医業も“業”なら、マネジメントが重要です
■ 記事作成日 2015/9/15 ■ 最終更新日 2017/12/6
医師とは、常に進取が求められる職業です。多くのドクターは、新しい知識や技術の会得に日々研鑽を続け、質の高い医療を提供できるように努めています。
昭和中期までは、医師にとって第一義の「医療診療スキル」(専門的スキル)だけを追求しておけば良いとされていたきらいもあり、医師免許が“生涯安泰”を保証してくれていた市場背景からも、その他のスキルはあまり求められていませんでした。
しかし、昭和晩期からは、「コミュニケーションスキル」という第二のスキルが求められるようになります。医業も客商売には変わりなく、デリケートで特別な領域だからこそ、より細やかな配慮が必要で、患者や家族に優しく好意的に接し、診療内容について委細な説明を授ける必要があると認識され始めました。それまで“仏頂面”の“上から目線”で診療していたドクターも、コミュニケーションスキルの重要性を初めて知る事になったと言います。
そして平成の現在、新たに「マネジメントスキル」という第三のスキルが求められています。医業も業である以上、安定経営が求められますが、医療費削減施策の影響などから、現在、公的病院の実に80%程度が赤字経営であると言われています。そんな中、うまく診療室や病医院全体を運用し、人・物・金の流れを滞りなくするためには、医師一人一人にも、マネジメントスキルが求められているのです。
この第三のスキル「マネジメントスキル」を持つ医師は、転職市場で非常に重宝され、有利な条件で成功をつかめると言ったらどうでしょう?…ドクターも、マネジメントスキルについて、興味を持ってきたのではないでしょうか?
一般ドクターのマネジメントレベルは高くない!?
医学部を卒業して十年ほど経つと、診療の現場でも、何らかの役職を得るケースが増えて来ます。将来的に、診療科の部長や副部長、病院長や医院長などの要職を目指しているドクターもいるのではないでしょうか?
人・物・金…それらにまつわる時間や時機・方向性・質量をハンドリングするマネジメントには、概念の理解から各種運用まで、実に多角的なスキルが必要です。
しかし、一般的な医師の多くは、マネジメント能力を持ち合わせていません。その大きな原因は、マネジメントの重要性を意識する機会や、実際に学ぶ機会が無かったからだと言えるでしょう。
医学部のカリキュラムや医師国家試験で、マネジメントは重要視されていませんし、研修医時代でさえ、学ぶ機会はほぼありません。運よく上級医や指導医に、マネジメントスキルに長けた人がいた場合は別ですが、そんなラックは滅多にないでしょう。
もちろん、一部の医師は、誰かに教わらずとも、天性の勘でマネジメントのポイントを把握し、秀悦な管理能力を発揮しています。しかしそれは非常にレアなケースで、実際マネジメント勘のある医師は、極めて少ないのが現実でしょう。
一般企業では、“利益を追求する”という大義名分がわかりやすく存在していますが、医療機関ではそればかりを大々的に掲げる訳にはいきません。しかし、医業も“業”であるため、利益が無ければ成り立ちません。その二枚舌の正論とうまく折り合いをつける、医業ならではのマネジメントの推進が求められています。
医業のマネジメントは、ある意味、一般企業のそれよりも、非常に高いスキルが要される、難儀な事かもしれません。
難儀だからこそ、ニーズの高いマネジメントスキル
専門的スキル・コミュニケーションスキル・マネジメントスキルの三拍子が揃って初めて一端のビジネスマンになれるという概念は、一般企業では至極当然の事として浸透しています。
しかし、病医院の中でその三拍子が揃った人材は非常に少なく、概念自体がまだまだ浸透していないのが現実です。
医師が一人一人と真摯に向き合い、良心的に質の高い医療を提供しようと努めたならば、どうしても売上単価(敢えてそう表現しています)は下がってしまうでしょう。しかし一方で、十分な収益を確保しなければならない事情も然るべきです。医療のクオリティと医療機関の収益を共に追求した場合、相反するものであるのは明確でありながら、うまく調整し、最適化する必要があります。そう、それがマネジメントなのです。
さらに医療機関では、急患の対応や、医療事故防止などのための危機管理体制敷設など、特異なマネジメントにも神経を使わなければなりません。
医師にとって非常に難儀なものであるマネジメントスキルですが、難儀だからこそ、それを持っている者は、転職市場で非常に高い評価を受けます。
初就職の研修医でマネジメントスキルを持っている人材はいませんが、転職の医師が、その“第三のスキル”を持っていない訳はありません。
もしもドクターが自身のキャリアを振り返り、何らかのマネジメントスキルを会得している状況ならば、それは「マネジメント経験」や「マネジメントスキル」として言語化し、履歴書や職務経歴書などに記載したり、面接の際に口にすべきPRポイントなのです。
そればかりか、現在、マネジメントスキルにまで意識のあるドクターが少ないため、マネジメント領域の大切さを認識しているだけでも重要なPRポイントになるでしょう。もしもドクターにマネジメント経験が無かったとしても、マネジメント概念を取り入れたビジョンを語るだけでも、PRポイントになると考えられます。
現在の医療市場で転職活動をするドクターは、今一度、マネジメントスキルに焦点をあて、うまくそのワードを転職活動に取り込むべきなのです。
医師のマネジメントスキルは、どうPRするのか?
