【医療ニュースPickUp 2015年9月14日】 入院への待ち時間は?厚生労働省が受療行動調査(概況)を公表
厚生労働省は2015年9月8日、「平成26年受療行動調査(概況)概数」の結果を公表した。この調査は、医療施設を利用する患者に対し、医療を受けた時の状況や満足度などについて確認し、今後の医療行政の基礎資料を得ることを目的としており、3年ごとに実施されている。
2位以下の受診理由に多様性あり
2014 年は、全国の一般病院 488 施設を利用する患者(外来・入院)約 19 万5千人を対象として、同年10 月に調査を実施した。有効回答数はおよそ 15 万3千人だった。
結果の概要は以下の通り。
●外来における、診察等までの待ち時間
・ 待ち時間は、15分未満:25.0%、15分~30分未満:24.0%、30分~1時間未満:20.2%
●外来での診察時間
・ 診察時間は、3分~10分未満:51.2%、3分未満:16.5%、10分~20分未満:13.8%
●病院への満足度
・病院に対する全体的な満足度は、満足:外来患者57.9%、入院患者66.7%
・外来患者の「満足」の割合が最も高いのは「医師以外の病院スタッフの対応」58.3%、次いで、「医師との対話」55.8%、最も低いのは「診察までの待ち時間」28.1%
●入院患者の満足度
・最も高いのは「医師以外の病院スタッフの対応」69.3%、次いで、「医師による診療・治療内容」69.1%、最も低いのは「食事の内容」で43.7%
病院の種類別、受診理由としては、どの医療機関でも“症状を診てもらう”が一番多いが、2位以下については、病院の種類により違いがある。例えば、特定機能病院であれば“検査を受ける、または検査結果を聞く”が2位(30.7%)、定期的な薬の処方を受けるが3位(13.8%)だった。
しかし、病院の規模が小さくなるにつれて、“検査を受ける、検査結果を聞く”が減少傾向となり、その一方で“定期的な薬の処方を受ける”や“リハビリテーション”といった受診目的が増えてくる。
また、外来を受診した患者の理由としては、自覚症状があったケースが69%を占めているが、およそ25%は自覚症状がないまま受診している。
一方、救急搬送以外で受診した患者が入院が必要と判断されても、ほぼ5人に1人が実際に入院するまで1カ月以上を要していたことも分かった。理由としては“ベッドが空いていない”が 26.7%と最も多く、次いで「自分や家族等の都合」が 20.2%となっていた。
“ベッドが空いていない”と答えた患者がもっとも少なかったのは中病院(6.4%)だが、もっとも多かったのは療養病床を有する病院。今後の医療体制の改善が求められる。
参考資料
厚生労働省 平成26年受療行動調査(概数)の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/14/index.html
同上 平成26年受療行動調査(概数)の概況 結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/14/dl/gaikyo-all.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
私の周りでも、「治療が必要だけど空きがないから2カ月待ち」とか「療養型病棟の空きがないからとりあえず自宅へ帰る」という話を耳にします。この調査結果をみると、そうか、本当に病院のベッドって足りないのね、ということがよく分かりました。
現在の日本は、入院治療優先から、在宅療養へとどんどん移行しようとしています。この先、「病院で働く人」が減ってくることを考えたら、それも当然なのだと思います。でも、在宅療養にも限界はあると思います。介護士さんの人手不足は、看護師と同等か、もっと悲惨な状況なのかもしれません。
また、「家族が世話をする」のも、24時間つきっきりでいるわけにもいきませんし、一時的な在宅療養なのか、先が見えない状況なのか、それによって家族の負担は大きく変わってきますよね。以前、認知症の祖母の世話をするために、仕事を辞めた20代の孫、という人をテレビで拝見しました。個人的には、これは非常にナンセンスだと思います。社会に出て働くことを覚えたばかりの“孫”は、やはり社会の中で大きくなってほしいと思うのです。
今後の日本は、どんどん若い人たちへの負担が増えていきます。自分が高齢者になった時、子どもや孫たちの手を煩わせることなく、健康で居続けるにはどうすれば良いか、きちんと考えてみようと思いました。
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