TBS系列「健康カプセル!ゲンキの時間 」 2017年5月7日(日)7:00~7:30より
※画像はTBS系列「健康カプセル!ゲンキの時間 」ウェブサイトより http://hicbc.com/tv/genki/
2017年5月7日放送のTBS系列「健康カプセル!ゲンキの時間 」では、「ホルモン」をテーマに放送していました。以下は番組内容の要約ですので、番組を見落とした方などはチェックしてみてください。
出演者:三宅裕司、渡辺満里奈、滝裕可里ほか
専門家:女性医療クリニック・LUNAグループ理事長 医学博士 関口由紀、千葉西総合病院泌尿器科部長 医学博士 久末伸一ほか
オープニング
本日のテーマは「知っているようで知らない人間のホルモンについて」。体内で働くホルモンは、身体の働きを調節する大切な情報伝達物質いわばメッセンジャー。
ホルモンは100種類以上あり、ちょっとしたことで分泌量が減ったり、バランスが崩れることがある。
すると、うつ症状、不眠、疲れやすいといった身体の不調を引き起こす。男女ともにホルモンの乱れから起こる更年期障害、その意外な実態とは。
ホルモンバランスを整える「ホル活」を伝授。
さらに、体験者が語る甲状腺ホルモンの病とは。
ホルモン基礎クイズ
問題)女性の一生に分泌される女性ホルモンの量は?
A浴槽1杯 Bコップ1杯 Cスポーン1杯
答え)Cスポーン1杯
生涯でスプーン1杯ほどのわずかなホルモン量で影響を与えている。
更年期症状の重い人・軽い人の違いとは
女性の更年期症状にはうつ症状、眠気、疲れ、肩こり、めまい、ホットフラッシュなどがあるが、症状が重い人と軽い人がいる。
では、なぜそのような違いが出るのか。
その症状の程度差は、性格や環境にある。
ネガティブ思考の人、繊細で落ち込みやすい人、几帳面で真面目で完璧主義な人は身体の不調にも敏感で不調が出やすくなる。
夫の転職、介護中、子供の受験、そういったストレスを受けやすい環境にいる人は要注意。
更年期症状には身体症状と精神症状がある。月経前症候群(生理の前1~2週間起こるイライラ・頭痛・眠気など)が強い人の場合、更年期症状のうち、精神症状が強く出る可能性がある。
更年期と更年期障害とは
女性ホルモンの主要成分はエストロゲンというもので、卵巣から分泌される。
血流に乗って体内を巡り、女性らしい身体を作る。
また、美肌を作る働きもあるため美肌ホルモンと呼ばれることもある。
しかし、卵巣機能が低下する40代後半になると分泌量が減少(45~55歳の間にほとんど0になる)する、この時期が更年期。
そして、日常生活に影響を及ぼすほど強い症状が出る場合を更年期障害という。
更年期障害のメカニズム
まず、脳の司令塔である視床下部からエストロゲンを増やすよう司令が出る。
しかし、卵巣は機能が低下してエストロゲンを作れない。
すると、司令を無視された視床下部は混乱して司令を出し続け、暴走し始める。
さらに視床下部の暴走は自律神経にも影響を与える。
この自律神経の乱れが、心と身体に不調をもたらす原因となる。
エストロゲンのホル活動(ヨガ・趣味)
そこで、ホルモンバランスを整えるホル活を紹介する。
更年期障害への対策として、最近特に注目されているのがヨガ。
寝る前に10分間ヨガストレッチを行うことで、更年期症状が改善するという研究結果がある。
ヨガには乱れた自律神経を整える効果がある。
ポイントはヨガのポーズの組み合わせにある。
10分のうち前半は運動強度の高い立ちポーズ(英雄のポーズ・鳩のポーズ)を行い、後半は寝転がってリラックス(死者のポーズ・全身の伸び)する。
こうして組み合わせることによってよく眠れるようになり、自律神経の乱れを軽くする。
他にも、更年期の時期に趣味など熱中できることがあると良い。
男性更年期障害とは(Iさんの場合)
あまり知られていないが、男性にも更年期障害がある。
Iさん(46歳男性)は40歳のときに最初の異変を感じた。
頭痛、倦怠感などから始まり、やがて朝起きられない、体重増加(1年半で20キロ増)、腰椎圧迫骨折(ちょっと重い物を持ち上げた際に骨折)などが起こった。
Iさんは体力には自信があったが、ついに会社を休職することになった。
Iさんの男性ホルモンは、仕事のストレスと睡眠不足によって極端に減っていた。
