NHK「あさいち」 H25年6月20日 8:15~より
2013年6月20日放送のNHK「あさいち」では「子宮頸がんワクチン、接種をすすめていたのに」をテーマに放送していました。以下は番組内容の要約ですので、番組を見落とした方などはチェックしてみてください。
※画像はNHK「あさいち」ウェブサイトより https://www.nhk.or.jp/asaichi/
子宮頸がんワクチンへの方針を変更
これまで広く国民に推奨されてきた、ある予防接種について問題が提起された。厚生労働省の専門家会議でこれまでの方針を変える決議が出されたのだ。それが、子宮頸がんワクチンである。
これまで積極的に推進してきた子宮頸がんワクチンについて、その接種を推進の中止が決まった。この決議は「呼びかけ」を止めるものである。
司会の井ノ原(V6)さんは、
「これまで積極的にすすめていたのになぜでしょうか。何か裏があると思いますよね。」
まさしく、何が原因なのかと思うのも当然である。
この子宮頸がんはウイルス感染で発症し、20代から30代の女性に多く乳がんに次ぐ患者数だと言われている。ちなみに一昨年は、なんと2700人もの死亡者が国内で確認されており、なんとも恐ろしい病気である。今回の決定の背景には、接種後のカラダへの影響があるとされている。
今年3月、子宮頸がんワクチン接種による健康被害を訴え、全国子宮頸がんワクチン被害者連絡会が会見を行った。代表の松藤美香さんは、杉並区の3年前から中学進学のお祝いとして無料で接種を実施する案内が届いたことから始まるという。国の取り組みを先取りするもので、「当然、受けるべきもの」と感じていたそうだ。
松藤さんの娘さんはワクチン接種後、体にさまざまな痛みを訴え始めた。両足が付随運動を恥じて体全体の痛みがひどくなり始めた。娘さんは、あまりの痛みに「死にたい」と口にするほど苦しい思いを訴えるようになったのである。1年以上が経った今でも、付随運動が続いて苦しんでいる。これだけ健康被害が広がると、ワクチン接種をすべきか迷う人が出てきてもおかしくない。
重篤につながる副作用の可能性
NHK医療・社会保障・女性問題担の飯野奈津子解説委員が、この問題について解説する。
「ワクチンを接種するときは限られた人に接種して情報を集めるということなので、承認当時はめまいがあるとか、痛みがあるなどといったことがあるにしても深刻な問題があるとは考えられていなかった。承認されて多くの人が使うようになり、重篤な副作用があるとわかってきた。」
全国864万回の接種のうち、「重篤」と報告があがったのは357件である。これを、他の予防接種ワクチンと比較してみる。情報は厚生労働省により、ワクチン接種との因果関係にかかわらず収集されたものだ。
すると100万接種あたり、子宮頸がんは41.3%。また日本脳炎は25.5%、不活性ポリオ5.3%、インフルエンザにあっては2.3という結果だった。この数字を、どのようにみればいいのだろうか。
飯野解説委員は、次のように語る。
「確かにこの数字を見ると影響あるように思えますが、単純にこの数字だけを見て、重篤な影響がるとは言えないというのが専門家の意見です。」
重篤というのは入院や後遺症、上昇度も違い、効果とリスクを掛けて判断される。問題となる症状を見てみると、次のようなものが挙げられる。
・不随意運動
・歩行障害
・計算障害
・慢性疼痛 など
この中でも特に問題になったのが、慢性疼痛である。慢性疼痛がワクチン接種の副作用と認められる報告が全国で43件あり、内11件は回復していない。この43件をどう見るかが議論されたが、この数字だけで危険だということは言えないということで続けられている。これを受けて益子直美さんは、
「副作用を考えると迷いますね。」
と心配する。だが因果関係は分かっていないため、中止にまではいたっていないのだ。しかし自分の娘に接種させるかということになると、リスクがハッキリするまでけして慌てることはないという。子宮頸がんは性交による感染が原因であり、遅れたとしても中学生、高校生で性交しなければ感染はない。また、がんは10年以上をかけてできるものであり、慌てる必要なないという考え。
ワクチンは子宮頸がんの救世主ではない?
このワクチンは、がんにならない救世主のように思われている。
しかし子宮頸がんワクチンは、がんを引き起こす15種類のウイルスのうち2種類のウイルスに有効であり、このウイルスに感染するのは日本人の50~60%。残り半分のウイルスに対しては、効果がないとされる。がんの前の病変発生を防ぐ効果があるのであって、未だがんの発症を防ぐことまでは確認されていないのが現状である。
また効果は最長9.4年と言われているが、がんが出来るまで10年以上の時間がかかることを考えると、まだ実証されていないといえる。
またワクチン接種を受けたとしても、子宮頸がん検診は受診しておくべきだろう。ワクチン接種を受けていなくても、20歳を過ぎると子宮頸がん検診を受けることができる。2年に1度の検診は受診し、早期発見を心掛けるべきだろう。
厚生労働省で調べるとされている中、接種をするか否かの判断に迫られるが、さまざまな情報収集をしたうえで決断すべきことであることに違いない。
NHK「あさいち」2013年6月20日放送「子宮頸がんワクチン、接種をすすめていたのに」より用、要約、および台詞等一部書き起こし
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