【医療ニュースPickUp 2018年2月7日】患者が死亡する前の医療や療養生活の実態を全国調査へ - 国立がん研
平成30年1月26日、患者が死亡前に利用した医療や療養生活などについて、遺族を対象にした全国調査を行うことを、国立がん研究センターがん対策情報センターが発表した。
対象となるのは、がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患、腎不全で亡くなった患者の遺族。
「大切な最期の時間をその人らしく、より良く過ごすことができる医療のあり方を明らかにすること」を目的に、厚生労働省の委託事業として実施されるという。
今回の調査は、全国の約4,800名の遺族から、がんなどの疾患にかかった患者が亡くなる前に利用した医療や生活状況、介護を通して遺族の感じたことなどを回答してもらう。
療養生活の最終段階の実態を把握することで、医療や療養環境の改善につなげることが目的。
今後も継続的に調査を行うことで、遺族側から見た医療の問題を明らかにするという。
抽出方法は、厚労省で所定の手続きを経た上で人口動態調査の情報を使い、2016年にがん、心疾患、肺炎、脳血管疾患、腎不全で亡くなった患者から無作為に選ばれる。
内訳は、がん死亡患者3,200名、心疾患・肺炎・脳血管疾患・腎不全で死亡した患者それぞれ400名。
主として患者を介護した成人の遺族を対象に、平成30年1月末頃より順次、調査票を送付する。回答は主に選択式で、自由に意見を記入する欄も設けられており、回答はすべて任意。個人の特定ができない形で分析される。
患者の受けた医療について遺族を対象とした調査は従来も行われてきたが、対象となるのは一部の施設に限定されており、全国の実態は把握できていなかったのが現状だ。
今回のように、全国調査によって患者遺族の意見を広く集めるのは初めての試みとなる。
調査票は匿名で回収し、国立がん研で集計した後、厚生労働省に報告書として提出する。また、がん研のがん対策情報センターのホームページでも平成30年4月以降に公開予定。
参考資料
国立がん研究センター プレスリリース
患者さんが亡くなる前に利用した医療や療養生活の実態を調査ご遺族約4800名を対象に全国調査実施
https://www.ncc.go.jp/jp/information/pr_release/2018/0126/index.html
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今回のニュースは、亡くなる直前に患者さんが受けた医療を、遺族がどうとらえているかを調査する、というものです。
今回の調査対象となるのは「がん、心疾患、肺炎、脳血管疾患、腎不全」の5つの疾患で亡くなった患者さんですが、これだけで日本の死因のうち1位、2位、3位、7位を占めているわけですから、ある程度は「日本の終末期医療の実態」が分かるのではないかと思われます。
それでも、全対象者4,800名のうち、がんで亡くなった方(の遺族)がおよそ67%を占めてはいるところが、がん研究センターによる調査の特徴なのかもしれません。
こういった調査は日本初ではなく、過去にも全国のホスピス・緩和ケア病棟と在宅で緩和ケアを提供する施設などを対象とした同様の調査(J-HOPE(The Japan Hospice and Palliative Care Evaluation)研究)は行われています。
ただこのJ-HOPEでは、一般病棟で亡くなったケースや、在宅で亡くなった方は、調査が不十分ととらえられているようです。
個人的には「大胆な調査」のように思えるのですが、いかがでしょうか。
確かに、医療の質の評価の一貫として、提供した医療の結果を、医療者が正確に捉えることは必要なことといえます。
また、実際に患者さんが亡くなっている場所を考えると、一般病棟での結果も、医療者として知っておくべきことと言えるでしょう。
一方で、調査結果が公表されたとして、その結果を自分たちが提供する医療に、すぐに反映させることは、難しいのではないかとも思えるのです。
尚、今回の調査は一次調査であり、2018年度に二次調査が行われる予定になっています。実際にどのような「遺族の声」が出てくるのか、調査結果に注目したいと思います。
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