スポットバイト体験記 訪問診療@東京都…幅広い診療スキルが必要だが、マイペースで仕事ができる
■ 記事作成日 2017/6/11 ■ 最終更新日 2017/12/6
今回のスポットバイト体験記は、訪問診療についての話です。
研修医の頃に地域医療研修で訪問診療を行ったことがあったので、実際一度やってみたいなと以前から思っていたため、今回初めて訪問診療バイトに挑戦してきました。
<勤務条件>
9時から17時
日給8.5万円(交通費別)
休憩1時間
給料は8.5万円と、無難に1時間1万円と標準的です。でも訪問診療って1日にそこまで患者数診られないし、それにしては割がいいのかな、と思いつつも応募。
朝8時半、クリニックに到着。訪問診療クリニックは医療者側から出向き、基本的に患者が直接来ることを想定していないので、大抵はビルの1室だったり、アクセスがやや悪かったりするような(家賃の安そうな)ところに入っています。
しかし今回伺ったクリニックは、昨今の訪問診療ブームのずっと前からやっているクリニックのようで、3階建ての大きな事務所でした。
中に入ると、さながら古いオフィスのようで、電話の乗った机が整然と並べられていました。
まず控室に案内され、業務についてマニュアルを渡され、簡単な説明を受ける。9時過ぎまで待機。
予定通り9時過ぎに、本日のドライバーである小林さんから、「じゃあ先生そろそろ行きましょうか」とのこと。白衣を借り、ペットボトルのお茶を渡され、車に乗り込みます。
車に乗ってから、「今日の診療予定です」と渡されたリストには6名の患者が書かれていました。助手席には6名分の紙カルテが載っていて、最初に向かう患者のカルテを渡されました。今日はやや遠方で移動時間がかかるので、6件とやや少なめ。近場ですむときは、10名件らいまわることが一般的なようです。
早速出発。ドライバーの方とは初対面なので、まずアイスブレーキング。出身や、前職のことなどについての話で盛り上がります。1時間ほど走ったところで、1件目の訪問診療先に到着。
1件目は、90歳で施設入所中の女性。特に変わりは無い旨を施設の看護師から報告を受けます。部屋に行き、「こんにちはー」と挨拶。認知症がかなり進行しているようで、受け答えは難しい様子。最初に血圧、脈拍、酸素飽和度を同行スタッフに測定してもらい、カルテに書き込みます。
「特に変わった様子は無いし、何を書けばいいのかな」と思いますが、ひとまず胸部聴診をして、下腿浮腫の程度を評価し、記載します。それが終わり、特に問題無いの無いことを確認し、「それでは失礼します」と退散。概ね5分ほどで1人目の診察が終了しました。
そこから20分ずつほど走り、次の施設へ向かいます。本日は基本的に施設訪問とのこと。確かに、右も左もわからない若造医師が、家族も同居している個人宅への訪問をするのは、経営的にややリスキーなのかもしれません。
「え、この先生で大丈夫?」と思われる可能性があるからでしょう。
2件目の施設に到着。ここでも、85歳の男性の診察。同様にバイタルをはかり記録し、簡単な診察で特に変わりなし。便秘薬の処方を頼まれ、処方箋を記載し判子を押す。施設のコピー機でコピーをとって、持ち帰ります。
もう一人、本日は診察予定日ではないものの診察して欲しい人がいるとのこと。どうやら早朝に転倒してしまったらしい。診察するも、特に目立った外傷もなく、本人もお元気で普通に過ごされている。経過観察する他ないため、様子を見てもらうことにして2件目を後にします。
ちなみに、今回勤務したクリニックは紙カルテで運用しているので、病歴に関する情報はわかりません。最近はクラウド型の電子カルテが普及してきており、その場合はそうした際にも病歴や投薬情報を即座に参照して診療を行うことができるので便利でしょう。
2件目が終わり、その流れで4件目まで、1人か2人ずつ診ながら午前の診療を行いました。せっかく施設に行くなら、施設にいる方を何人もまとめて診察したらいいのに、と思いますが、どうもそうはいかないようです。診療報酬的には、せいぜい2人までとのこと。効率悪いなー、と思いつつ、仕方ありません。
12時過ぎに、「じゃあ先生、そろそろお昼にしましょう。どこか希望ありますか?」と聞かれます。車での移動なので、少し道を外れてドライブすればいくらでも行くところがあります。食べログで検索して、近くの美味しいとんかつ屋に行きます。駐車場が無いのでコインパーキングに駐車。
昼ごはん代は経費にならないようですが、駐車場代は経費になるとのことでした。
1時間くらいゆっくり食事をした後、午後の診療を2件こなします。診療が終わった後は、クリニックに戻り、時間まで待機。臨時往診の依頼があれば呼ばれるとのことで、スマホをいじりながら待機。近くにカフェがあるので、電話番号を教えて、カフェでお茶をしたりして過ごします。結局その日は臨時往診も無く、定時よりやや早い、16時半に勤務終了しました。
訪問診療と往診の違い
ここで、訪問診療と往診の違いについて調べてみました。
訪問診療と往診、何が違うか説明できますか。在宅診療は、訪問診療と往診の2つに分けることができます。どちらも、病院やクリニックなどの医療機関ではない、患者の居住空間で医師の診察や治療を受けることができるという点は同じですが、実は異なる診療手法です。
訪問診療は、おおむね月に2回から4回程度、あらかじめ決められた日時に、医師が患者の自宅や施設などを訪問し、診察・処置・処方を行ったり、療養指導を行ったりということを「計画的に行っていく」医療サービスです。
一方、往診は、時代劇に出てくる医師のイメージのように、突然体調を崩すなどして医療機関へ向かうことができないような際に、医師が直接患者の自宅や施設に行って医療を行うサービスのことです。もともと決められたスケジュールで行うわけではなく、あくまで臨時で呼ばれて在宅医療を提供することを往診と称することが多いのです。
まとめ - マイペースで仕事ができるが幅広い知識も必要となるのが訪問診療バイト
今回は訪問診療バイトを経験しました。1日に診る患者数は少ないため、心理的負担としては比較的楽な部類でした。特に何か困っている症状があって呼ばれているわけではないので、ほとんどの場合においてバイタルを測定して簡単な診察をする以外、やることもありません。
ただ、1日中車に乗っているため、移動による身体的負担は意外と大きいものです。(個人的には人の運転する車に乗るより自分自身で運転した方が楽なので、そうさせてほしいところではありましたが)
また、このあとも数回同じ勤務先でバイトを行いましたが、同行するドライバーによって、話が続く人と続かない人がいて、そのあたりの気遣いが多少面倒ではありました。とはいえ、別に移動中に音楽を聴いていていけないわけではありませんし、乗車中に本を読める人であればそのような過ごし方もできるでしょう。
時に内科以外に皮膚科であったり、泌尿器科であったり、幅広い診療スキルが求められることもありますが、総じて比較的ゆったりとした時間の流れで診療できますので、そのような診療スタイルを好む方には向いているバイトだと言えるでしょう。
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