男性ホルモンの平均値は、20歳代は16.8 pg/ml、30歳代は14.3 pg/ml、40歳代は13.7 pg/ml、50歳代は12.0 pg/ml、60歳代は10.3 pg/ml、70歳代は8.5 pg/mlとなっているが、Iさんは5.2pg/mlしかなく、同年代の3分の1程度にまで落ちていた。
8.5pg/mlを切ると赤信号だという。
男性更年期障害とは
男性ホルモンとはテストステロンを主成分とし、精巣から分泌される。
テストステロンは、女性とは異なり、20歳頃をピークに徐々に分泌量が減少する。
しかし、ストレス・睡眠不足などによって激減することがある。
テストステロンは睡眠時に生成されるホルモンのため、朝最も多くなる。
7時間睡眠と徹夜とではテストステロンの値に差があることが分かっている。
テストステロンの働き
テストステロンとは、男性らしい身体(筋肉など)を作るのに重要な役割を果たしている。
また、意欲・気力を高めるなど心とも密接に関わっている。
さらに、骨を作ったり、内臓脂肪をつきにくくするという働きもある。
それがメタボを呼び、心筋梗塞などの心血管リスクが4倍になるという報告もある。
女性にとってのテストステロン
女性も男性の10分の1量ではあるが、テストステロンが分泌されており、エストロゲンの原料となる(テストステロンからエストロゲンが生成される)。
閉経後にテストステロンから少量のエストロゲンが作られる。
わずかでもエストロゲンがあると肌ツヤが良くなり、女性らしさが保たれるという報告がある。
そのため、女性も男性と同様にテストステロンの減り過ぎには注意が必要。
また、男性ホルモンのある女性の方が元気で意欲的であるため、特に更年期前や更年期中の女性にはテストステロンは重要となる。
テストステロンのホル活(睡眠・亜鉛・筋肉)
テストステロンを増やすホル活ポイントは、睡眠、亜鉛、筋肉の3つ。
テストステロンの回復には睡眠が大変重要となる。
夜中に何度もトイレに行く、眠りが浅いという人は要注意。
亜鉛はテストステロンの生成に効果があり、牡蠣や肉類などに多く含まれている。
筋肉量が増えると、テストステロン産生量も増えることが分かっているため、筋トレが重要となる。
中でも太い筋肉のある太ももを刺激することが大切。
方法は、片脚を前に出し、もう一方の膝を床に着くくらい曲げてスクワットする(1日10回3セットを片脚ずつ行う)。
椅子などにつかまりながら行っても良い。
更年期障害と間違いやすい病気(橋本病)とは(Sさんの場合)
Sさん(55歳女性)は、10年以上橋本病に悩まされている。
きっかけは引越や転職などで、その頃から倦怠感、気力が湧かないなどの症状が現れた。
更年期症状と思っていたが、やがて乾燥肌、体重増加、のどの違和感が現れた。
医師に甲状腺の腫れを指摘され、橋本病と診断された。
橋本病(甲状腺機能低下症)とは
甲状腺は喉仏の下、気管の前にある。
甲状腺ホルモンには全身の代謝を活発にする働きがあり、人間にとって元気の源となる。
甲状腺ホルモンの分泌が低下し、甲状腺の機能が低下する病気が橋本病。
橋本病は別名慢性甲状腺炎とも言う。
橋本病の症状は、だるい、やる気が出ない、集中力の低下、肌荒れ、むくみ、冷え、体重増加など。
橋本病は40~50代の女性に多い(男女比率1:9)ため、更年期障害だと思って放置してしまうケースも多い。
橋本病が進行すると甲状腺機能の低下が進み、心不全や意識障害、最悪の場合死に至ることもある。
更年期障害と橋本病の見分け方
橋本病は更年期障害と同時になる人も少なくない。
橋本病の要因として遺伝があるため、家系を知ることが大切。
また、健康診断でコレステロール値が急に異常値まで上ったという場合には、橋本病を疑った方が良い。
一般内科を受診すれば、甲状腺機能を調べる血液検査ができる。
今日の健康カプセル
この元気(更年期) ホル活無くして 向上せん!(甲状腺)
TBS系列「健康カプセル!ゲンキの時間」2017年5月7日放送「ホルモン」より引用、要約、および台詞等一部書き起こし
この記事を書いた人
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