【医療ニュースPickUp 2015年11月16日】 調剤薬局における患者対応の実態調査 ジェネリック薬品への切り替えは?
2015年11月13日、厚生労働省は、ジェネリック医薬品の調剤を中心とした「薬局における患者対応等に対する実態調査」の結果を公表した。この調査結果は、平成 27 年4月 13 日~5月 25 日にかけて行われた、ヒアリング調査の結果をまとめたもの。
患者自身がどのジェネリック薬品を購入するのか選択できるように
厚生労働省が今回、この調査を行った背景には、ジェネリック医薬品の使用が促進されている反面、先発医薬品からジェネリック医薬品への切替えに当たっては、その決定要因が「薬価負担の軽減」という患者側の経済的な効果であることがあげられる。
現在の日本では、医療分野においても「良いものを安く」という、消費者としての意識変化が起きている一方で、実際に医薬品を販売する「薬局」には、患者が円滑に医薬品を選択できるような、きめ細かなサポートが求められている。
実際、厚生労働省への「国民の皆様の声」には、
- 薬局でジェネリック医薬品を強制的に勧められるのは、おかしいのではないか、患者 の意見を聞いてほしい
- 薬局で先発医薬品とジェネリック医薬品の選択をさせられるが、どのように選択したらいいのか分からない
- ジェネリック医薬品の効能は先発品と同じかどうか知りたい
などの声が寄せられているという。
こういった状況を踏まえ、厚生労働省は「ジェネリック医薬品の調剤に積極的な薬局における患者対応等」について、ヒアリング調査を行い、医薬品の円滑な切替えや、患者ニーズに的確に対応するための各薬局の取組を、他の薬局などへの参考情報として報告したという。
実際のヒアリング調査の結果からは、調剤の各段階における調査先薬局の取組として、次のような状況が見えてきた。
- ジェネリック医薬品の評価と採用
- 調剤時における患者対応
- 服用後のアフターフォロー
これらの各段階の中で、今回調査対象となった調剤薬局では、ジェネリック薬品の採用には、独自の調査により、各ジェネリック薬品の効果の確認や、先発薬品との比較を行い、薬剤師だけではなく、患者に対しても理解できるような資料を作成していることが分かった。
さらに、さまざまな情報を元に、患者自身が「どのジェネリック薬品を購入するのか」を、自ら選択できるようなサポートも行っていることが分かった。
また、実際に処方を行った医師に対してのフォードバックを行い、万一、患者に体調変化等が生じた場合は、同意を得た後、処方医へ情報提供する、という取り組みを行っていることが分かった。
参考資料
厚生労働省 薬局における患者対応等に関する調査-ジェネリッ医薬品の調剤を中心として-
http://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol20/dl/after-service-vol20_houkoku.pdf
同上 薬局における患者対応等に関する調査(概要)
http://www.mhlw.go.jp/iken/after-service-vol20/dl/after-service-vol20_gaiyou.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
ここ数年、もう10年近くになるでしょうか、どこの医療機関を受診しても「お薬は院外の薬局へ」と言われることが、本当に多くなりました。
薬局が院外になった=患者の状態や既往歴が分からないという理由からか、まずは「問診票」を書かなくてはなりません。
新しい調剤薬局では、それなりに時間もかかりますし、面倒だなぁと思う時は、「かかりつけ薬局」にFAXで送ってもらい、予め薬品の準備をお願いすることもあります。
特に子供のお薬の場合、お薬手帳と同じ内容が、調剤薬局のカルテには記載されていますので、初めていく医療機関で処方されるお薬でも、そこそこ安心できます。
薬剤師さんと顔見知りですし、予め電話もしておくと、アレ?と思ったことは、私が薬局に着くよりも前に、医師へ確認の電話をしてくれていることもあります。普段取り扱っていないお薬でも、取り寄せてくれることもありますので、かなり便利に使わせて頂いています。
今回の厚労省の調査では、薬局=薬の処方をするだけ、という場所ではないことが分かりました。患者さんからの健康相談にのったり、在宅療養中の患者さんなら自宅まで訪問して服薬状況や体調のモニタリングをしたり、中には「市民講座」を開催する薬局もあるようです。
大都市の中心部などでは、物理的な規模が小さいので難しいかもしれませんが、地方でそれなりに大きな土地を確保できるのであれば、こういった「医師よりは気軽に相談できる人」というのも、必要なのかもしれません
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