スポットバイト体験記 脱毛クリニックバイト@東京都…安い給料はハードルの低さ
■ 記事作成日 2017/5/16 ■ 最終更新日 2017/12/6
今回のスポットバイト体験記は、脱毛クリニックについての話です。今月はGWの旅行で散財してしまったので、せめてもの家計補填のため、土曜日にバイトに行ってきました。
「今回はどこでバイトしようかなー」なんて思いながら派遣サイトを見るものの、ここ数年で、臨床研修制度開始後に雨後の竹の子のように増えた医師紹介会社に比例して、土日にバイトする医師も増えたようで、近い日程ではいい案件は残っていません。
「ん~、なかなかいいの無いなぁ。そもそも今週土曜日の午前中はちょっと回診行かなきゃいけない雰囲気だし、午後始まりのバイトって意外と少ないなぁ」
なんて思いながら眺めていると、「勤務時間:14時~23時」の案件を発見!業務内容を見てみると、医療脱毛だとのこと。勤務終了時間は遅いけど、奇遇にも勤務地は実家の近く。「皮膚科じゃないけど大丈夫かな?」なんて思いながらも、「専門科は問いません」と書いてあることを信じて、応募してみました。
結果、すぐ合格。脱毛に関する事前資料や、提出書類のフォーマットが送られてきました。
<勤務条件>
14時から23時
日給7万円(交通費別)
休憩1時間
給料は7万円と安いものの、前から自由診療クリニックというものを覗いてみたかったので、安い給料はハードルの低さだと前向きに考えて当日を待ちます。
勤務当日、昼過ぎまで常勤先の病院で過ごし、そこから都心の繁華街にあるクリニックへ向かいます。少し早いものの、初回だから事前説明があるかもしれないと思い、30分早く到着。
「こんにちは~、バイトできました。」
と受付のきれいなお姉さんに挨拶すると、「ここは女性用脱毛サロンですが…」と怪訝そうな表情。クリニックの名前を確認すると、やはり合っているのでその旨を伝えて確認してもらうと、どうもよく似た名前で系列の男性専用の脱毛クリニックがあるらしい。Google mapを過信してしまったようです。
急いで本来の勤務先に向かい、どうにか時間ぎりぎりに到着。慌ただしく白衣に着替え、書類のやりとりを済ませ、診察室へ。
そもそもどんな仕事をするのか、さっぱりわかっていない状況で、おもむろに案内してくれた女性からファイルを受け取ります。
どうも自分の仕事としては、渡されたバインダーファイルを使って、施術前のカウンセリングというものを行うことらしい。病院での問診のようなものです。
この日の予約者は5人。1人あたり1時間の枠が確保されています。そのうちの最初の30分が持ち時間で、ファイルを1枚ずつめくって説明。その後、診察室を退席して、事務の女性から料金やコースの説明が30分ほど入る、という仕組みのようです。
医師が行う説明内容としては、
- 毛の解剖
- 毛周期
- 脱毛理論
- 永久脱毛とは何か?
- 機械ごとの特徴
- 想定される合併症
などについて、絵本を読むがごとく1枚ずつめくって説明していきます。(ちなみに、永久脱毛とは、最後に脱毛を行ってから1か月後の毛の再生率が20%以下である脱毛法、と定義されているそうです。)
事前資料を読んで多少勉強していたものの、よく知らなかった内容もあり、口ではあたかも日々医療脱毛に携わっています、という風を装いつつ流れるように説明しながら、自分も学んでいきます。
さながら、塾講師のアルバイトで、予習せずに初見の問題をその場で解きながら解説しているときの気分を思い出しました。
時折、「顔の脱毛をこっちの機械でやって欲しいんですけど、だめなんですか?」なんていう質問がきて、「(書いてあること以上のことはわからないよ!)」なんて思いつつも、「顔は敏感なので痛みを感じやすい部位です。こちらの機械の方が、痛みが少ないので、…」などといって取り繕いつつ、「詳しいことは後ほど専門の担当から説明があります」と乗り切ります。
脱毛クリニックのバイト勤務に必要な知識1:脱毛サロンと脱毛クリニックの違いとは?
そもそも、脱毛サロンと脱毛クリニックの違いについて、御存知でしょうか。最も大きな違いは、使える脱毛器が異なることです。脱毛サロンはいわゆるエステなどが経営していますが、基本的に光脱毛器(フラッシュ脱毛器)というものが主に使われます。一方、クリニックではレーザー脱毛器が使用されます。
どちらも、熱を与えることで脱毛させるという点では同様ですが、医療機関で用いられるレーザーの方がより一か所に集中してより強い力で照射することが可能なのです。すなわち、出力が強いため、医師の監督下でしか行うことができません。また、出力が強い分、痛みもそれなりに強いので、必要に応じて麻酔を行う必要もあるため、医師の管理が必要になります。
脱毛クリニックのバイト勤務に必要な知識2:どうして脱毛は期間をあけるのか?
脱毛には時間がかかります。クリニックで1回脱毛をしたからといって、すぐに永久脱毛になるわけではありません。どうしてもある程度の期間を空けつつ、回数を重ねる必要があります。
それはなぜかというと、まず、ある程度は毛が生えている状態でないと、脱毛効果が無いためです。レーザーは光なので、黒いものによく吸収されます。つまり、かぼそい産毛ではなく、しっかりと黒く生えそろっている状態が必要なのです。一度脱毛したあとは、ある程度毛が生え揃うのを待ってから再度施術を行う必要があります。
また、毛には毛周期というものがあり、すべての毛穴から常に毛が生えてくるわけではありません。毛にも休眠期というものがあり、休んでいるものもあるのです。そのため、何回か施術を繰り返すことで、永久脱毛の状態に持っていくのです。おおよそ、最低5回、標準的には10回程度必要だと覚えておきましょう。
さて、そうした医師からの説明(30分)→事務からの説明(30分)がひたすら繰り返されます。医師からの説明が終わったあとは、荷物を持って診察室を退席し、控室で待つようになっています。ただ、この控室が個室ではなく、出入りもそれなりにあるため何となく肩身は狭く、パソコンを広げて合間の時間に学会仕事を進めようという気にはなりませんでした。
勤務としては14時~23時ですが、本日の予約は5人しかいないため、実働は2時間30分。合間の時間に1時間くらい夕飯を食べに外出可能でした。
最後の2時間は全く予約が入っていなかったものの、施術している方がいるため、一応待機。「もう帰らせて欲しいなー」なんて思っていると、「先生、ちょっと来てもらえますか」と呼ばれる。
どうも話を聞くと、もともと麻酔希望の方が、食事をしてきてしまい、それでも麻酔をかけてほしいと主張しているとのことでした。笑気麻酔でしたが、確かに嘔吐されるとかなり面倒なので、「ルールなので、今日は麻酔無しでやりませんか」と提案するも、「絶対嫌だ」と断固拒否。
よく聞けば、数時間は空けているようではあるし、埒があかないため、麻酔可の指示を出しました。幸いなことに、その後特に問題無く施術終了しましたが、「そういえば自由診療クリニックで事故があったら医賠責って適応されたっけ?」とふと不安になりつつも、業務終了の時間を迎えました。
脱毛クリニック勤務は、基本的には毛嚢炎の診断だけできれば、あとは医師であればだれでもできるバイトでしょう。コスパがいいかと言われると、そこまでいいわけではありませんでした。救急外来の当直をやるよりは気持ちは楽だし、スケジュールが合えばいいのかもしれません。
ただし、基本的には客商売ですので、「笑顔で接客」できることは必須スキルと言えるでしょう。
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