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第14回:【医療経営士】医療経営士3級から医療経営士2級を目指す その2

【医療経営士】医療経営士3級から医療経営士2級を目指す その2

 

■ 記事作成日 2018/1/26 ■ 最終更新日 2018/1/26

 

医療経営士3級 最近の合格傾向などを分析

 

元看護師のライター、紅花子です。

 

昨年末から再開したこのコラム、前回から、3級の次のステップ、「医療経営士 2級」を目指している方に向けたコラムとして、お伝えしています。今回は、2級の推奨テキストについてお伝えします。

 

医療経営士2級の知識量は、半端ないボリューム?

 

3級を受験された方はご存知かと思いますが、「医療に関する最近の動向」にはテキストがありませんでしたので、3級の推奨テキストは計8冊でした。それぞれのテキストのボリューム感もそれほど大きな差は無く、何をどう勉強するかも、何度もテキストを読み込めばぼんやりでも見えてくるか、というところだったかと思います。

 

さて、では2級の推奨テキストを購入してみました。2級は、「一般分野」と「専門分野」に分かれており、2つに合格しないと2級合格にはなりません。推奨テキストの冊数としては、一般分野10冊、専門分野9冊、計19冊です。試しに、この19冊を積み上げてみました。まずそのボリューム感に圧倒されます。

 

 

では、これを横に並べてみましょう。

 

 

これを全部勉強するのか……と考えると気が遠くなりそうですが、「医療経営」にはさまざまな角度からの視点で物事を考えることが必要ですので、学ぶべきことは多くなるのでしょう。

 

例えば、経済産業省は今から10年ほど前、「医療経営人材育成事業ワーキンググループ」を設置して、今後の医療機関経営に即したスキル要件や教育プログラム、テキスト等の開発を行いました。

 

その中には医療経営に関わる人材についてこう書かれています。

 

医療機関経営者に必要とされる知識とスキル

 

1)医療サービスを理解し、提供するために必要な知見と特性
● 医療サービスに対する理解
● 医療サービスの提供にかかわる責務

 

2)組織の経営管理に必要な基本的技能と特性
● 課題解決力
● 対人力
● 志と心

 

3)戦略的マネジメントにおいて求められる技能と特性
● ミッションの明確化とビジョンの策定
● 経営環境の分析と把握
● 戦略の立案と意思決定
● 行動計画の策定
● 実践と評価

 

医療機関経営の特性として、医療サービスには「特性」があり、『不確実性』と『情報の非対称性』があること、専門職を活用した対人サービスであること、中小規模の組織や非営利組織が事業を展開することなども明記されています。この他、倫理的なことも学ぶ必要がありますし、当然ながら、法的なことも学んでおく必要があります。

 

そう考えると、やはりこのテキストのボリュームは、致し方ないのでしょう。

 

医療経営士2級の合格率は、3級よりも低くなる傾向

 

3級はこれまで22回の試験が行われており、合格率の平均は455%前後です。第20回は38.9%とやや低くなりましたが、第21回は47.7%、第22回は45.1%でした。
しかし2級になると、合格率は平均で25.6%程度になります。20ポイント近く低くなってしまうということです。

 

 

また1回あたりの受験者数も桁が変わります。直近で比較すると

 

  • 3級:受験者数=4,512人、合格者数=2,034人 (合格率45.1%)
  • 2級:受験者数=485人、合格者数=187人 (合格率27.8%)

 

これだけの開きがあります。

 

確かに、3級は「誰でも受けることが出来る」試験ではありますが、2級は「3級に受からないと受験ができない」試験です。そこもネックではあると思われますが、やはり「どれだけ専門的な視点で【経営】を考えられるのか」という部分が、2級の門を狭くしているのではないでしょうか。

 

【経営】は、良い事ばかりではありません。経営状態が上向きの時は良いのですが、一度下向きになってしまうと、なかなかその状況から抜け出せなくなります。医療機関にとっての「顧客」は患者さんになりますし、命がかかっているわけですから、クレーム対応、訴訟などの課題も出てくるでしょう。

 

また、医療の収入源は(自由診療を除けば)保険点数です。自らが提供する「医療サービス」に、自分で価格をつけることが出来ないため、収入を増やす方法にも限りがあります。その上でどうやって他の医療機関と差別化し、さらに連携していくのか、こうしたさまざまな課題を解決していくのは、やはり誰にでもできることではありません。

 

医師でも医療経営士はいる

 

居るか居ないかで判断するなら、答えは「居る」です。
医師であり、医療経営学のMBA取得者であり、医療経営士の資格を持った方が、現実にいます。

 

昨今では、医療機関の経営トップは「医師ではない」病院が増えています。クリニックでさえも、経営のトップが医師ではないところが、多数存在しています。こうした医療機関の変革の中で、医師としていずれ経営に加わっていく、あるいは自分で開業されることもあるでしょう。

 

その時、「医療経営とは何か」が語れる医師であれば、その医療機関は安泰なのかもしれません。

 

参考資料

 

一般社団法人 日本医療経営実践協会
医療経営士とは
http://www.jmmpa.jp/about/

 

一般社団法人 日本医療経営実践協会 プレスリリース
第 14 回「医療経営士2級」試験 187 人合格、第 22 回「3 級」試験 2034 人合格 「2 級」合格者の累計 1000 人突破!!
http://www.jmmpa.jp/docs/press_release_20171129.pdf

 

同上 医療経営士 キャリアステージ
http://www.jmmpa.jp/about/cat2/

 

同上 第14回「医療経営士2級」資格認定試験実施概要
http://www.jmmpa.jp/examination/cat3/

 

経済産業省サービス産業人材育成事業 医療経営人材育成テキスト[Ver.1.0]
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/g60828a03j.pdf

 

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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