【医療ニュースPickUp 2015年7月15日】 在宅医療もクラウドの時代 パナソニックが新サービス提供開始
2015年7月7日、パナソニック ヘルスケア株式会社(本社:東京都港区、社長:山根健司)は、新しいクラウドサービス「在宅医療共有システム Medicom-HCLink」を、2015年7月27日から発売することを発表した。このシステムでは、医師や看護師、薬剤師、介護士など、在宅医療や在宅介護に携わるメンバーが、パソコンやタブレット端末のブラウザーを通じて、情報を共有できるという。
各自治体が中心となって進めるシステム
このサービスの特徴は、
- 在宅チーム内の円滑な情報共有に必要な機能をパッケージ化(主な機能:訪問記録・閲覧、コミュニティ(伝言板)、スケジュール管理ほか)
- セキュリティ品質を確保した情報共有クラウドサービス
- 当社電子カルテシステム及び電子薬歴システムとのデータ連携
同社の電子カルテシステム「Medicom-HRⅢ」や、電子薬歴システム「PharnesⅢ-MX」と
共有できる情報は、
- 患者の日常の健康状態や生活状況
- バイタル測定値、服薬状況
- 訪問予定や申し送り事項
- 文書・画像
- メンバー間で情報を交換する伝言板機能
などとなる。
こういったサービスでは、セキュリティに関することが課題として挙がることもあるが、このサービスは、国が定める4つのガイドラインに準拠しているという。
また、パナソニック ヘルスケア株式会社では、このサービスの提供により、地域包括ケアシステムの実現を支援したいとしている。地域包括ケアシステムとは、厚生労働省が中心となって推進されている施策であり、2025年を目途に「高齢者の尊厳の維持と自立生活支援を目的とし、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしく暮らせるよう、構築を目指している地域の包括的な支援・サービス提供体制」のこと。
このシステムは、各自治体が中心となって進められることとなっているが、実際にどんな仕組みが必要となるかは、地域ごとの状況により異なる。このサービスが、どのように地域包括ケアシステムの構築とつながっていくのだろうか。その効果に期待したい。
参考資料
パナソニック ヘルスケア株式会社
地域包括ケアシステム(※1)をクラウドサービスで支援する「在宅医療共有システム Medicom‐HCLink」を発売
http://www.panasonic-healthcare.com/jp/news/2015/0707
厚生労働省 地域包括ケアシステム
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/chiiki-houkatsu/
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
在宅の世界にも、クラウドサービスの波が押し寄せてきましたね。病院のカルテと違い、在宅診療・在宅看護・在宅介護はみな、違う診療所や事業所から人が派遣されてくる形なので、統一されたカルテがあるわけではありませんので、こう言ったサービスを利用することで、在宅療養中の患者さんの様子が、経時的に把握できるようになればもっと役に立つこともあるのかと思います。
お薬がチキンと飲めているのか、食事がどれくらいとれているのか、意識状態の変化はあるのかなど、その時に観察した状態だけではなく、経時的な変化を知ったからこそできるケアもあるかもしれません。色んな職種間で共通認識を持つ、というのは基本ですし、その為には必要な仕組みなのかなとも考えます。
ただ、やっぱり気になるのはセキュリティ。「4つのガイドラインに準拠しています」とあっても、本当に大丈夫か?という感覚はどうしても抱いてしまいます。来年からのマイナンバー制度も含めると、自分のデータが世間のあちこちで見られるようになる世界は、少し恐ろしくもあります。
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