Eテレ「きょうの健康」 H29年2月20日 20:30~
※画像はEテレ「きょうの健康」ウェブサイトより http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/
2017年2月20日放送のEテレ「きょうの健康」では「冬の乾燥肌対策」をテーマに放送していました。以下は番組内容の要約ですので、番組を見落とした方などはチェックしてみてください。
出演者:黒沢保裕、岩田まこ都
専門家:京都府立医科大学 大学院教授 加藤則人
肌のトラブル「冬の乾燥肌対策」
乾燥を放っておくと手湿疹(皮膚がひび割れてしまう状態)になったりする。乾燥状態が悪化すると、かゆみが起こって皮脂欠乏性湿疹ができたり、さらに悪化すると貨幣状湿疹といって10円玉や卵くらいの大きさの湿疹などができる。
こうならないために肌の乾燥を放っておかず、適切なケアが大切。
Q 冬場は肌が乾燥して悩んでいる方が多いのではないか。
皮膚が乾燥して、かゆみや湿疹などの皮膚のトラブルを抱える人が多くなる。特に皮膚の働きが未熟な乳幼児や子供、また皮膚に潤いを保つ働きが低下してくる中高年の方にトラブルが多くなる。ただ普段からスキンケアを心がけることで、皮膚トラブルを避けることができる。
Q 皮膚はどのように乾燥するのか。
健康な皮膚は、肌を乾燥させないように外側に角質層と呼ばれる部分がある。わずか0.02mmほどの厚さで、食品用ラップ2枚分。角質層には外側に皮脂、内側に角質細胞間脂質、天然保湿因子がある。
皮脂は皮膚を脂で覆って皮膚の水分が蒸発するのを防いでいる。角質細胞間脂質も水分の過剰な蒸発を防いでいる。天然保湿因子は水分を溜める役割をしている。健康な皮膚はこの3つの働きによって水分が保たれている。
乾燥した皮膚は、角質層の皮脂・角質細胞間脂質・天然保湿因子が減少し、水分を保つ働きも低下して皮膚の水分が蒸発しやすくなった状態。
Q 冬に皮膚が乾燥するのは空気が乾いているためか。
湿度が低下することが肌を乾燥させる一番の原因。特に日本では冬になると多くの地域で空気が乾燥して、皮膚の水分が蒸発しやすくなる。さらに暖房器具などの影響で部屋の空気が乾燥し、皮膚からの水分の蒸発を加速させる。
Q 乾いた状態を放っておくと、どうなるのか。
皮膚のバリアとしての働きが低下して、汗や衣服との摩擦など外からの刺激を受けやすくなる。そうするとかゆみや湿疹が出てきたりする。また、かゆいからといって掻くと、それが刺激になって湿疹が悪化する。
そうして悪化したのが皮脂欠乏性湿疹や貨幣状湿疹であり、この状態になったら医師の適切な治療を受ける必要がある。
乾燥肌にならないためには保湿がポイント肌を保湿するためには日常生活の注意が大切。
1.熱いお湯や長湯を避ける
お湯の温度が高いほど、皮脂などの保湿成分がお湯の中に溶け出しやすくなり、かゆみも強まる。
2.体をゴシゴシ洗わない
ゴシゴシ洗うと角質層を傷つけてしまうため。
石鹸をよく泡立てて、手のひらやタオルで優しく洗うこと。
3.部屋の湿度を保つ
適度な加湿や換気を行う。
4.保湿剤を正しく使う
皮膚の乾燥対策では最も重要。保湿剤には様々な種類があるが、塗り方が正しくないと効果が十分に得られない。
保湿剤の種類と特徴
保湿剤にはローション、クリーム、軟膏・オイルという3つのタイプがある。
保湿力は高い順に軟膏・オイル、クリーム、ローションとなる。
1.ローションやクリーム
水分を補給して乾燥を防ぐタイプの保湿剤。ヘパリン類似物質、尿素、セラミドなどの保湿成分が入っているものがある。乾燥した皮膚に塗るのに適している。長所は使用感が良い。短所は効果の持続時間はやや短い。
②軟膏・オイル
あぶらの膜を作って、水分の蒸発を防ぐタイプの保湿剤。白色のワセリン、オイルなどがある。水分を含んだ皮膚(入浴後など)に塗るのに適している。長所は効果が長時間続く。短所はややベトベトした使用感。
保湿剤の使い分け
保湿剤は塗る時間帯や範囲、季節によって使い分けるのがポイント。
1.時間帯
例えば朝など時間のないときは伸びの良いローションが適している。夜などは軟膏・オイル・クリームでしっかり保湿をすること。ベタつきがきになるようであればクリームでも良い。入浴後は角質層が潤っている5分以内を目安に塗ること。
入浴直後は皮膚表面の水分がどんどん蒸発していくため、保湿剤を使って皮膚に水分を保つようにする。保湿剤は脱衣所や浴室に置いておくと良い。
2.範囲
広範囲に塗るときは伸びの良いローションやクリームが良い。時間に関係なく、皮膚が乾燥しているなと感じたら、さらに塗るのが良い。
3.季節
春から秋は塗り心地さっぱりしたローションやクリームが適している。 乾燥が強くなる冬は油分を多く含んだ軟膏やオイルが良い。(好みに応じて、クリームや軟膏、オイルを上手く使い分けると良い。)
ローションの使用量の目安
1円玉くらいの量で手のひら2枚分の面積に塗るのが目安。たっぷり塗ることがポイント。
クリーム・軟膏・オイルの使用量の目安
塗った所が光る程度あるいはティッシュペーパー1枚が皮膚に付く程度。手のひら全体に乗せて広げるように塗るのがポイント。
塗り方のポイント
強く擦り込んだり、薄く塗ると保湿剤が付かない部分が出る可能性があるため、たっぷり乗せるように塗ること。
皮膚は体の一番外にあってバリアの働きをしてくれている。
皮膚が乾燥で弱ってしまうと、かゆみや湿疹の元になる。
日々の暮らしの中で皮膚が乾燥しないように心がけること。
Eテレ「きょうの健康」2017年2月20日放送「肌のトラブル「冬の乾燥肌対策」」より引用、要約、および台詞等一部書き起こし
この記事を書いた人
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