前述の通り、医業に必要なスキルも、他の業種と全く変わりません。
第一のスキル「専門的スキル=(医療診療スキル)」
第二のスキル「コミュニケーションスキル」
大三のスキル「マネジメントスキル」
この三つはどれも大切で、転職活動においてはそれぞれPRすべき情報です。しかし、多くの医師の職務経歴書を見てみると、第一のスキルである「医療診療スキル(専門的スキル)」のみを記載し、第二第三のスキルには触れてもいないケースが大多数です。
時折、第二のスキル「コミュニケーションスキル」については、チーム医療の大切さなどを説く事で、表現しようとするドクターを見受けますが、第三のスキル「マネジメントスキル」については、医療業界全体に於いて、まだまだ意識が浸透していないと言わざるを得ません。
しかし、そのPR方法は実に簡単です。職務経歴書に、医療診療スキル・コミュニケーションスキル・マネジメントスキルを章立てて記載すれば良いのです。「マネジメントについて」という項目を立て、それに言及するだけで、ドクターがマネジメントスキルの重要性を自覚している事を顕せるでしょう。
ところが、そんな風に指南すると…多くのドクターから「マネジメントなんてした事無いよ」…と、いう答えが返ってきます。しかし、卒後5年もたって、マネジメントを一度もした事のない医師などいません。
部長や副部長では無くとも、何らかのチームやユニットのリーダーになった経験があったり、下級医が一人でもいる環境で働いていたら、知らず知らずのうちに、必ず人的マネジメントを行っています。目的を達成するために、部下や後輩に指示を出したり、先輩や役職者にかけあったり、看護部門や薬剤部門などと連絡連携をとる事などは、総てマネジメントなの業務です。そのような業務の中で、一つや二つ、工夫した事はありませんか?
例えば、チーム内のミーティングが円滑に進むように、業務日誌フォーマットの工夫を図ったり、電子化を導入するなどの経験は、「情報マネジメント実績」としてPRできるでしょう。
例えば、業務シフトを組んだり、スタッフに残業を依頼したり、繁忙箇所にスタッフを導入するなどの経験は、「人事マネジメント実績」としてPRできるでしょう。
例えば患者の重篤度や緊急度に優先順位をつけ、対応するスタッフを割り当てたり、診療や入院や手術などの時期や時機を、適宜調整していたなどの経験は、「プロジェクトマネジメント実績」「チームマネジメント実績」としてPRできるでしょう。
このように、多くの医師は知らず知らずのうちにマネジメントを実行しています。意識的に行い、言語化し、目標化し、スキルとして昇華させているか?…というポイントは確かに問題かもしれませんが、職務経歴書や面接でPRするに充当する実績には違いありません。
「マネジメント意識を持って、医療を提供しています。」
もし仮に、ドクターが具体的なエピソードを饒舌に語れなくても、職務経歴書や履歴書の自己PR欄に、ぜひこの一言を添えてみて下さい。それだけで、ドクターへの評価がプラス査定される事は間違いないでしょう。医師にとってマネジメントスキルとは、それだけ見落とされてきたポイントなのです。
もしも面接の際に、「ドクターはマネジメント経験はありますか?」「ドクターのマネジメント意識とは、具体的にどのような事ですか?」…などと質問されたとしましょう。
ドクターのマネジメント意識をPRする、正に「渡りに船」の質問です。
役職的なマネジメント経験がある場合は、どんな役職で何人くらいのスタッフを束ねていて、どんな業務を行っていたか?…を、具体的に述べましょう。具体的なエピソードがあれば付け加えると良いですが、取って付けた様な話しかできないならば、能動的に話す必要はありません。
役職についていなくとも、何らかのプロジェクトリーダーやチームリーダーなどをした事があれば、それを語って下さい。勉強会や入院患者を対象としたクリスマスパーティーなど、直接的な診療と関わる事でなくとも構いません。それらも、病院運営には必要な業務の一つなのですから。
何らかのリーダーなどの経験がなくとも、マネジメント意識を持って進めた業務を探してみて下さい。
「前職はフラットな職場で役職が少なく、役職としてのマネジメント経験はありませんが、後輩医師が診療スキルを上げるためのOJTには、充分に配慮してきました。」
