【医療ニュースPickUp】2015年2月19日
医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。
厚生労働省から使用上の注意の改訂指示 メマリーなど4薬品
2015年2月17日、厚生労働省は気管支喘息薬とアレルギー性鼻炎治療薬である「モンテルカストナトリウム(製品名:シングレア、キプレス)、およびメマンチン塩酸薬(製品名:メマリー)など4薬品に対し、使用上の注意に対する改訂を指示した。医薬品医療機器総合機構(PMDA)に、改訂情報が記載されている。
今回指示対象となったのは、以下の4薬品。
【モンテルカストナトリウム】
製品名:シングレア錠、キプレス錠など(気管支喘息薬、アレルギー性鼻炎治療薬)
改定の概要は、「重大な副作用」の項に「血小板減少」を追記すること。
直近3年度の国内副作用症例の集積状況として、血小板減少関連症例が3例あり、うち、因果関係が否定できない症例が2例確認されたため。
死亡例はないが、専門委員の意見も踏まえた調査の結果、改訂が適切と判断された。
【メマンチン塩酸塩】
製品名:メマリー錠など(中等度および高度アルツハイマー型認知症における進行抑制薬)
改訂の概要は、「重大な副作用」の項に「肝機能障害、黄疸」を追記すること。直近3年度の国内副作用症例の集積状況として、肝機能障害、黄疸関連症例が9例、うち、因果関係が否定できない症例が3例確認されたため。
さらに因果関係が否定できない症例1例を含む、2例の死亡例も確認されている。
【アピキサバン】
製品名:エリキュース錠(非弁膜性心房細動患者における虚血性脳血管疾患および全身性塞栓症の発症抑制薬)
改訂の概要は、「重大な副作用」の項に「間質性肺疾患」を追記すること。直近3年度の国内副作用症例の集積状況として、間質性肺炎例が23例、うち、因果関係が否定できない症例が7例確認されたため。
さらに因果関係が否定できない症例は無いが、6例の死亡例も確認されている。
ここで注意したいのが「間質性肺炎」ではなく「間質性肺疾患」となっている点。
当初は「間質性肺炎」として注意喚起を追記するよう検討していたが、血痰など出血を含む症例も報告されていることなどから、肺炎に限定しない「間質性肺疾患」とすることが適切と判断された。
【テラプレビル】
製品名:テラビック錠(C型慢性肝炎患者に対するウイルス血症の改善など)
改訂の概要は、「用法・用量に関連する使用上の注意」の項に、「本剤による腎機能障害の発現リスクが高くなる恐れがある場合は、開始容量の減量を考慮する」を追記すること。
直近3年度の国内副作用症例の報告はないが、使用成績調査の中間解析において、本剤投与時の重篤な腎機能障害の発現リスク因子が、加齢、投与前クレアチニンの増加、糖尿病合併、高血圧症合併などであることが示唆されたため。
これらのリスクを抱える患者に対しては、初回投与量を減量することが適切と判断された。
参考資料
m3 シングレアとキプレスに改訂指示
https://www.m3.com/clinical/news/295580
同上 エリキュースに重大副作用を追加
https://www.m3.com/clinical/news/295579
PMDA モンテルカストナトリウムの「使用上の注意」の改訂について
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20150217frepno3.pdf
同上 メマンチン塩酸塩の「使用上の注意」の改訂について
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20150217frepno1.pdf
同上 アピキサバンの「使用上の注意」の改訂について
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20150217frepno2.pdf
同上 テラプレビルの「使用上の注意」の改訂について
http://www.info.pmda.go.jp/kaitei/file/20150217frepno4.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
今回、使用上の注意の改訂の対象となった4薬品のうち、特にメマリー®とシングレア®・キプレス®を処方している医師はそれなりに多いと思います。
メマリーは「12年ぶりのアルツハイマー治療薬!」として有名になりましたし、実際にそれ以前は唯一ともいえる認知症治療薬のアリセプト®とは、作用機序が違うので併用する医師も多いでしょう。
ただ、メマリー®の場合、そもそも「高度肝機能障害がある人は飲めない」と言われていました。高度肝機能障害の患者さんを、承認前の治験でも対象から外していたので安全性が確立されていなかったためです。
シングレア®やキプレス®は、うちの子どもも時々服用しています。特に上の子は、軽い方ですがスギ花粉症があり、今頃から初夏まで鼻がぐずぐずいっているので、毎年のようにチュアブル錠を処方されています。
取りあえず今のところ「血が止まらない」とかの症状は無いようですが、処方されるのが小児科ですし、血液検査を頻回に行うところではないので、実際がどうなのかは分かりません。ちょっと怖いかな?と思ったりもしています。
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