【2015/2/4】厚労省・地域医療策定GL　都道府県単位での「構想区域」に指針

厚生労働省は、2015年1月29日に「第７回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」を開催し、今年4月から2年計画で都道府県ごとに地域医療構想（ビジョン）を策定するための指針を公表した。

地域医療構想は、都道府県を構想区域に区分した上で、構想区域を単位として、医療に対する需要を算出し、必要病床数を推計するもの。

資料では具体的に、高度急性期、急性期、回復期、慢性期に対して求められる、入院医療設備の機能と、想定される患者像を明示している。その上で各期について、2013年度のDPCデータおよびNDBのレセプトデータを用いて入院受療率を算出し、2025年に想定される医療需要を推計する。

特に慢性期については、地域の実情に合わせてではあるが、基本的には在宅医療への移行を加味した上での推計の考え方を示した。

◎高度急性期：

・急性期の患者に対し、状態の早期安定化 に向けて、診療密度が特に高い医療を提 供する機能

具体的には、くも膜下出血に対して脳動脈瘤クリッピング術を行った患者の術後管理の概要をあげている。また、心不全の患者に対して「非侵襲的人工呼吸器による呼吸補助を行い、肺動脈圧測定カテーテルや心エコー、血液検査、レントゲン等で綿密な評価を行いながら、利尿剤等による治療を実施している」という具体例もあげている。

◎急性期：

・急性期の患者に対し、状態の早期安定化 に向けて、医療を提供する機能

具体的には、膵臓がんの術後患者への術後管理の概要、慢性閉塞性肺疾患の急性増悪に対する管理の概要をあげている。

◎回復期：

・急性期を経過した患者への在宅復帰に向 けた医療やリハビリテーションを提供する機能
・特に、急性期を経過した脳血管疾患や大 腿骨頚部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテー ションを集中的に提供する機能（回復期リハビリテーション機能）

具体的には、高齢で尿路感染症のある患者への抗菌薬治療や、在宅復帰に向けての治療の概要をあげている。さらに、大腿骨頚部骨折による術後患者の、回復期リハビリテーションの概要をあげている。

◎慢性期：

・長期にわたり療養が必要な患者を入院さ せる機能
・長期にわたり療養が必要な重度の障害者 （重度の意識障害者を含む）、筋ジストロフィー患者又は難病患者等を入院させる 機能

具体的には、脳幹出血に対する術後慢性期における管理と、継続する意識障害に対する管理の概要をあげている。また、先天性ミオパチーの例をあげ、気管切開や胃瘻増設後の管理の概要をあげている。

さらに慢性期については、現在の療養病床と、在宅医療や介護施設における対応、地域における療養病床数や在宅医療の充実度、介護施設の整備状況等での対応も考慮すべきとしている。

特に療養病床は、包括算定で診療報酬点数が決まっており、実際の診療行為の分析が難しいため、医療資源投入量と別の指標を設置することとしている。

現在の課題として、慢性期の患者の受け入れに関しては、各地域における在宅医療介護施設の整備状況などにバラツキが大きいこと、各地域によって療養病床の患者をどの程度慢性期病床・在宅医療・介護施設で受け入れるが統一されていないことをあげ、今後の整備の見込みも踏まえて、地域差が一定幅に縮小することも求めた。

今回の指針では「構想区域」を基準として考えることとしているが、これまでに使われてきた「医療圏」とは必ずしも同一ではない場合もあるようだ。

「現行の二次医療圏と異なる構想区域を設定することも可能」としてはいるものの、それにはある程度の条件を付加する形となっている。

都道府県ごとの考え方によっては二次医療圏などを基準とする場合が原則となるケースがあるが、高度急性期については他の構想区域の医療機関での医療提供も視野に入れながら、急性期、回復期、慢性期は基本的に構想区域内で完結させることとしている。

これまでの医療圏と、今後の構想区域の違いにより生じる課題にどう取り組むのか。医療者側に求められる変化についても、動向を見守っていきたい。

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