【医療ニュースPickUp 2018年2月17日】厚労省ICTチーム発足、社会保障や関連データの有効活用へ
2018年2月13日、厚生労働省で「ICT※1利活用推進本部」の初会合が開かれた。
推進本部では、厚生労働分野においてICTをフル活用し
- 正確かつ効率的な社会保障給付の実現
- 分野横断的な業務プロセスの効率化
- 国民の利便性向上
- 関連データの積極的な有効活用
などの目的に向けた検討を行っていくという。
推進本部は、厚生労働大臣・副大臣・政務官の政務三役と事務次官、厚労審議官、医務技官、官房長らで構成される。
本部の設置と同時に直属のチームとして、情報通信技術や現場の業務実態に精通した若手職員が主体となった「ICT利活用推進チーム」も新設された。
チームの構成は厚生労働省内の公募に応じた幅広い関連部局や職種のうち、若手を中心としたメンバー24名(課長補佐級以下が18名を占める)。
その他にもチームの検討作業に加わる職員やアドバイザーとして内閣官房情報通信技術(IT)総合戦略室、マイナンバーを担当する内閣官房番号制度推進室、総務省など他府省庁から参画する。
同省では2017年1月にデータヘルス改革推進本部を設置し、健康・医療・介護分野における「パラダイムシフト」の実現に向け、2020年からの本格稼働を目指して有効なICTインフラの整備とビッグデータのプラットフォーム構築に取り組んでいる。
それと並行し、政府が強力に推進する「働き方改革」を受けて発足した厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チームが省内のペーパーレス化やテレワークなどによる生産性向上を進めている。
ICTによってこうした動きを統合することで、医療や介護、年金などの行政事務を効率化し、精度を高めていくことが目的となる。
議論は2018年内にまとめ、業務改革やデータ活用などについて推進本部に提出される見通し。
※1 ICTとは「Information and Communication Technology」の略語。情報通信技術による情報や知識の共有や伝達といったコミュニケーションやサービスの総称。
参考資料
厚生労働省ICT活用推進本部
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-jyouhouseisaku.html?tid=514378
データヘルス改革推進本部資料
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000148418.pdf
厚生労働省業務改革・働き方改革加速化チーム中間とりまとめ
http://www.mhlw.go.jp/topics/2017/05/tp0529-1.html
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【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
私自身、厚生労働省のサイトは良く見ているのですが、今まで「ICT推進に関する部署が無かった」ことに、まず驚きました。
今回、チームを構成するメンバーの中には、若手官僚も多く含まれるとのことですので、四角四面な「国としての取り決め」だけではなく、より実用的で、より現場に即した仕組みづくりが進むと良いのかと考えています。
先日、あるドクターから「データと情報の違いは何?」と質問されました。その時の私の答えは80点くらいだったようですが、そのドクター曰く
- データ:電子カルテや院内システム、あるいはさまざまセンサー機器などから集約させたもの(要は、集めたもの)
- 情報:データの中から「今必要なデータはどれか」を精査し、利用できる形に整え。すぐに使えるようにしておくもの
なのだそうです。
そう考えると、保健医療福祉分野には、非常に多くのデータが眠っていますよね。
いわゆるビッグデータは、すぐにでも集められそうな気がします。
しかし、ここからどうやって、どのような目的で「情報」を抽出していくのか。
また、その情報をどのように利用すれば「国民のためになる情報」に成り得るのか、今後のこのチームの活躍に、大いに期待したいと思います。
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