第30回:医師×看護師のカップル、実際はどうなの?うまくいく秘訣は?
■ 記事作成日 2018/5/15 ■ 最終更新日 2018/5/15
よくあるカップル…医師×看護師の実際とは?
看護師ライター紅花子です。このコラムでは、私の約10年の看護師経験の中で感じた“医師として活躍するために必要な素質”について考えてみたいと思います。
医療機関で働くと多く見かける医師×看護師のカップル。メディアでも特集が組まれることもあり、世間的にも興味を持たれやすい組み合わせです。
そんな医師と看護師のカップルは、交際や結婚についえてどう考えているのか。今回は、医師×看護師のカップル 実際どうなの?というところに着目しました。
そもそも医師、看護師それぞれどのくらい結婚しているか
まずは医師と看護師それぞれの未婚率から、その恋愛事情を探ってみます。
ある調査結果によると、男性の医師の未婚率は14.6%、男性の看護師の未婚率は36.9%でした。その一方で、女性の医師の未婚率は47.9%、女性の看護師の未婚率は33.0%となります。
つまり、男性の医師の多くは結婚して家庭を築いている中で、女性の医師は結婚せず、独身で仕事を全うしている人が多い、という傾向があることが見て取れます。
その相手が看護師であるかどうかという統計データはありませんが、医療機関で働いている人の多くは、看護師と医師のカップルあるいは夫婦を見かけるのではないでしょうか。例えば「夫が開業したクリニックの看護師のトップが妻」という組み合わせは、実は結構、多いのかもしれません。
2015年に、国立社会保障・人口問題研究所が行った「第15回出生動向基本調査」によると、結婚した男女のうち、およそ3割は「職場での出会い」だったことが分かっています。
この調査対象は医師や看護師に限定したものではありませんが、どちらも「多忙」を極める職業なわけですから、やはり出会いの場所は、1日のうち最も長い時間を過ごす場所=勤務先なのかもしれません。この場合も、少なくとも3割かそれ以上は、いわゆる「職場結婚」なのではないでしょうか。
医師が看護師と付き合うことについて
看護師と交際する、あるいは結婚して妻にすることについて、医師達はどのように思っているのでしょうか。
私の周りで実際に看護師と交際している、あるいは看護師と結婚した医師数名に「実際のところ」を伺ってみました。すると、医師は看護師と付き合うあるいは結婚することを好条件と捉えている人が多かったようです。
その理由として最も多かったのが「自分の仕事についての理解がある」ということです。
医師は勤務時間が不規則であるということだけでなく、休みの日やプライベートな時間にも勤務先から連絡が入り、場合によっては急遽出勤しなければならないこともあります。時には旅行をしているにもかかわらず、要請があれば急遽旅行をキャンセルしなければならない、ということも。
このような「仕事の事情」に理解がある看護師は、結婚相手として好まれるのかもしれません。特に医療機関は、圧倒的に女性が多い職場です。そういった職場環境も含めて理解してもらえることも、医師が交際相手として看護師を好む理由となるようです。
また、高収入と言われる医師といえども、勤務医であり、なおかつ勤務している医療機関によっては、収入には差があります。過去に厚生労働省が行った調査によると、勤務医と開業医との収入差は、非常に大きいという特徴もある職業です。
また、開業医の場合は自営業扱いであるため、退職金が捻出できなかったり、自分が病気になった際には無収入となってしまうといった事情もあります。高収入な職業でありながら、生活基盤が急に揺らいでしまうこともあるわけです。
こうした背景からも、収入面で自立できる看護師は、交際相手として好まれるようです。
さらに、同じ病棟で働いている看護師が交際相手ならば指示を出しやすい、報告をもらいやすいなど、ちょっとした気遣いが仕事上でも得られるという期待感からか、看護師と交際することを好条件に思う医師が多い傾向にあるようです。
看護師から見るとメリットを感じている人はごく少数?
一方、医師から見ると好条件、交際のメリットが多いように見える看護師のパートナーですが、看護師から見るとメリットを感じているという人は、ごく少数となる傾向にあるようです。
互いに不規則勤務である職業であるため、プライベートの時間が確保しにくく、職場でしか顔を合わせる機会が無いということに対して不満を抱く看護師は、たくさんいます。
また、相手が研修医、あるいは大学病院の勤務医である場合は、突然出向などで遠方へ派遣されてしまうこともあり、遠距離となってしまうことも少なくありません。これらのことから、医師がパートナーとなることに対するメリットを感じる看護師は、意外にも少なくなるようです。
さらに同じ病棟で働いており、なおかつ自分の経験年数の方が長いという場合には、医師の指示に疑問を感じていてもそれを伝えにくく、仕事がしにくいという意見もありました。
看護師が医師を自分のパートナーとしている場合には、医師としての彼ではなく、その人自身に好意をもつ人が多いということが、意見を聞いていく中で分かりました。
まとめ
出会いの場が限られていることから、交際相手としてお互いを選びやすい医師と看護師。
当たり前のことですが、自分の仕事に有利に働くからという打算的な意味合いではなく、医師や看護師という肩書にこだわらず、一人の人として向き合っていくことが、上手くいく秘訣といえそうです。
看護師のパートナーが欲しいと考えている医師は、特にこのことを念頭において向き合っていくことが良いのかもしれません。
参考資料
厚生労働省 「勤務医の給料」と「開業医の収支差額」について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/iryouhoushu.html
医師・看護師の婚姻状況 北海道医療大学
https://hsuh.repo.nii.ac.jp/?action=repository_action_common_download&item_id=6414&item_no=1&attribute_id=22&file_no=1
国立社会保障・人口問題研究所 第15回出生動向基本調査統計表(単純集計表)
http://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/db_15/db_15reportSIMPLE.html
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