TBS「ひるおび」 H25年8月20日12:00~より
2013年8月20日放送のTBS「ひるおび」では「熱中症より恐ろしい夏の不調!猛暑が影響3つの注意点」をテーマに放送していました。以下は番組内容の要約ですので、番組を見落とした方などはチェックしてみてください。
※画像はTBS「ひるおび」ウェブサイトより http://www.tbs.co.jp/hiru-obi/
間違った猛暑対策への医師の見解
連日の猛暑に、これまで経験したことのない暑さが続く今年の夏(※2013年放送時)。先月だけでも、熱中症による救急搬送状況は2万3699人に及ぶという。気象庁は平年より高温になるという予想から、引き続き熱中症に注意を促している。
この猛暑による影響は、熱中症だけではないという。医師であり医療ジャーナリストの森田豊さんは、
「暑さの厳しい今年の気候で自律神経の乱れやアレルギーなどの免疫のトラブルが起こりやすくなっています。そのため今年の夏の残暑の中でさまざまな体の不調を訴える人が多くなっています。」
と話す。
実は猛暑によるダメージは、皮膚や肺、胃腸にいろいろな形を変えて現れ、さらに間違った猛暑対策が、思わぬ病気の要因にもなるというのだ。
森田氏は、
「熱中症予防で水分を補給することは大切です。ただし、清涼飲料水などを飲みすぎると急に血糖値が上がり、一過性の糖尿病(ペットボトル症候群)になってしまう可能性があるんです。」
と説明した。そこで現役医師3人が、その原因を徹底解明。予防策までを具体的に解説する。
猛暑時に子供を公園で遊ばせる際の注意
3人の医師は、よしき皮膚科クリニック銀座院長の吉木伸子さん、鎌倉女子大学教授の木下博勝さん、そして医師・医療ジャーナリストの森田豊さん。
3人に連日の厳しい暑さ対策について聞くと、まず皮膚科のスペシャリストの吉木伸子さんは、気温が高い日は子供のやけどに注意することを呼びかけた。
司会の恵俊彰さんも
「いろいろな遊び道具が外の公園には沢山ありますよね。どうしても触れてしまいますね。」
と熱くなった鉄性の遊具への心配していたように、公園の遊具には注意が必要だ。
注意が必要なものとしてまず挙げられているのが、公園のすべり台である。8月12日、横浜のとある公園の午後2時の気温は34.6度だったが、すべり台の滑走部をサーモカメラで計測すると、なんと54度にまで上昇していたのだ。何気なく触る遊具に触れるだけで、やけどになる温度の遊具があるのは驚きである。
次に注意が必要なものとして、タイヤの遊具が挙げられている。8月15日、東京都練馬のとある公園の午後2時の気温は34.2度。同じくサーモカメラで計測すると、なんと遊具は67度にもなっていたのだ。すべり台の金属部より高温となっていることに驚きを感じる。
他にも高温になるものとして、マンホールのフタで60度、ガードレールでは54度という計測の結果だった。吉木さんによれば、
「大人の皮膚では60度のものを3秒触っただけでやけどをする可能性があり、子供の場合は皮膚が薄いためそれより低い温度でやけどする可能性がある。」
という。実際に立体駐車場の鉄の床でよちよち歩きの子供が前に倒れそうになり、両手をついたところ、起き上がるまでに時間がかかって両手にやけどを負った写真が映し出された。大人が考えるよりも危険な場所が存在することを改めて認識させられた。
実際にやけどを負った場合の処置について、吉木さんは次のように注意を促す。
「やけどを負ったらまず冷やすことです。消毒したり、薬を塗ったりとすることをまず考えますが、まず水でいいので冷やすことです。冷やしながら病院で受診してもらうことです。」
さらに吉木さんは、夏は汗による接触性皮膚炎に要注意しなければならいことを指摘した。接触性皮膚炎の症状として、まず下着などで蒸れる部分に汗が溜まると発疹ができ、かゆみを伴う。これを掻き過ぎると傷になった部分から細菌が入り、症状が悪化する可能性もあるという。日焼けや乾燥などで肌が弱っているとなりやすいのだそうだ。
肌は冬だけでなく、夏も乾燥するという。吉木さんは
「肌をつよく洗いすぎないことと保湿をすることが大事」
と、この時期のスキンケアの必要性を説明している。肌トラブルの予防法として、汗で蒸れないために通気性の良い素材(綿や麻)の衣服を着ること。また、かゆみで掻いてしまったときに、爪からバイ菌が入って悪化しないように、爪を短く清潔にすることが一番の対策として挙げられていた。
