【医療ニュースPickUp 2017年10月6日】日本病院会が「病院総合医」育成プログラム申請を受付開始
2017年10月3日、一般社団法人 日本病院会(以下、日病)は、複数疾病を持つ高齢患者などに総合的な診断を行ってチーム医療を牽引し、将来は経営幹部として病院全体を牽引する「病院総合医」の養成を、2018年度から開始すると発表した。
4月からの育成プログラム開始に向け、10月10日から11月10日までの1ヶ月間、総合診療医の理念に賛同する病院から、育成プログラムの申込を受け付ける。
医療の専門家・細分化が進んでいる現在、医療現場では、高齢者など複数の疾患を抱える患者への総合診療の提供や、複数の診療科および介護・福祉との連携が可能な医師が、不足している現状が指摘されてきた。
「病院総合医」制度は、こうした幅広い医療を包括的に提供する医師の養成を目指すものだ。
同プログラムに参加するには、まず(勤務先の)病院が日病に申請して、対象病院と認定される必要がある。
その後、病院が基準に沿った育成プログラムを作成・提出し、研修を受ける「病院総合専修医」を登録。
専修医が病院内で所定の研修を修了し、病院の総合指導医や病院管理者が、病院総合医として推薦できると判断したら日病に申請し、審査を経て認定される仕組みだ。
研修を行う病院については、日病の掲げる理念に賛同する病院であれば病床規模は問わない。
卒後6年目以降の医師が対象となり、原則2年の研修期間を経て資格を取得する。資格は5年ごとに更新されることになる。
「病院総合医」の育成プログラム自体は、すでに独立行政法人 地域医療機能推進機構(JCHO)が策定したものがある。
地域医療を提供する病院に勤務する「病院総合医」のほか、地域の総合診療が可能な開業医や、医師不足の地域で貢献する医師の育成を目指した内容だ。
日本プライマリ・ケア連合学会が認定試行事業を行っており、認定医・指導医として、すでに250名以上を認定している。
日病は、従来の制度では総合医療を提供する医師の地位やキャリアアップについては明確になっていないとして、病院総合医がチーム医療を牽引する役割を担い、将来的には病院全体をまとめる「経営幹部」へのルートに言及している。
日病の病院総合医育成プログラムには下記のホームページから申し込むことができる。
http://www.hospital.or.jp/sogoi/
参考資料
一般社団法人 日本病院会
日本病院会認定 病院総合医 育成事業
http://www.hospital.or.jp/sogoi/index.html
独立行政法人 地域医療機能推進機構 JCHO版病院総合医(Hospitalist)育成プログラム ~平成30年度 研修対象者の募集を開始~
https://www.jcho.go.jp/hospitalist/
独立行政法人 地域医療機能推進機構 人材育成・人材開発(1)総合診療医の育成
https://www.jcho.go.jp/%E4%BA%BA%E6%9D%90%E8%82%B2%E6%88%90%E3%83%BB%E4%BA%BA%E6%9D%90%E9%96%8B%E7%99%BA/
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
今回は、「病院総合医 育成事業」についてです。
似た様な名称で、総合診療医もありますね。
「ホスピタリスト」という呼び方もあるようですので、その違いがどこにあるのかが分からなくなってきました
気になったので、医学会はどうかを調べたところ、「日本総合診療医学会」という学会が存在しており、「病院総合診療医(Hospitalist)を育成する」という目的として設立されたようです。つまり「ホスピタリスト」とは、病院総合診療医学会で認められた専門医資格となります。
もう少し気になったので、医療法などで「○科を標榜できる条件」を調べてみたところ、医療法上では「診療科名は、医業及び歯科医業につき政令で定める診療科名並びに当該診療科名以外の診療科名であつて当該診療に従事する医師又は歯科医師が厚生労働大臣の許可を受けたものとする」とあります。
一方、厚生労働省からは、平成20年に通知が出されており、それまでよりも「標榜診療科名」に対する規制は、若干、緩和されたかのうように見えます。
では実際、日本全国に「病院総合診療医学会」で認められた認定施設がいくつあるかを数えてみると、176施設でした。いわゆる「総合診療」「病院総合医」「ホスピタリスト」と呼ばれる医師に求められる専門性から考えると、この数は少ないのでしょうか、多いのでしょうか。
中には、0施設の都道府県もあるようですので、まだまだ全国的には足りていない、というのが現実なのかもしれません。
これからの日本で需要が急増するであろう、「疾患や病状を総合的に判断できる医師」は、たとえ研修内容に多少の差があったとしても、その育成が喫緊の課題であることは、間違いないでしょう。
地域によっては、他科の専門医よりも、需要が高くなるかもしれません。今後これらの専門医、認定医がどうなっていくのか、注目していきたいと思います。
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