「医師自ら“報・連・相”の重要性を掲げ、診療現場で大きな声で確認事項を復唱したり、看護師や他の医療スタッフの名前を呼んで明確に指示を出したり、挨拶やお礼を意識的にハッキリと口にする事で、現場の雰囲気が一気に変わりました。
業務効率は良くなり、小さなミスも減り、何よりチームに一体感が生まれ、明るい職場になったと思います。やはり、診療現場における医師は、たとえ役職についてなくともマネジメント意識を持ち、チームをひっぱっていく役割がある事を実感しました。」
…などの回答は、経験値から引き出せるはずです。
そもそも「マネジメント」とは何だろう?
前章で“医師のマネジメントスキルの重要性”についてお話してきましたが、「そもそも、マネジメントスキルとは何なのか?」…という疑問にもお答えしておきましょう。
マネジメントは、よく「管理」と和訳されますが、その言葉が示す範囲はとても広く、「改善」「改革」 「評価」「分析」「選択」 「回避」「計画」「調整」「指揮」「統制」「統括」「組織化」などなど、多様な意味合いを持っています。
そして、主にビジネスにおいて(医師の場合、医業や病医院経営において)、人・物・金・情報といったビジネス資源や資産を、いかに運用・運営し、ビジネス上の効果を最大化・最適化するのか?…という活動の事を指します。
マネジメントには、業務ごとに様々な種類がありますが、診療の現場で重要視されるのは、「人のマネジメント」「情報マネジメント」「リスクマネジメント」などです。
最近は、医師の働き方が多様化し、フリーランス医師や転職を繰り返す医師も増えて来ました。医師不足や医師の偏在が問題化されている業界において、適材適所に適宜必要なドクターを配置する事が、以前にも増して難しくなってきました。
医師が不足すると、一人あたりの仕事量は増え、疲労は蓄積し、心身の健康が保てなかったり、モチベーションが下がるなどで、現場の最適化が図れない大問題となります。そのような環境は、重大な事故を招く糸口にもなりかねません。
そのような事態を防ぐためにも、医業におけるマネジメントは、非常に重要なものなのです。もしもドクターが管理職で無くとも、自身の仕事をいかに最適化するかを考えた時、人は、「セルフマネジメント」を行っているはずですし、行っていくべきでしょう。
全てのマネジメントに活用できる、基本のPDCAサイクル
PDCAサイクルという言葉を聞いた事がある人も多いでしょう。Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Action(改善)の 4行程をサイクルとして何度も繰り返すことによって、継続的に進化・改善・最適化するための考え方です。多くの一般企業では、目標達成のためのマネジメント手法として広く汎用的に用いられ、生産管理・品質管理・売上管理などに役立てられています。
【P=plan(計画)】
大中小などレイヤー毎に目標を定め、過去の実績や未来の展望などを鑑み、いつ誰がどのような手法で実行するかを計画するもの。
【D=do(実行)】
計画に沿って業務を遂行するもの。
【C=check(評価)】
計画に沿って行った業務の結果を受けて、成否や問題点などが無いかを確認するもの。
【A=action(改善)】
計画から逸脱してしまったポイントを見出し、改善策を立て、次の計画のためのソースとするもの。
マネジメントスキルに長けている医師の多くは、個人の習慣としてPDCAサイクルを行っているようですが、組織だってそれを行っている医療機関は少ないのが実情です。
しかし最近では、このPDCAサイクルを、医療現場に於いても導入すべきだという考えが一般化しつつあります。
例えば一般の企業では、必ず当期ごとに「予算書」(=Plan)があり、その売上や利益ラインを達成するために、様々な商品やサービスを開発したり、流通させたりします。それらの運用に必要な人・物・金・情報をうまく調整し、マネジメントをしていくというのが慣例です。
医療現場で医師自ら「売上」や「利益」を第一義に掲げる訳にはいきません。しかし、おおまかに、「医師一人で、一日何人くらいの患者さんを診る必要があるか?」…という数字の目安は把握しておくべきです。
