小児科の医師は圧倒的に不足している
■ 記事作成日 2014/1/29 ■ 最終更新日 2015/10/23
しばしばマスメディアでも取り上げられるように、医者不足の象徴的存在の1つとして注目をあびるのが、小児科医師の人不足です。結果、多数の求人と少数の応募者という買い手市場を形成しており、大した準備なくともあっけなく面接通過することもあるので、小児科医の転職活動には大きな障害は見つかりづらいです。
むしろ、転職した後の業務内容、就業条件のほうが気になりますので、事前に就業希望先の状況をいかに情報収集できるかどうかが大切なポイントとなります。
小児科の転職に関する市場攻略ポイント
小児科医求人で苛烈を極めるのが新生児医療の現場です。自己のキャリアや経験を積むことを意識した転職を考えている先生は、あえて「就労条件が厳しい職場」になる可能性のある新生児医療現場に飛び込むのも有りでしょう。
国立、公立、民間問わず、多数の求人が出ており、自治体等も「地域医療の重要項目」としてバックアップしているケースが多いです。当然、給与も高めであるのは言うまでもありません。
小児科医の皆さんは十分ご存知でしょうが、ここで言う就労条件が厳しいという意味は、激務と長時間労働ということです(収入に関する不満は逆に少ないでしょう)。
しかしながら、殺到する求人情報を丹念に洗っていったり、直接的な交渉によって、当直時間を労働時間に100%カウントしてシフトを組む無ことが可能だったり、ワークシェアリング(これは女性医師対象がほとんどです)制度を導入している医療機関もありますので、丹念な求人情報のスクリーニングが効をなすでしょう。
産婦人科や眼科と同レベルの地域格差
小児科医師は地域格差が激しい診療科目の1つです。小児科医師の他にも産婦人科や眼科の医師は地域格差が大きく有名ですね。
以前の厚生労働省の調査によると、15歳未満の子供10万人当たりの小児の医師数を都道府県別で集計すると、小児科医数が最も多かったのは、徳島県の295.2人。最も少なかったの岩手県の118.4人。その地域格差2.49倍にもなっています。
小児科専門医の資格にも地域格差
また、小児科専門医の資格保有医師は、当然のように転職市場ではさらなる優位性を発揮することができますし、地域格差がここでもやはり存在します。小児科専門医資格の保有者は鳥取県が115.6 人と最も多く、茨城県が47.2 人と最も少なくなっていますので、資格所有医師の少ないエリアで転職活動をするという戦略は大いに有効であることは言うまでもありません。
都道府県別にみた「小児科」に従事する医師数・「小児科専門医」の資格取得医師数
小児科医師の転職面接現場
面接の場では専門と経験に関する質疑がなされますが、微増傾向にはあるものの、市場全体のニーズからみるとまだまだ極端な小児科医師不足の現状から、よっぽどのことがなければ面接を落とされることがないかもしれません(逆に小児科医師が面接をおとされたとしたら、相当な理由がある可能性を疑って下さい)。
当直やオンコールは必須の診療科目ですので、このあたりに嫌悪感を見せてしまうと、面接の流れが一変する可能性があります。
小児科医師数の年次推移 <出典>
仮にライフスタイル重視型の転職を望み、できるだけ当直やオンコールを少なくしたいという希望があったとしても、最初から本心丸出しで面接に望むよりは、医師紹介会社のコンサルタントに水面下で事前調整してもらうなどの手筈を撮っておくほうが利口でしょう。
馬鹿正直に本音をぶつけあうだけでは、相対的に良い条件を提示してくれる可能性がある医療機関も感情論で拒否感を持ってしまいかねません。注意しておいて下さい。
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