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【医療ニュースPickUp 2016年9月23日】医師の偏在対策が本格化? 厚生労働省 医師需要分科会(第7回)を開催

【2016/9/23】医師の偏在対策が本格化? 厚生労働省 医師需要分科会(第7回)を開催

 

2016年9月15日、厚生労働省は「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第7回)」を開催した。この日の議題は「医師の偏在対策」。厚生労働省は、これまでにも医師の偏在対策について様々な議論を行ってきたが、今回の分科会では「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会 中間取りまとめ」が公表された。


今後はさらに議論を進め、年内の取りまとめを目指す

今回、公表された資料によると、医師偏在対策への課題は、以下のような内容となる。

 

  • 平成20年・21年度から行われた医学部定員の暫定増が平成 29 年度に終了することから、その後の対応についての検討が必要である
  • これまで 1,637 名の医学部定員の増員を行い、全国的な医師数は増加したものの、地域における医師不足は解消していない
  • 医師の養成には時間がかかること、医学部への進学者が増加することで他の領域での人材不足を招くとの指摘もある
  • 全国的にみれば、平成34年頃に、医師の需要と供給は均衡するが、地域の偏在を解消するものではない
  • 各地域で行われている「医師の偏在対策」はあるが、未だ解消されていない地域も多々ある

 

これに対し、今回の分科会では、「自主性を尊重した対策だけでなく、一定の規制を含めた対策を行っていく観点から、さらに強力な医師偏在対策について議論し、年内のとりまとめを目指す。」としている。

 

尚、年末までに取りまとめを行う内容としては、

 

  • 医学部における卒業後の地域定着がより見込まれるような地域枠のあり方の検討
  • 臨床研修について募集定員の調整(都道府県の権限を強化する)
  • 専門医の配置に対する都道府県等の調整権限の明確化
  • 都道府県が立案する医療計画に医師不足の診療科や地域について確保すべき医師数の目標値を設定
  • 臨床研修病院・地域医療支援病院・診療所等の管理者の要件として「特定地域・診療科で一定期間診療に従事すること」を明言

 

などが明示されている。

 

今後検討される具体的な対応策の方向性としては、「医師に対する規制を含めた地域偏在・診療科偏在の是正策を検討」となっており、地域の実情に合わせた、より具体的な「医師確保対策」について、都道府県単位での検討が重要視されることになる。

 

 

参考資料

 

厚生労働省 医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会(第7回)
資料1.医師需給分科会の今後の進め方について(案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120209_7.pdf

 

同上 資料2.医師偏在対策の主な論点について
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000137004.pdf

 

同上 参考資料1.医師需給分科会中間取りまとめ
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120212_7.pdf

 

同上 参考資料2.日本専門医機構新執行部の取り組みの現状
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120211_7.pdf

 

厚生労働省 医療計画 医療計画の見直しについて
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/shiryou_a-1.pdf

 

【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】

 

当サイトでも「保健医療計画からみる都道府県の姿」というコラムをお届けしていますが、「医師の偏在」という言葉は、どの都道府県の保健医療計画でも、一度は目にする言葉だと思います。

 

あくまでも私の印象ですが、東京都などの首都圏から離れるほど、深刻度が増加していく傾向にあるのではないでしょうか。

 

「全国的にみれば、平成34年頃に、医師の需要と供給は均衡する」という推計値もここ最近、よく目にしますが、今の医学部定員のままだと、卒業しても職に就けない医師が出てくる、ということなのでしょう。

 

私のような看護師もそうですが、全国的に「人手不足」と言われる職業は、資格さえ取得してしまえば、日本全国、どこに行っても職にあぶれることは予測していなかったと思います。しかし、「需要と供給が均衡」し、「医師の偏在」が続くようであれば、いずれ首都圏の医療機関での「医師募集」が、ごく限られたものになる可能性もあるわけです。

 

看護師は、生涯現役看護師を続けない人もいるので(私もそうですけど)、いわゆる潜在看護師が問題となっています。しかしその一方で、実質的に「看護師不足」な病院があるので、やはり日本全国どこへ行っても、看護師として働くことは出来そうです。ただしその裏には「本当にその仕事をしたいと思うかは別」という側面もあります。

 

医師の世界では、こういった側面は無いと思っていましたが、あと数年後には、「本当にその仕事をしたいと思うかは別」という医師も、多く出てくることでしょう。臨床医では無く研究者になる医師、フリーランスの医師も増えてくるかもしれません(これは規制が入るようですが)。

 

医師の世界にも、大きな変革が起きようとしているのかもしれません。

 

この記事をかいた人


紅 花子

正看護師歴10年、IT技術者歴10年という少し変わった経歴をもつ。現在は当研究所所属ライターとして、保健医療福祉分野におけるライティング業を生業としている。この分野であれば、ニュース記事の執筆・疾患啓発・取材・書籍執筆・コンテンツ企画など、とりあえずは何でも受ける。東京都在住の40代、2児の母でもある。好きなマンガは「ブラック・ジャック」。

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