【医療ニュースPickUp 2015年11月2日】 作用槽を丸ごと洗浄・消毒できるネブライザー オムロンより新発売
オムロンヘルスケア株式会社(本社所在地:京都府向日市、代表取締役社長:荻野 勲)は、世界初の新構造の作用槽を採用した「オムロン超音波式ネブライザ NE-U780」を、2015年11月2日より販売開始すると公表している。
日本国内の気管支ぜん息患者数は800万人以上で増加傾向
同製品は、洗浄・消毒の作業性を高めた「医療機関向けの超音波式ネブライザ」であり、本体から丸ごと取り外すことができる、新構造の作用槽「リムーバブルタンク」を新採用。単独で洗浄、消毒することが可能となったため、院内感染リスクの低減に貢献する可能性があるという。
また、本体には凸凹が少ないデザインを採用。拭き取り消毒などの手入れも容易に行うことができる。さらに本体上部の画面には、タイマー、風量、霧化量が大きくデジタル表示され、夜間の病棟など、比較的暗い場所でも見やすい「バックライト」も採用した。操作時に発生するエラーに対しては、「エラー報知LED」を搭載。エラーが発生している箇所や、エアフィルタの点検が必要なタイミングを表示して知らせることで、素早い対応が可能になるという。
ネブライザは本来、細かい霧状に放出した薬液を、吸入することで気管支の奥まで届け、治療するための機器である。喘息患者や、大気汚染による慢性肺疾患患者の治療だけではなく、外科手術後の上下気道感染予防などにも使用されている。
近年は、住宅環境の変化、あるいは偏った食生活などの生活習慣の変化、さらにはストレスなどの要因により、日本国内の気管支ぜん息患者数は増加傾向にある。小児・成人共にここ10年で約2~3倍に増加していると言われている。現在の日本では、800万人以上の患者がいると推定されており、医療機関で吸入治療を行う患者の数も増加している。
実際の販売経路としては、同社の医療機器販売会社であるオムロン コーリン株式会社を通じて行うこととなっている。メーカー希望小売価格は10万円(税別)、販売目標は発売後1年間で5,000台としている。
参考資料
オムロン株式会社 ニュースリリース
世界初 本体から簡単に取り外し、丸ごと消毒できる作用槽(水槽)を採用オムロン 超音波式ネブライザ NE-U780~洗浄・消毒の作業性を高めた、衛生的な新構造 11月2日発売~
http://www.omron.co.jp/press/2015/10/h1028.html
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
ネブライザーといえば、もちろん病棟でも見かけますが、私自身は子どもが通う小児科クリニックでとてもお世話になっている機器です。喘息持ちではありませんが、咳が多い時(気管支に痰が溜まっているとき)は、「“しゅー”しようね」といわれ、ネブライザーを使っています。
常々思っていたことですが、ネブライザーは確かに「噴出する薬液を吸入するため」のものであり、基本的には空気+薬剤の流れは一方向なのでしょう。しかし「口から吸って鼻から吐く」などという器用なことが子どもにはできませんので、呼気が再び、ネブライザーからのチューブにも流れ込んでいる可能性は否定できません。常に一方向に風が流れているようなものですので、マスクの部分だけ変えれば良いのだとは思うのですが、実際はどうなのか、という疑問が少なからずありました。
この新製品であれば、作用槽ごと丸っと取り替えられるので、確かに「呼気の逆流」は自分自身のものだけ考えれば良いわけですし、よりキレイな空気+薬剤を吸い込む、ということが可能なのだと思います。こう考えると、患者側の安心度はより高くなると思います。
価格的にはまだ個人向けとは言い難い気もしますが、小さ目サイズですし、掃除も簡単そうですし、もう少し価格が下がれば個人の自宅用としても、売れる製品なのだと思います。
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