業務フローを整理すれば、医師以外の医療スタッフがヒアリングや処置できる事を、今よりも効率化する事はできるでしょう。医師およびスタッフの時間単価や、必要経費のおおまかなラインは、医療機関が“業”である以上、ビジネスパーソンとして把握すべきマネジメントの常識です。
医師が初めてPDCAサイクルを実施する際の注意点
医師がPDCAサイクルを実施しようとした場合、PDCAのPlanから着手し、何から計画したらよいか途方に暮れたり、壮大な理想論を掲げて現場の医業資産(人材やベッド数や医療機器など)でまかなえない様な無謀な計画を立てるケースがよく見受けられます。
PDCAサイクルは、あくまで目の前のDoを起こすためのPlanを立てるものです。理想論や大きな方向性などは、理念やビジョンの策定というレイヤーで必要なもので、医師が行うPlanはもっと現場よりのものとなります。
従って、初めてPlanを立てる際は、Planから始めるのではなく、Checkを行ったうえでPlanに入り、PDCAサイクルを回していく事をお勧めします。
手始めのCheck=評価とは、現場の課題を見つけていく事から着手します。
例えば、最近起こってしまった小さなミス(診療内容だけでなく、診察順番ミス、報告連絡ミス、探すのに時間を要した書類など、あらゆる観点から)…を洗い出します。
例えば、他の医師や看護師などがこぼしていた愚痴などを洗い出します。
例えば、患者さんから出てきた、要望やクレームなどを洗い出します。
例えば、ドクターが「面倒だな・大変だな」と思っている事を洗い出します。
それらを整理して、課題としてリストアップするのです。課題が見えてきたら、その解決策として何をすれば良いのか?…を、実地的な計画=Planに落としていけるはずです。
手始めの【Check】から始めたCPDCAを一通り終え、ドクター自身が成果として確信できたものは、上長に提案したり、医療スタッフと共有するなどして、現場のノウハウとして浸透させていきましょう。
そして次のステップとして、チーム全体を巻き込んだ上での新たなPDCAを進めていき、スパイラル的に昇華させていくと良いでしょう。
あらゆる医師に必要な「人のマネジメントスキル」
マネジメントと一口にいっても多様な視点のそれが存在しますが、こと医師の必要なマネジメントスキルは、大きく分けて二つであると考えられます。
一つ目は、医療経営に関わる「財務マネジメントスキル」です。
医療現場の運営を最適な収益へと結びつけるため、資産取得のための資産調達から、資産を売上に変え、売上を利益に変えるためのPDCAを行っていきます。もちろん多少の会計知識は必要で、財務状況をモニタリングするスキルも必須です。
しかしこの「財務スキル」は、開業医や病院長や理事長の経営レイヤーの医師に強く求められるスキルであり、診療とは別の専門スキルも問われるため、一般の医師にマストで求められているものではありません。一般の医師は、財務マネジメントの必要性を理解し、その概念を把握しておけば良いでしょう。
二つ目は、医療運営に関わる「人的マネジメントスキル」です。
現場がうまく回って行くように、プロジェクトやスケジュールを個人やチーム単位で管理したり、一人一人のスキルを向上させていくための研修やOJTや勉強会などを管理したり、現場の繁忙具合などに応じて医療スタッフの応援要請を予め行ったりと、スタッフの適材適所や、質の向上、量の調整などを行うためのスキルです。
今でも既に、ドクターの多くは何らかの人的マネジメントに関わっているでしょう。これからは、医師不足・診療報酬改定・地域包括医療などの背景を抱える医療業界で、それを意識的・能動的に行い、人事管理・組織統制・能力開発・指導援助・指示命令という観点で、マネジメントスキルとして向上させていく事が、全てのドクターにおいて必至であると考えられます。
職階で異なる、必要なマネジメントスキル
マネジメントを業務として行う人材に必要なスキルは、職階によって随分と異なってきます。ここでは、組織の職階の中のレイヤー毎に、どんなマネジメントスキルが重要になってくるのか、考えてみる事にしましょう。
ハーバード大学のロバート・カッツ教授は、組織における職階によって必要とされるマネジメントスキルを、「カッツの理論」として定義化しています。
カッツの理論:組織に役割における職階とは?
