一般社団法人 日本医療経営実践協会
医療経営士とは
http://www.jmmpa.jp/about/
一般社団法人 日本医療経営実践協会 プレスリリース
第 14 回「医療経営士2級」試験 187 人合格、第 22 回「3 級」試験 2034 人合格 「2 級」合格者の累計 1000 人突破!!
http://www.jmmpa.jp/docs/press_release_20171129.pdf
同上 医療経営士 キャリアステージ
http://www.jmmpa.jp/about/cat2/
同上 第14回「医療経営士2級」資格認定試験実施概要
http://www.jmmpa.jp/examination/cat3/
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