【医療ニュースPickUp】2015年3月6日
医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。
HPVワクチンの副作用はどこで診てもらえるか
2015年3月2日、厚生労働省はヒトパピローマウイルス(以下、HPV)感染症の予防接種後に生じた、「痛み」などの症状の診療に係る協力医療機関を、全国に70か所整備していることを公表した。
●北海道
札幌医科大学附属病院 リハビリテーション科
北海道大学病院 HPVワクチン副反応支援センター
●青森県
八戸市立市民病院 小児科:中学生、神経内科:高校生以上
弘前大学医学部附属病院 産婦人科
●岩手県
岩手医科大学附属病院 産婦人科
●宮城県
東北大学病院 産婦人科
●秋田県
秋田大学医学部附属病院 産科婦人科
●山形県
山形済生病院 リハビリテーション科
●福島県
福島県立医科大学附属病院 整形外科
●茨城県
筑波大学医学部附属病院 麻酔科・ペインクリニック
水戸赤十字病院 神経内科
●栃木県
自治医科大学附属病院 産科婦人科
獨協医科大学病院 産科婦人科
●群馬県
群馬大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科
●埼玉県
自治医科大学さいたま医療センター 産婦人科
埼玉医科大学病院 総合診療内科
●千葉県
千葉大学医学部附属病院 整形外科
●東京都
東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセンター
東京慈恵会医科大学附属病院 ペインクリニック
順天堂大学医学部附属順天堂医院 麻酔科・ペインクリニック
日本大学医学部附属板橋病院 痛みセンター(麻酔科)
聖マリアンナ医科大学病院 産婦人科
●神奈川県
昭和大学横浜市北部病院 ペインクリニック外来
昭和大学藤が丘病院 産婦人科
横浜市立大学附属病院 小児科
北里大学病院 麻酔科ペインクリニック・緩和ケア外来
北里大学東病院 精神神経科
東海大学医学部付属病院 麻酔科ペインクリニック外来
●新潟県
新潟大学医歯学総合病院 産科婦人科
●富山県
富山大学附属病院 医療福祉サポートセンター
●石川県
金沢大学附属病院 小児科
金沢医科大学附属病院 麻酔科
石川県立中央病院 麻酔科
●福井県
福井大学医学部附属病院 産婦人科
●山梨県
山梨大学医学部附属病院 産婦人科
●長野県
信州大学医学部附属病院 神経内科
佐久総合病院 神経内科(高校生以上の方に限る)
●岐阜県
岐阜大学医学部附属病院 生体支援センター
●静岡県
順天堂大学医学部附属静岡病院 麻酔科
浜松医科大学医学部附属病院 産科・婦人科
●愛知県
名古屋大学医学部附属病院 手の外科
愛知医科大学病院 痛みセンター
●三重県
三重大学医学部附属病院 産科婦人科2
●滋賀県
滋賀医科大学医学部附属病院 患者支援センター
●京都府
京都府立医科大学附属病院 産婦人科
●大阪府
大阪大学医学部附属病院 小児科(15歳以下)、婦人科(16歳以上)
●兵庫県
神戸大学医学部附属病院 麻酔科5265
●奈良県
奈良県立医科大学附属病院 産婦人科
●和歌山県
和歌山県立医科大学附属病院 産科婦人科
日本赤十字社和歌山医療センター 第一産婦人科
●鳥取県
鳥取大学医学部附属病院 女性診療科
●島根県
島根大学医学部附属病院 小児科
●岡山県
岡山大学医学部附属病院 産婦人科
川﨑医科大学附属病院 産婦人科
●広島県
広島大学病院 産婦人科・小児科
●山口県
山口大学医学部附属病院 整形外科
●徳島県 徳島大学病院 産婦人科、整形外科、神経内科
●香川県
香川県立中央病院 婦人科
高松赤十字病院 小児科
香川大学医学部附属病院 麻酔・ペインクリニック科地域連携室
●愛媛県
愛媛大学医学部附属病院 麻酔科蘇生科(痛みセンター)
●高知県
高知大学医学部附属病院 通常の診療受付窓口
●福岡県
九州大学病院 グローバル感染症センター
●佐賀県
佐賀大学医学部附属病院 産科婦人科
●長崎県
長崎大学病院 産婦人科
●熊本県
熊本大学医学部附属病院 婦人科
●大分県
大分大学医学部附属病院 小児科
●宮崎県
宮崎大学医学部附属病院 産婦人科
●鹿児島県
鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 神経内科
●沖縄県
琉球大学医学部附属病院 麻酔科(ペインクリニック)
協力医療機関では、痛みの専門医などによる研修を受け、特に患者への対応方法などを一定のレベルにしておくことが求められる。HPVワクチン接種の対象者が主に女子中高生であることなどから、小児科・産婦人科・麻酔科などが協力し、接種後の異常を訴える患者への対応を行う。実際の研修については
1.予防接種の基本的知識について(小児科医等)
2.子宮頸がん、HPV感染症の予防接種に関する基本的知識および最新の知見(各地域の産婦人科医等)
3.慢性の痛みまたは運動障害に対する診療について(いたみ医学研究情報センター医師等)
4.HPV感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る地域における診療体制の整備について(都道府県担当者等)
という内容で、2014年9月29日の時点で、厚生労働省から各都道府県へ通知されている。
今回公表された70の医療機関の選定も、同日に各都道府県へ通知されており、都道府県側で検討し、選定された。大学医学部付属病院の産婦人科・小児科・麻酔科(ペインクリニック)などが多いが、中には整形外科やリハビリテーション科などが窓口となっている医療機関もある。
HPVワクチン接種については、2014年4月からの定期接種化スタート直後に、2か月あまりで「積極的な接種勧奨の差し控え」が出されており、今後どうなるのかは未だ明確にはなっていない。
厚生労働省は、これまでにワクチン接種の副作用であると把握しているおよそ2,500例に対し、回復具合などの追跡調査を行っている。
今年度内には結果をまとめ、接種呼びかけを再開するか否かの検討を始めるという。
参考資料
厚生労働省 ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関(平成27年2月27日現在)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/medical_institution/dl/medical_institution.pdf
同上 ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る協力医療機関の選定について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/dl/yobou140929-1.pdf
同上 ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る研修の実施について
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou20/dl/yobou140929-2.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
私にも娘(小学生)がいますが、接種勧奨年齢になった時にどうするか、未だ決めかねています。
確かに、「将来的に癌化リスクがある」部分を誇張すれば、接種する人は増えるでしょう。例えば学校の保健の時間などに、「将来、子どもが産めなくなるかもしれない」「癌になって辛い思いをするかもしれない」、という話を聞くようなら、子どもの心理としては「ワクチンを受けたい」と思うかもしれません。
しかし同時に「全身的な痛みなどの副作用の可能性があり、中には歩けなくなった人もいる」ことが分かれば、躊躇するでしょう。問題は、この後半部分が明確になっていない点ですね。
ワクチンと名の付くものはすべて、何らかの副作用が出る可能性があることは、保護者でも理解しています。
しかしHPVワクチンの場合、単に数日間熱が出るとか、接種部分が赤くなるといった、数日間我慢すれば何とかなるものとは違うのが、保護者から見ると恐怖に感じてしまうのです。
私個人的には、これを定期接種化する必要があったのか、今でも疑問に感じています。
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