医療機関・企業・官公庁etc.どんなに組織が異なっていても…その組織の職階は、大きく3つに分ける事ができます。
【A】トップマネジメント層
経営陣の事を指します。医療機関の場合、理事長や理事、病院長や医院長などがこれに当ります。
【B】ミドルマネジメント層
管理職層の事を指します。医療機関の場合、診療科の部長や、副部長などがこれに当ります。
【C】ロワーマネジメント層
監督職層の事を指します。医療機関の場合、ユニットリーダーやチームリーダーや班長など、あらゆる“長”の他、何らかの指導医になった場合や、診療科内に下級医師が一人でもいる場合は、これに当るでしょう。さらに医師の場合、看護師や薬剤師などのあらゆる医療スタッフを現場で統括する立場にあるため、全ての医師は監督職層以上のマネジメント職に就いていると言っても過言ではありません。
カッツの理論:組織に必要なマネジメントスキルとは?
組織に必要なマネジメントスキルは、
【1】テクニカルスキル=業務遂行スキル
【2】ヒューマンスキル=対人対処スキル
【3】コンセプチュアルスキル=理念化概念化スキル
…です。
ドクターの場合、
【1】テクニカルスキルは、医療や診療に関するスキルです。
【2】ヒューマンスキルとは、他社との良好な関係を構築・維持するために必要なスキルです。上司や同僚や部下、そして患者さんや、業者さんなど、業務に関わる全ての人との対人関係を円滑にし、業務が最適化されるために不可欠で、組織で働く人間にとって、非常に重要なスキルです。
【3】コンセプチュアルスキルとは、組織の理念を明確化し、どのようなマインドで、どのような方向性に、どのような方法で進むか?…を、舵取りするスキルです。組織と社会の状況を正しく判断し、政策を決定するためのスキルで、幅広い知識や知恵、論理的推考能力などが求められるものです。
カッツの理論:組織に必要なマネジメントスキルとは?
カッツは、職階に応じて求められるマネジメントスキルの質量を、下記の図のようにまとめています。職階が上がれば上がるほど、コンセプチュアルスキルが重要で、下層の職階では、テクニカルスキルが重要だとされています。
ドクターの現在の職階はどこか?…を、しっかり考え、転職活動において必要なPR材料を揃えて下さい。職務経歴書への記載や面接時にアピールすべき情報のバランスは、ほぼ、このカッツの理論通りで間違いないと考えられます。
なぜ転職活動にマネジメントスキルが重要か?
なぜ、マネジメントスキルの研鑽やそのPRは、転職に有利なのでしょうか?
前述をまとめると…
医師個々人のマネジメントスキルの重要性が明確に問われるようになったのはごく最近の事であるため、高いマネジメントスキルを保有している人材や、その重要性を自覚している人材が少なく、PR価値が高いポイントである事。
医師は医師である以上、全ての人材が“マネージャー”であり、経営陣でなくとも、役職者でなくとも、現場を指揮監督する立場にあるため、他の職業よりも、よりマネジメントスキルが求められている事。
…これらの理由により、「マネジメントスキル」は、転職で非常に重要な観点となり、きちんと対峙し、戦略を立てると、転職活動に有利に働くものとなるのです。
しかし、転職エージェントによっては、「マネジメントスキル」を、まだまだ重要視していない所も多様にあるようです。
私、野村龍一が、医師転職コンサルタントの立場から、口を酸っぱくして言っている事があります。それは…良い転職は、転職エージェント選択時に決まっている…という事実です。ドクターがより良い転職を実現できるよう、当研究所がお勧めする優良なエージェントへのコンタクトを、心からお勧めします。
この記事を書いた人
医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします
ツイート