【医療ニュースPickUp 2016年11月16日】地域における保健医療計画の方向性を見直し 厚労省・医療計画検討会より
2016年11月9日、厚生労働省は「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催し、2018年度からの第7次医療計画における基準病床数の方向性、ならびに医療計画に盛り込む5疾病・5事業の方向性や具体的指標の見直し等を行った。
5疾病・5事業の評価指標についても見直しを行う
この検討会の中で、基準病床数の算出方法については、病床利用率(一般および療養)、平均在院日数(一般)、流出入(一般および療養)などに対する算出方法についての検討が行われた。
また、1日あたりの資源投入量少ない患者(1日あたりの診療報酬が175点未満の患者)は、「平均在院日数短縮」の中で勘案することとなった。
さらに、現在の保健医療計画の中で規定されている5疾患5事業に対しては、現在の構造を維持したまま、より充実した医療提供体制を構築するために見直しが行われた。
現行の第6次の医療計画からは、「都道府県でPDCAサイクルを回す」こととなっている。しかしそのベースとなる指標に対する課題が、以下のように明確化してきている。
- 現状の把握:前計画に対する評価がない
- 課題の抽出:これに対する考え方や、例示がない
- 数値目標:課題と数値目標のつながりが不明確、定期的な事後評価が困難
- 施策、評価:施策の達成状況の評価に対する具体的な記載がない、施策を進めるための事業計画(評価含む)についての記載がない
- 公表:取組の成果等について、全体像が見えづらい
本検討会ではこれらの課題を踏まえ、5疾病・5事業の評価指標についても見直しを行うこととした。例えば「がん」については、以下のような方向性で検討がなされた。
「がん」と同様に、「脳卒中」、「急性心筋梗塞」、「糖尿病」、「救急医療」、「周産期医療」、「小児医療」などについても、方向性の検討がなされており、2018年度からの第7次保健医療計画にて反映される見込みとなっている。
参考資料
厚生労働省 第六回 医療計画の見直し等に関する検討会
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000142313.html
資料1 地域医療構想に関するワーキンググループにおける意見の整理
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000142305.pdf
資料2 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループにおける意見の整理
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000142306.pdf
資料3 次期医療計画における基準病床数の算定の考え方について(案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000142450.pdf
資料4 次期医療計画の策定に係る指針等のイメージについて
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000142308.pdf
資料5 次期医療計画における指標の見直しについて
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000142309.pdf
資料6 5疾病・5事業等の見直しの方向性について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000142310.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
地域(具体的には都道府県)における保健医療計画については、当サイトでも連載コラムがありますが、果たして、これらをつぶさに読んでいる住民はいるのだろうか?と、都道府県ごとの保健医療計画の資料を読むたびに考えます。
医療者であれば、ある程度は予測しながら読み進められそうな資料ではありますが、一般の人には、まず分かりにくいだろうなと思うのです。
自分が住んでいる都道府県は、今後をふぉう捉えているのか、なぜこの地域の病院のベッドは減っていく傾向があるのか、実際にその地域で暮らす住民にとって有益な情報が書かれているのかどうか、その辺が分かりにくいのではないかと思います。
そもそも、保健医療圏って何?医師や看護師の数はどうやって必要数を出しているのか?医療者が足りない現実に対し、自治体(都道府県)は具体的に何をしてくれているのか?こういったことは、普段の生活には関わりが少ないことではありますので、仕方のないことかもしれません。
しかし、これが一般の人にも分かりやすく、目標、それに対する具体策、評価などが書かれていれば、この先、自分自身が暮らす地域がどうなっていくと予測されているのかが、分かるようになるのだと思います。
保健医療福祉は、国全体が足並みをそろえるのが難しい部分ではあります。
一方で、人の生活(生き方)にも直結する部分でもあります。
現在、各都道府県では、2018年度からの第7次保健医療計画の策定に向けて様々な取り組みがなされていると思いますが、「住民にも伝わる保健利用計画」となることを、期待しています。
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