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Eテレ「きょうの健康」 2017年1月31日(火)20:30~

 

※画像はEテレ「きょうの健康」ウェブサイトより http://www.nhk.or.jp/kenko/kenkotoday/

 

2017年1月31日放送のEテレ「きょうの健康」では「冬の乾燥肌対策」をテーマに放送していました。以下は番組内容の要約ですので、番組を見落とした方などはチェックしてみてください。

 

出演者:黒沢保裕、岩田まこ都
医師:認知行動療法研修開発センター 理事 菊地俊暁


うつ病徹底解説「違う病気?」

 

30歳男性の例。営業職のAさんは営業の仕事がなかなか実を結ばす、営業目標を達成できずにいた。次第に自分は駄目な人間だと思うようになり、話しかけられても返事をすることができなくなった。

 

一ヶ月経つと夜眠れなくなり、朝もだるくて起きられず遅刻を繰り返すようになった。

 

会社の上司の勧めで精神科を受診したところ重いうつ病と診断され、抗うつ薬で治療を行うことになった。ところが毎日薬を服用していても、1ヶ月経っても重いうつ状態は一向に良くならない。

 

その後も抗うつ薬を飲み続けていたところ逆に興奮し、家族を怒鳴ることが増えてきてしまった。そういう状況を医師に相談したところ、実は別の病気だということが判明した。

 

実はうつ病と似たような症状が出る病気は色々あり、抗うつ薬を飲むと症状が悪化してしまうものがある。

 

そのため、うつ病と診断する前に、他の病気がないかしっかり確認することが大切。うつ病と間違われやすい病気にはどんな病気があるのか。

 

Q うつ病と診断されても、実は違う病気だったということはよくあるのか。

 

最近ではうつ病に似た病気があるということは大分認識されてきた。精神科医の診察であれば、ある程度見極めは出来るようになってきたが、それでもなかなか区別が難しい場合もある。

 

Q Aさんの病気は何だったのか。

 

Aさんは双極性障害(以前は躁鬱病と呼ばれていたもの)だった。うつ状態と躁状態を繰り返す病気。うつ状態とは、憂うつな気分であったり、何に対しても興味が持てないなどの気分の落ち込みが特徴。逆に躁状態とは、気分が高揚していき、いろいろなことに興味を持つ状態。

 

双極性障害の人は、躁状態のときには調子が良いため、病気がないと思って受診しないことが多い。逆に、うつ状態のときに調子が悪く受診するため、うつ病と間違われる。

 

Q 双極性障害のときは抗うつ薬を飲んではいけないのか。

 

双極性障害の人が抗うつ薬を服用し続けていると、Aさんのように躁状態になってしまうことがある。そのため、うつ病という診断をつける前にかならず、躁状態になったことがないか確認しなければならない点がある。

 

過去に気分が高ぶる、自分が偉くなったように感じる(人に注文を付けたり、怒鳴ったりする)、金遣いが荒い(浪費する)、注意散漫(集中できずいろんなことをする)、眠らなくても平気(眠りたくなくて色々なことがしたい)などがあれば躁状態を疑う。

 

Q うつ状態から躁状態になると、逆に調子が良くなったと思い、問診しても聞き流してしまうこともあるのではないか。

 

人と言い争いをしても、よっぽどのことにならないと主治医に報告しないなどよくある。

 

また、金遣いが荒くなってインターネットで買いすぎてクレジットカードを止められてしまうなど、自分が困る状況になって初めて気づく人もいる。そのため、周りの人が気づくということが大切。

 

うつ病のときも診断が大変なので、周りの人が気づくことが大切。しかし、双極性障害はさらに難しいため、周りの人が気付いて協力することが大切になってくる。

 

双極性障害の症状とは、それまでの人とは別人のようになってしまうというのが特徴的なため、周りの人には比較的はっきり分かる。家族も一緒に受診して、本人の様子を伝えると診断に役立つ。

 

Q うつ病のように心や体の不調が出る病気は、双極性障害以外にどんなものがあるのか。

 

うつ病と似た症状が出る精神疾患は不安症、パーソナリティ障害、適応障害などがある。これらの病気はうつ病と症状が似ており、またうつ病に合併するとうつ病が治りにくいということが分かっている。

 

Q パーソナリティ障害とはどんなものか。

 

思春期や青年期から考えや行動の面で偏りがある状態が続く病気。例えば、いろいろなことを避けてしまう行動の回避がある場合や、対人関係が不安定になってしまう状態が続く場合はパーソナリティ障害の可能性がある。

 

精神疾患以外にもうつ病と似たような症状の出る病気はある。例えば、認知症や脳梗塞、体の病気など。

 

Q 高齢になってからうつ病になることは多いのか。

 

高齢になってからうつ病になる人は多い。また過去にうつ病になった人は高齢になってから再発しやすい。高齢になると身近な人との死別や体の病気も増えてくるため、病気に対する不安などがうつ病の発症のきっかけとなることが多い。

 

また、高齢者はうつ病から認知症になりやすいため、高齢者のうつ病の治療は大切。実は認知症と間違われてしまったままだとうつ病が悪化してしまう。そうすると生活の質も低下するため、うつ病と認知症の見極めは大切。

 

Q 認知症によるうつ症状とうつ病とは、どうやって見分けるのか。

 

見極めは難しいが問診が大切。特に認知能力や意欲の面で違いが見られる。例えば、うつ病では「やろうと思えない(検査をしていくと、途中で「わかりません」や「できません」と答える人が多い」、「能力の低下を訴える」というのに対して、認知症では「努力してもできない」、「能力低下の認識がない」という違いが出る。これらの他に、認知症の場合には脳の画像検査をしっかりして見極めることが必要。

 

Q 脳梗塞でもうつ症状が出るのか。

 

脳の血管が詰まって脳梗塞ができていると、脳の働きが悪くなってうつ症状が出ることもある。

 

Q 脳梗塞とうつ病はどうやって見分けるのか。

 

症状の現れ方を確認することが多い。うつ病の場合は症状がゆっくり出る(例えば○月頃からなど)のに対して、脳梗塞の場合には症状が急に出る(例えば○日くらい前からなど)のが特徴。他にも脳梗塞独特の症状(言葉が出にくくなる、物の見え方がおかしくなるなど)がないか確認し、脳梗塞が疑れる場合には画像検査を行う。

Q 体の病気でうつ症状が出るのはどんなものがあるのか。

 

例えば、甲状腺の病気が代表的。他にも病気でなくても、アルコール依存症など依存性物質がある場合、インターフェロン治療などの薬による副作用の場合もある。そのため服用している薬なども確認していく必要がある。

 

うつ病と似た症状を起こす病気や物質はたくさんあるため、精神科や精神神経科の専門医の元できちんと診察を受けて、診断してもらうことが大切。

 

Eテレ「きょうの健康」2017年1月31日放送「うつ病徹底解説「違う病気?」」より引用、要約、および台詞等一部書き起こし

 

この記事を書いた人


野村龍一(医師紹介会社研究所 所長)

某医療人材紹介会社にて、10年以上コンサルタントとして従事。これまで700名を超える医師の転職をエスコートしてきた。担当フィールドは医療現場から企業、医薬品開発、在宅ドクターなど多岐にわたる。現在は医療経営専門の大学院に通いながら、医師紹介支援会社に関する評論、経営コンサルタントとして活動中。40代・東京出身・目下の悩みは息子の進路。

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