【医療ニュースPickUp 2017年12月8日】インフルエンザ流行シーズン入りを厚労省が発表。ワクチン不足が懸念
2017年12月1日、インフルエンザの流行シーズン入りを厚生労働省が発表した。
第47週(11月20日~11月26日)の感染症発生動向調査で、定点当たり報告数が1.47(全国5,000の定点医療機関で患者報告数7,280)となり、インフルエンザの流行開始の目安となる1.00を、2017/2018年シーズンで初めて上回ったためだ。
今年は、例年よりもやや早い時期での流行シーズンの始まりとなった。
厚生労働省は、感染症サーベイランス事業により、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者数について週ごとに把握している。
全国で警報レベルを超えているのは、1カ所(1県)で、注意報レベルを超えている地域は5カ所(4県)。
これらの定点医療機関からの報告をもとに、この一週間で全国の医療機関を受診した患者数を推計すると、おおよそ7万人となり、前週の推計値である4万人を大きく上回っている。
年齢別では5~9歳が約2万人、0~4歳、10~14歳、30代、40代がそれぞれ約1万人。
2017年第36週から累積した推計受診者数は約25万人となった。
国内のインフルエンザウイルスの検出状況を見ると、現段階ではAH1pdm09(2009年に流行したインフルエンザ)が最も多く、次いでAH3亜型(いわゆる香港型)、B型が同程度に見られるという。
厚生労働省ではインフルエンザの予防接種をすすめているが、今年はワクチンの製造が遅れ、出荷量も少なく供給不足になっているという。11月6日に発表された厚労省の予測では、ワクチンが全体に行き渡るのは12月中旬から年明けになる見込み。
同省は13歳以上の者については原則「1回注射」を徹底してワクチンの効率的な活用を求めるほか、マスクの装着や、咳・くしゃみの時に口と鼻を抑え、他人から顔をそむける「咳エチケット」の普及を呼び掛けている。
参考資料
国立感染症研究所 インフルエンザ流行レベルマップ第47週(12/1更新)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/flu-map.html
厚生労働省プレスリリース インフルエンザの発生状況について
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000186630.pdf
厚生労働省健康局健康課 事務連絡
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000183652.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
いよいよインフルエンザシーズンの到来ですが、実は私自身、今シーズはまだ予防接種を受けていません。私の知人たち含め、「子どもたちは何とか済ませたけど、大人は後回し」というケースが多いようです。
私が住む区ではすでに、11月半ば頃には「大人は接種できず、子どもも1回目の接種をした人のみ、2回目の接種予約を受け付ける」という医療施設も出てきています。
近隣の区でも同様で、中には居住している区を超えて、「ワクチンのある医療機関」を探している方もいます。
今シーズンはまだ「学級閉鎖」の声は聞こえていないようですが、これも時間の問題ですよね。
違う理由で医療機関を受診したとき、熱発していたり、咳き込んでいる患者さんをみると、何となく直視はできないかなと考えてしまいます。
せめてこれから3か月程度の間は、インフルエンザ予防対策を徹底したいところです。
ところで、最近「体温をあげて免疫力を付ける」という話題のコンテンツを、よく目にするようになった気がします。
インフルエンザに限ったことではありませんが、免疫力維持にはある程度の体温が必要なのは、医療者の中では周知の事実ではないかと思います。
しかし中には「何を見て書いているのか」と首をかしげたくなるコンテンツもあります。
こういった情報を鵜呑みしてしまい、ちょっと間違った予防法が広まるのは、とても残念です。
特にこれからの時期は、インフルエンザだけではなく、さまざまな感染症が猛威を振るう時期ですので、自分自身も、十分に留意していきたいです。
医療者として働くみなさんも「医者の不養生」といわれないよう、自己防衛策を徹底して頂きたいと思います。
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