【医療ニュースPickUp 2016年4月29日】一般病床数1ヶ月間で1000床以上の減少 医療施設動態調査結果より
2016年4月28日、厚生労働省は、2016年2月現在での「医療施設動態調査」の結果を公表した。この調査は、厚生労働省により毎月行われており、全国の病院・診療所の増減が分かるデータとなっている。
有床診療所は減少傾向が続く
今回公表された調査結果によると、2016年2月末現在、全国の医療施設総数は17万8303施設であり、全体では前月から3施設が増加している。内訳をみると
- 病院 : 一般病院が2施設減少、療養施設を有する病院が2施設増加
- 診療所 :8施設増加
- 歯科診療所 : 3施設減少
となっている。
特に有床診療所は、前月からの1か月間で23施設減となっており、減少傾向が続いている。一方で、無床診療所だけをみると31施設増加となっており、2016年1月の1か月間では16施設減だったが、2月1か月間で再び増加している。
病床数は、全国で166万9342床であり、増減については次のような結果となった。
- 病院
- 一般病床が1029床減少
- 感染症病床 6床減少
- 療養病床 56床増加
- 精神病床 108床増加
となった。
このうち、精神科病床については、精神科病院数は変わっておらず、病床数のみが増加したこととなる。
また、有床診療所の病床数も、全国で70床の減少となり、総数では1432床の減少となった。歯科診療所の病床数には変化がなかった。
過去2年程度の経過をみると、病院病床数の減少傾向は続いており、過去3か月間で2000床程度の減少となっており、減少に拍車がかかっている。
2016年度からの診療報酬改定において、在宅復帰機能強化加算の新設、夜間看護配置加算のアップ、在宅医療関係の報酬アップなどが、有床診療所の経営を支える項目もあることから、今後の有床診療所の動向が注目されている。
参考資料
厚生労働省 医療施設動態調査(平成28年2月末概数)
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m16/is1602.html
同上 医療施設動態調査(平成28年2月末概数) 結果の概要
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/m16/dl/is1602_01.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
ここ数年、全国的な病床数が減少傾向にあるとは耳にしていましたが、この2年間くらいで9,000床くらい減っているようです。平成28年1月から2月の1か月間で1,000床以上の減少なわけですから、2年間で1万床というのも頷けます。
その背景には、皆さんもご存じの通り、国(厚生労働省)が進める「病院から在宅へ」という流れがあると思います。あるいは、「今後は、働き手が不足していく」という現実も、影響しているのではないかと思います。
一方で、一般社団法人 全国公私病院連盟および一般社団法人 日本病院会が、連盟で公表している「平成 25年 病院運営実態分析調査の概要」という資料によると、医療機関内での「100床あたりでの職員数」は、総数、医師数、看護師数だけではなく、ほとんどの職種で増加傾向にあります。また、平均在院日数も徐々短くなっているようです。
こういった色々な要因を組み合わせて考えると、「治療法や薬剤などの開発により、入院期間の短縮、あるいは外来治療も可能になった」ということもあるかと思います。
さらに、「医療者に対する【職場環境の改善】を図った結果として、各医療機関における医療従事者の人員が増加傾向にある」ということもあるのでしょう。それならば医療機関は、より優秀な人員を求めることになりますから、医療者の間でも「淘汰」が始まっているのかもしれません。
現在では、通年的に看護師を募集していない医療機関は非常に少ないと思います。医師の募集は年中行われるものでもないかもしれませんが、大学などとの関係性が薄くなった医療機関では、特定の科で常に医師を募集しているところもあるでしょう(少ないですけど)。中には、閉鎖に追い込まれる科や医療機関もあります。
自分がどこで働き、どのような仕事をするべきか、流れに身を任せる時代は、とっくに終わっているのかもしれません。
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