医師の働く場所とはどこか
■ 記事作成日 2015/9/14 ■ 最終更新日 2017/12/6
厚生労働省が行っている「平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」によると、平成24年12月31日現在、全国で「医師」として届け出数は303,268人で、「男」243,627人(総数の80.3%)、 「女」59,641 人(同19.7%)となっている。平成22 年(以下「前回」という。)と比べると、平成24 年届出医師数は、8,219 人(2.8%)増加、人口10万対医師数は237.8 人で、前回に比べ7.4 人増加しています。
このうち、医療施設での従事者は288,850 人(総数の 95.2%)で、前 回に比べ8,419 人、3.0%増加しています。一方で「介護老人保健施設の従事者」は3,189 人(同1.1%)で、前回 に比べ72 人、2.3%増加しています。
医師全体の働く場所としては、やはり“病院で雇用される”ことがもっとも多くなっているようです。
人口10万対 医師が多い都道府県・少ない都道府県はどこか
では、都道府県別の医師が多い都道府県と、少ない都道府県をみてみましょう。
平成24年の時点で、人口10万対の医師数がもっとも多かったのは京都府で、これに、徳島県、東京都が続きます。これがTOP3です。一方、人口10万対の医師数が最も少なかったのは埼玉県、次いで茨城県、千葉県と続きます。
関東地方は、東京が中心にあるためか、その周辺の都道府県では医師数が少ない、という傾向があるようです。TOP10の中には、東京都以外はランクインしていません。群馬県が30位、栃木県が34位、神奈川県が39位です。
一方、都道府県ごとの人口10万対ベッド数のランキングをみると(厚生労働省 平成25年医療施設(動態)調査・病院報告の概況より)、ベッド数がもっとも多いのは高知県、これに鹿児島県、熊本県、長崎県、徳島県、山口県が続きます。医師数が多い京都府は全国平均よりも多くなりますが、東京都は全国平均よりもだいぶ少なくなっています。
この背景にあるものはなんでしょうか。
例えば東京都の場合、大学病院などの大病院も数多くありますが、一方でクリニックなどの無床あるいは有床でもベッド数の少ない医療機関や、中規模クラスの病院が多いことが考えられますし、ベッド数は少なくても3次救命を行う医療機関が多いなど、医師の数が多く必要とされる地域なのかもしれません。
また、人口10万対のベッド数がもっとも多い高知県は、一般病床などと比較して、療養病床が多くを占めていますので、医師の数としては京都府や東京都などよりも、少なくなるのかもしれません。それでも人口10万対の医師数は4位ですので、住民からみれば医療機関のベッド数も医師数も多いという、喜ばしい状況なのではないでしょうか。
有意義な転職をするために
医師が転職を考える場合、もっとも重視するのは何でしょうか。それまでの仕事の内容にもよるとは思いますが、“報酬”も1つの理由になるのではないでしょうか。
他の職種でもいえることですが、やはりどうしても人手が欲しい状況であれば、それなりに人材を確保しようとして、給与を高く設定することはよくあります。反対に、人手が十分であれば給与を初めから高く設定することは少なくなります。
しかしその一方で、給与が相場よりも高く設定されている場合は、忙しくて家に帰る暇もないかもしれません。特に2次以上の救急診療を行っている病院では、定期的に当直があります。
給与の設定が高い=非常に忙しい職場である という可能性もあるのです。人口が多ければ多いほど、救急搬送も増える可能性がありますので、眠れない当直は日常茶飯事、ということも考えられます。
例えば埼玉県は、医師数も少ないですが、人口10万対のベッド数も少ない方ですので、必要とされる医師数がそもそも少なく設定されている可能性があります。転職を考える時は、提示される給与の額面だけではなく、その地域のベッド数や医師の数、忙しさの状況など、事前にしっかりと検討する必要がありそうです。
いかがでしたか。今回は人口に対する医師数やベッド数の状況から、「給与(報酬)」や「仕事の忙しさ」なども含めて考えてみました。医師の転職に関する情報は、一般的な職種と比較すると、なかなか表には出てきません。
現在は、看護師の転職サイトが飽和状態になりつつあるように、医師の転職をサポートする企業やサイトがどんどん増えています。もしも転職を考えた時は、こういった仕組みを利用して、自分では集めきれない情報を利用するのも、成功する転職につながるのではないでしょうか。
参考資料
厚生労働省 平成24年(2012年)医師・歯科医師・薬剤師調査の概況
統計表
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/ishi/12/dl/toukeihyo.pdf
同上 平成 25 年(2013)医療施設(動態)調査・病院報告の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/13/dl/gaikyo.pdf
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