【医療ニュースPickUp 2018年5月1日】はしか感染拡大の恐れ - GWの人混みに要注意
2018年3月に沖縄県で発生した麻疹(はしか)の感染拡大が止まらない。3月19日、沖縄県を旅行中の台湾から訪れた旅行客の男性が、県内の医療機関を受診して、麻疹と診断され入院した。
以降、この患者からの二次感染を中心にして麻疹の発生が続いている。男性観光客は台北から来日し、滞在中は沖縄県を広く移動しており、感染例の報告も沖縄県内の広範囲にわたっている。
沖縄県のホームページによると、県内で麻疹と診断された患者は2018年4月25日時点で72例。4月12日には愛知県からも感染報告があり、国内での感染拡大が懸念されている。
はしかは非常に感染力が強く、免疫を持たない者が感染した場合は、10~12日の潜伏期間を経て発症し、発熱、発疹などの症状が現れる。
麻疹ウイルスが体内で増殖すると、免疫機能が抑制された状態となり、他の細菌やウイルスとの合併症によって重症化することもある。
麻疹の二大死因である肺炎と脳炎のほか、中耳炎や心筋炎、長い潜伏期間の後に発症して重篤化する亜急性硬化性全脳炎などの例がある。
日本では、麻疹予防接種の2回接種が徹底されたことにより、麻疹の感染は減少した。日本土着の麻疹ウイルスは2010年5月を最後に国内で検出されておらず、2015年にWHOは日本を麻疹ウイルス排除状態と認定した。
しかしその後も外国から入ってきた麻疹ウイルスによる集団発生が複数の自治体で発生するなど、油断はできない状態だ。
国立感染所研究所の感染症疫学センターでは、沖縄県内を3月17日以降に旅行している人は麻しんウイルスに接触している可能性があるため、この期間に沖縄に滞在しており、発熱のある場合は沖縄県での滞在歴とワクチンの接種歴などを伝えて、麻疹にかかった可能性を伝えた上で受診するよう求めている。
また、沖縄県は観光客に向けたQ&Aを作成し、事前にワクチン接種歴を確認することをすすめており、ワクチンの2回接種を完了してない妊婦は沖縄訪問を控えるよう勧告している。
参考資料
出典:国立感染症研究所
沖縄県に関連する麻疹の発生状況について
https://www.niid.go.jp/niid/ja/id/655-disease-based/ma/measles/idsc/7990-measles20180419.html
麻疹とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/518-measles.html
沖縄県 麻しん(はしか)患者の発生状況について
http://www.pref.okinawa.jp/site/hoken/eiken/kikaku/kansenjouhou/measles.html
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
GWがスタートし、民族大移動が起きているかのように、あちらこちらへ移動する人たちがいます。かくいう私自身もGWにはレジャーの予定がありますが、その直前にこの事実を知り、やや戦々恐々としています。
2年ほど前でしたでしょうか、千葉県内のコンサート会場へ麻疹患者が参加し、集団感染の恐れがあるとして、千葉県からの注意喚起が出されていました。そして今度は沖縄です。
麻疹には、流行しやすい時期は無いかと思いますが、感染力が非常に強いところが怖いところです。
例えば、現在幼児から学童期、青年期くらいの人なら、子どもの頃にワクチンを受けていますので、大部分の人は感染しないかもしれません。しかし、麻疹のワクチンにより抗体が出来るのは100%ではなく、およそ5%の人は免疫がつかない(抗体陽転しない)といわれています。
また、2006年以降は2回接種になりましたが、それ以前にワクチン接種が終わっている人は1回しか接種していない人もいます。さらに現在40歳以上の人の中には、一度もワクチンを受けていない人もいます。
自分自身が麻疹に対する免疫を持っているかどうかも、定期的に検査するわけではありませんので、過信してはいけませんよね。
沖縄県のWebサイトを見ると、麻疹に関する情報はほぼ毎日更新されているようです。患者発生報告もありますので内容を確認してみると、恐らく一家で感染したのであろう症例や、医療機関内で患者と接触して発熱している人もいます。これは医療者なのでしょうか。
いずれにしても、1日も早く感染拡大が終息することを望みます。
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