胃腸の冷え性に対する木下博勝医師の見解
続いて胃腸専門の木下博勝さんから、胃腸の冷え性への注意が必要だと指摘がされた。今はお盆休みの暴飲暴食で胃腸が弱っている人が多い時期であり、普段以上に胃腸への注意が大事だというのだ。エアコンでの冷やし過ぎや冷たいものの取りすぎには、意識しておくことが大切なことだと語る。
エアコンでの冷やしすぎは全身が冷えて血液の循環が悪くなり、結果として胃腸に影響を及ぼす。恵俊彰さんも、
「熱中症予防でエアコンは必要ですし、そこは難しい問題ですね。」
とコメントした。また同じく木下さんも、
「そうなんです、そこが難しいところです。冷やしすぎないようにということですね。」
と話しており、その加減をどうするかが重要なことと言えそうだ。では、胃腸が冷えてしまうとどのような症状がでるのだろうか。木下さんによって3つ挙げられた。
まず血液に流れが悪くなり、疲れやすくなったり、頭が重く感じたり、下痢や便秘を繰り返すことになる。全身を流れる血液が冷たくなるので、結果的に頭が重く感じることにつながることもあるという。ゲストの原千晶さんも
「暑いからっておなかを出しているからだけでなくて、体の中が冷えていくということですね。」
と、冷たいものの取りすぎへの意識を改めていた。最近ではコンビニでも冷たい飲料だけでなく、常温の飲料水も販売しているので参考にしておきたい。
次に胃腸が冷えることの症状として、免疫力が低下し、風邪をひきやすくなること。最後に自律神経のバランスが崩れ、体温調節が上手くいかなくなって熱中症になりやすくなる可能性があると説明された。では、胃腸を健康に保つための方法としては、どうすれば良いのか。木下さんは、
「冷たいものを取りすぎないこと、エアコンの温度を下げすぎないことももちろんですが、規則正しい生活としっかりした睡眠も大事です。」
と、その方法について説明した。
熱中症とアレルギー
医師の森田豊さんは、2つのアレルギーに要注意だと指摘する。
1つは寒暖差アレルギー。血管運動性鼻炎と言われるもので、鼻の奥の血管が縮んだり、広がったりしてダメージを与えるものである。温度差で自律神経の機能に作用する。その症状としてはくしゃみや鼻水、鼻づまりが挙げられ、アレルギー症状に似ているが、目のかゆみは無い。予防としてマスクの着用やカーデガンの利用、特に下半身を冷やさないことが大事であると森田氏は話した。
2つ目は、カビによるアレルギー症状である。高温多湿を繰り返すこの時期にもっと多いのだという。カビによる肺のアレルギー反応で、エアコンから放出されるカビや風呂場でのカビを繰り返し吸い込むことで、肺の中にアレルギー症状が生じ肺炎になる夏型過敏性肺炎となる可能性がある。症状としては咳や痰など風邪に似ているが、通常の風邪と区別する方法として、森田さんは
「夏になるとせき込み、旅行にいくとおさまる、家も戻ると咳こむなどの違いがあります。」
と説明した。
この夏型過敏性肺炎には、急性型と慢性型の2つがあるという。急性型は一時的なものとして症状が治まるが、慢性型は症状が回復せず、数か月~数年後に呼吸不全を起こすことさえあるというから驚きだ。注意すべき住宅環境として、日当たりが悪く通気性の悪い家が挙げられた。また予防法としては、とにかく小まめな掃除をするしかない。エアコンのフィルターを週に1回は掃除し、浴室だけでなく畳下や洗濯機の中などの隠れたカビも除去するようにすることが大事であるようだ。
森田さんは、
「旅行に行って、2~3日この症状がなくなったらこの病気の可能性が高いですね。問診だけで診断されることが多い病気でもありますので、知っておいてほしいですね。」
と最後に話した。少しの努力で症状が改善できることを覚えておきたいものである。
司会の恵俊彰さんも、
「この猛暑で熱中症だけでなく、皮膚や胃腸、肺と気をつけておくことが沢山ですね。」
と話していたが、暑さが体に及ぼす多くの影響を認識し、毎日生活の中で注意・予防を心がけておきたいものである。
TBS「ひるおび」2013年8月20日放送「熱中症より恐ろしい夏の不調!猛暑が影響3つの注意点」より引用、要約、および台詞等一部書き起こし
この記事を書いた人
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