スポットバイト体験記 抗がん剤外来@東京都
■ 記事作成日 2018/11/12 ■ 最終更新日 2018/11/912
今回は、私の友人であるがん専門医Bさんからの寄稿体験です。
年越し当直を行ってきたそうで、しかも4日間、スポットバイトとしてはやや長めのアルバイトです。
今回は、お盆休み中の抗がん剤外来のお話です。
同僚の休みとの兼ね合いで、今年は急遽お盆に夏休みを頂くことになりました。しかし独り身の自分としては、休みがあっても急に友人と予定が合わせられるわけでもなく、実家でゆっくりするのも性に合わないため、1日くらいアルバイトをすることにしました。そもそもお盆は混んでいてどこかに出かける気もしません。
今回働いたのは抗がん剤外来を担当するアルバイトです。もともとレジデントとして働いていた病院で、そのようなアルバイトがあることは知っていました。「この病院、研修医の給料は安いけどバイトの医者は意外と給料高いらしいよ」という噂は耳にしておりましたが、実際どうなのかと気になっていました。
なかなか巡り会う機会がなかったのですが、求人欄を閲覧しているとたまたま目にとまり、すぐに応募しました。
<勤務条件>
- 9時〜17時30分(昼休憩1時間)
- 日給15万
- 交通費別途支給
- 抗がん剤外来の対応、問診、相談
- 休憩室あり
事前研修は不要だった
担当者経由で、数年前にレジデントで働いていたことを話し、流れや仕事内容はある程度把握していることをお伝えしたところ、前もっての研修等は不要とのことで、当日は勤務開始30分前に行くことになりました。
特に面接等もなく電話のみで、採用不採用という流れもなく、『お願いします。』とすぐに言われました。日給15万円という高額案件であるため、応募はたくさん来ていたと思いますが、やはり元職員という立場は強かったようです。
実際にレジデントとして働いていた時に、婦人科で抗がん剤を処方した経験もあるため、大体は把握していましたが、念のため当時までに用量、副作用、注意事項の確認をしっかりと予習し、当日を待ちます。
午前の業務
当日は8時20分に到着し、その日の受診する患者の情報をまずは午前中の予約分をすべて読みました。8時50分頃からその日の抗がん剤外来担当看護師、担当医師、担当薬剤師と朝のミーティングを約10分間行いました。
看護師、薬剤師は常勤で日頃から抗がん剤外来を担当している方たちですので、基本的にお任せです。
私は医師として抗がん剤治療前の患者との診察、薬投与中のバイタルの確認、投与後に必要であれば処方箋を発行するというのが業務内容です。基本的には、前回受診内容を確認し、薬の投与量、投与薬の最終確認を行えば事足ります。
基本的に特別なことはなく、抗がん剤のための点滴の穿刺を行ったあとは裏のモニターが見える部屋で待機するという流れでした。多少、自分の学会仕事などを進めることもできる環境でした。他のスタッフと同じ空間だと業務に関係ない作業などはしづらいところがありますが、そのあたりも配慮されています。
午前中は患者10名。乳がん患者2名、子宮がん患者2名、食道がん5名、舌がん1名、脳肝臓がん1名でした。
この患者数を医師2名で担当します。私の専門が婦人科のため、乳がん、子宮がん患者を担当することに決まり、手があけば他の患者は臨機応変に対応することになりました。
抗がん剤外来というと重症の方ばかりのような印象を持たれるかもしれませんが、今回の案件では外来で抗がん剤治療を受けに来る患者さんですので、当然のことながら末期の方はみえません。快方に向かっている方や再発防止、寛解状態、治療開始し始めた方等がメインです。
入院患者さんよりもみんな明るく、前は入院していた方も多いせいか、家で過ごせることや、外に出られること自体がとにかく嬉しいと話して下さる方が多くみえます。抗がん剤治療中とは感じさせないような明るい方が多く、抗がん剤外来の中は明るい雰囲気でした。
ただし、プライバシーを守ること、なるべく患者同士の接触は避けることや、感染しやすい患者が多いため、感染症に暴露している人がいないかの確認を念入りにすることなどを注意しながら業務を行う必要がありました。
午後の業務
お昼は午前の患者さんが概ね終わって、13時頃からとることができました。病院のある場所自体は都会なのにも関わらず、意外と近くに簡単に食べに行けるところがありませんので、病院内のレストランで食べました。
レジデントの時はちゃんと休憩時間がなく、毎日持参のお弁当を作業しながら食べていたので、病院内の食堂で食べるのは実は初めてでした。しかし、病院内の食堂にしては高く、お客さんもあまり入っていなかったので、人気が無いのかな?と思いました。
味はいたって普通で、入院食に少し彩りを加えた感じでした。これだったらコンビニ内に売っている独自のお弁当の方がよかったと思いました。産婦人科医になってから、最近はめっきりお弁当を作らなくなりましたので、次の機会にはそちらに行こうと思います。
13時50分には外来に戻り、午後からの患者のカルテを全て読み、気になる点はDI室に問い合わせ、15時に外来が再開しました。午後は午前中よりも少し重い病状の患者が多い為、人数は少なく、5人でした。
乳がん患者1名、膀胱がん患者1、肺がん患者1名、血液がん患者1名、大腸がん患者1名でした。5人とも違う箇所のがんであったので、来た順番にもう1人の医師と交互に診ていきました。
穿刺が終わると異変が無い限り特別することもないので、午前中のカルテを書き終え、スポットバイトの書類等も全て記入し、17時過ぎに患者が無事治療を終え帰ったところから、午後の患者のカルテを全て書きました。
午後の患者は少し病状が重いため、午前中よりは楽しい雰囲気が無くなり、今後の治療方針、現在心配な事、不安な事をとにかくよく聞いてくる患者さんが多かったです。看護師にも沢山相談している様子で、看護師が答えられないことは医師に意見を求めにくるという感じです。なるべく患者の不安を取り除くため、自ら患者の元へ行き、お話をしました。
病院は基本的に診察の時しか医師に会えず、医師に会うと緊張してしまう患者が多いですが、特に病状が重い人ほど、安心感を持っていただきたく、私はなるべく患者と直接会い、話を聞き、しっかりと個々の話をして覚えておきたいという考えを持っているため、患者の元によく足を運びます。
もちろん常勤でしかできないこともありますが、非常勤だからこそ、沢山時間をかけられるということもあります。医師免許が無くてもできる、「安心感を与えること、コミュニケーションをとること」も、医師の役割としてはとても大きいものだと思っています。
また、そうしたちょっとした気遣いでスタッフからの評判も上がり、次回採用時に採用してもらいやすくなったり、紹介会社によっては裏でこっそり指名する制度をとっていたりする場合もありますので、直接お声がかかることも出てきます。
1回あたりの単価が高く、働きやすい病院では、その日限りではなく継続的に付き合えるようにちょっとした気遣いをするようにしています。
全てのカルテを書き終わり、18時過ぎに病院を出ました。少し前後で超過勤務が発生しましたが、その分の手当ては出ませんでした。労働の負荷としてはさほど重くない中、実労働9時間半で15万円ですから、1.5万円をこえていますので、十分だという感想です。また是非予定が合えば応募したいと思います。
今回は大きな異変が途中で起こることはありませんでしたが、抗がん剤治療中には緊急対応が必要になることも稀ではありません。抗がん剤のトラブルケースを熟知した上で、抗がん剤外来は仕事を受けるべきだと思います。
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