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第29回:ココだけの話、女性医師は何歳までバリバリ働ける?

ココだけの話、女性医師は何歳までバリバリ働ける?

 

■ 記事作成日 2018/4/9 ■ 最終更新日 2018/4/9

 

女性医師はどの診療科で働いているのか

女性医師と診療科

 

元看護師のライター紅花子です。
このコラムでは、私の約10年の看護師経験の中で感じた“医師として活躍するために必要な素質”について考えてみたいと思います。

 

今回は、ライフスタイルの変化が男性よりも目まぐるしい女性医師は、いったい何歳まで第一線でバリバリと仕事をこなすことができるのか、というテーマで考えていきます。

 

せっかく長い年月かけて医師免許を取得したとしてもその資格を利用してバリバリと働かなければ意味がないのかもしれません。男性医師と肩を並べて第一線でバリバリと活躍でいる女性医師の年齢と働き方に着目してご紹介します。

 

女性医師数の割合は年々増加傾向であり、平成24年では医師全体のおよそ19.7%は女性医師であるとされていました。
また、若い女性の医師志望者も増えており、医学部全体のおよそ3分の1が、女子学生となっているのが現実です。

 

今後も女性医師はますます増加することが考えられており、いずれ「医学生の4割が女子学生」となるかもしれないと言われています。

 

そんな女性医師の働く診療科の割合を知るために、厚生労働省が行っている「平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査」の結果を見てみました。

 

すると、最も女性医師が多い診療科は内科で、およそ1万人の女性医師がいます。内科医全体のおよそ16%を、女性医師が占めていることになります。次が小児科で、5800人あまりの女性医師が、医療機関の小児科で働いているようです。これに、眼科や皮膚科が続きます。

 

医療施設従事女性医師数 主たる診療科

 

逆に女性医師が少ない診療科をみてみると、最も少ないのが「気管食道外科」でわずか2名でした。
これに、アレルギー科、肛門外科、感染症内科、美容外科、臨床検査科、呼吸器外科と続きます。

 

では、男性医師ではどうでしょうか。男性医師も、もっとも多いは内科ですが、これに整形外科、外科、消化器内科(胃腸内科)、精神科、小児科、循環器内科と続きます。

 

女性医師の場合、外科や整形外科は18位や16位です。上記のグラフは、女性医師の多い診療科のトップ10を表したものですが、この中に「外科系」は、産婦人科しかありません。女性医師が外科系の診療科を敬遠する理由としては、手術などにおける体力的な問題や、不規則な勤務時間があるようです。

 

女性医師の働き方って?

 

では、女性医師はどのような働き方をしているのでしょうか。

 

厚生労働省のデータによると、女性の就業率はM字カーブを描いているといわれています。

 

平成18年に行われた厚生労働科学研究の結果によると、医学部卒業直後は男性医師と同等の就業率であるものの、年々減少の一途をたどり、おおよそ35歳あたりとなると男性医師の就業率が89.9%であるのに対して女性医師の就業率は76%となります。

 

その後再び就業率は伸びていき、60歳頃に男女医師の就業率が同率となります。
その後はまたさらに減少傾向となるものの、75歳時点では男性医師よりも女性医師の就業率が高くなっています。この変化が「M字カーブ」と呼ばれるものです。

 

女性医師の就業率が一旦低下する大きな理由は女性特有のライフスタイルの変化が考えられます。

 

日本医師会が平成29年に公表した「女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書 」によると、一カ月以上仕事を中断したことがある人は女性医師全体の47%であり、そのうちの84%が出産・子育てで1年未満の休職をしています。

 

そのため、出産や子育てによって一旦仕事をリタイアあるいは休職し、子育てがひと段落したところで復職することによって就業率のM字カーブが作られていることが考えられます。

 

女性医師って、何歳までバリバリ働ける?

 

それでは結局、女性医師は何歳まで働くことができるのでしょうか。

 

前出の厚生労働科学研究によると、女性医師は75歳になると男性医師よりも就業率が高くなります。したがって働こうと思えば何歳になっても現役バリバリで働き続けることができるといえるでしょう。いくつになってもキャリアを維持して働き続けるための大きなポイントは結婚、出産、育児といった女性ならではのライフスタイルをどのように工夫していくかということです。

 

男性医師の場合は、結婚しても配偶者が家庭に入って家事や育児をこなしてくれることが多いでしょう。
いわゆる「イクメン」は、一般企業の男性社員よりも、少ないのではないでしょうか。

 

一方、女性医師は結婚しても、共働きで夫婦共に正社員(正規職員)であることが多いからか、育児等の協力が十分に得られない場合が多くなるようです。

 

女性医師 - 夫による育児参加の現状

 

つまり、出産、育児と両立して仕事をバリバリとこなしたいという場合には、夫など家族の家庭のサポートがカギとなるでしょう。
また、女性医師は早期に開業医へ転出する人が男性医師よりも多く、このキャリアコースは、日本における女性医師の一般的な働き方として、定着しつつあるようです。

 

この理由にも結婚、出産、子育てといった女性特有のライフスタイルが関係しています。女性医師にとっての開業は、診療時間を生活パターンに合わせて調整したり、「夜勤の無い働き方」を選択することができます。

 

子育てと両立しながら比較的高収入を得ることができるため、病院勤務医よりも魅力的な働き方なのかもしれません。

 

まとめ

女性医師 - 夫による育児参加の現状

 

以上のことから、女性医師が医師としてのキャリアを維持してバリバリと働き続けるためには

  • 夫及び家族のサポートを最大限に受けつつ、女性医師に理解のある診療科の病院勤務医として働き続ける
  • 早期に開業して、自分の生活パターンやライフスタイルを維持する

という選択肢が現実的となるようです。

 

医師の免許があれば医師として働くことは保証され、生涯働き続けることができます。

 

問題はどうやって働くか、どこで働くか、自分がどのくらい働きたいかというところとなるでしょう。
自分のライフワークバランスを考え、ライフプランを組むことで、働きたい年齢まで「質」を維持して働くことは、可能となるのではないでしょうか。

 

 

参考資料

 

厚生労働省 女性医師の年次推移
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000069214.pdf

 

同上 平成28年(2016年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/16/index.html

 

日本医師会 医療現場の男女共同参画をめざして
https://www.med.or.jp/doctor-ase/vol1/page_28.html

 

同上 女性医師の勤務環境の現況に関する調査報告書 (平成29年8月公開)
http://www.med.or.jp/joseiishi/h29wd_survey.pdf

 

同志社大学 我が国における女性医師の現状
https://doors.doshisha.ac.jp/duar/repository/ir/15348/019013020008.pdf

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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