【医療ニュースPickUp 2015年9月24日】 熱中症患者が急増した今夏 医療機関や自治体が注意喚起
総務省消防庁が公開している「熱中症による救急搬送人員」報告によると、2015年7月27日から8月2日の1週間で、全国で11,672人の緊急搬送が行われたことが分かった。2014年の同時期の確定値は5,712人であったことから、およそ2倍近くの熱中症患者は発生していることが分かる。
酷い暑さだった2015年夏
重要度別では、軽症(7,453人)が最も多く、中等度(3,736人)のおよそ2倍、重症者が312人、死者が25人であった。年齢別にみると、高齢者が最も多く(5,689人)、これに成人(4,470人)、少年(1,411人)が続いた。
都道府県別にみると、東京都が1,095人で最も多く、愛知(989人)、埼玉(805人)、大阪(801人)、神奈川(630人)、兵庫(578人)などがこれに続いた。
特に、毎年その日の最高気温を記録することがある埼玉県では、春ごろから適宜、情報を更新・公開している。埼玉県には、「暑いときに県民が気軽に涼むことができる場所『まちのクールオアシス(県や市町村などの公共施設、金融機関やドラッグストアなど民間施設)
』」があり、これらの活用を呼び掛けている。
大阪府では、府のサイト内に注意喚起に関する特別ページを設けている。その中では特に、高齢者と子供への注意事項が明記されている。大阪府では、乳児の車内閉じ込め事故による熱中症搬送事例が発生しており、特に注意を呼び掛けている。
東京都によると、2013年の統計では、熱中症搬送患者数が300人を超えるボーダーラインは28℃であり、33℃台になると795人が救急搬送されていたという。また緊急搬送が最も多い時間帯は12時台(461人)で、次いで14時台が440人となっていた。特に11時台から14時台は、軒並み400人を超えていたことが分かった。
尚、国立環境研究所熱中症患者速報のサイト(http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/spot/maps.html)では、主要都市の各地域における熱中症患者数の速報数と、日最高気温の推移などが確認できるようになっている。
参考資料
総務省消防庁 熱中症による救急搬送人員数(7月27日~8月2日速報値)
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/heatstroke/pdf/270804-sokuhouti.pdf
東京都 熱中症に注意!
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/lfe/topics/201405/heat.pdf
埼玉県 熱中症を予防しましょう
http://www.pref.saitama.lg.jp/a0704/netsuchusyo/
大阪府 熱中症にご注意ください!
http://www.pref.osaka.lg.jp/kenkozukuri/nettyusyou/
国立環境研究所 熱中症患者速報
http://www.nies.go.jp/health/HeatStroke/spot/maps.html
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
ようやく涼しくなってきましたが、今夏は毎日暑かったですね。日頃、事務所の中で作業している時間が長いので、時々、日中に外出すると、このまま溶けてしまうのではないか、という錯覚に陥ることがありました。
総務省消防庁や、都道府県などが公開しているデータをみると、今年の熱中症発症数は、かなり悪い状況だと思います。梅雨明け以降、台風の影響で南風が入り込んでくるなど、急激な気温の変化が激しいからでしょうか。中でも高齢者の緊急搬送数が多いというのは、高齢化だけではなく「高齢者のみの世帯が増えている」こともあるのでしょう。地球温暖化などの外部環境的要因も大きいとは思いますが、熱中症はやはり自己防衛が必要なのだと痛感します。
毎年のように「車内に置き去りにされた子どもが熱中症で死亡」という痛ましいニュースを耳にしますが、真夏の屋外にある車の社内は、エアコンを付けても危険が一杯です。つい先日(その日は猛暑日)、家からそう遠くないイベント会場へ行きましたが、屋外の駐車場なのに、2人の子どもが車の中にいるのを見かけました。親はいませんでした。どうしようか?と考えながら様子を見ていましたが、5分ほどして親が戻ってきました。どれだけの時間、そのままだったのかは分かりませんが、大事に至らなくて良かったと思いました。
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