【医療ニュースPickUp 2017年6月15日】医療法における広告規制改正案、参議院本会議で可決・成立
2017年6月7日、認定医療法人制度の期間延長などを柱とする「医療法等の一部を改正する法律案」が参議院本会議で可決・成立した。今回の医療法改正案の中には、「医療機関のウェブサイトなどでの虚偽・誇大な広告の規制見直し」も盛り込まれている。
従来の医療法でも、広告可能な事項として、限定的に認められた13項目(医師名、診療科名、名称や所在地など)が挙げられているが、インターネットのホームページは、これまで患者に必要な情報提供・広報として扱われ、広告とはみなされていなかった。
今回の改正案は、ホームページも広告の規制対象に加えるもので、美容医療サービスに関する消費者トラブルの相談件数の増加等を踏まえ、医療機関のウェブサイト等を適正化するため、虚偽または誇大等の不適切な内容を禁止することが、目的の一つとなっている。
今回の医療法改正で規制される内容には、以下のような事柄がある。
(1)内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの
(2)他との比較などにより自らの優良性を示そうとするもの
(3)内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合がよい情報などの過度な強調
(4)早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調
(5)科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民患者の不安を過度にあおるなどして医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの
(6)公序良俗に反する者
(7)医師法以外の法令で禁止されているもの
具体的には、
- 加工・修正した術前術後の写真掲載
- 根拠のない「絶対安全」「○%の満足度」などの表記
- 「当院は県内一の医師数を誇ります」「ナンバーワンクリニック」といった他との比較
- 「著名人が推薦」といった表現
- 費用の安さを過度に強調・誇張する
- 「こんな症状が出ていたら命にかかわりますので今すぐ受診してください」とリスクを過度に強調する
- 「この手術は効果が高くおすすめです」などと特定の治療の有効性を強調して誘導する
などが挙げられる。
参考資料
厚生労働省 広告規制見直しの概要
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/dl/gaiyo.pdf
厚生労働省 医療機関ホームページガイドライン
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/kokokukisei/dl/hp_guideline.pdf
厚生労働省 医療広告ガイドラインに関するQ&A
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kokokukisei/qa.html
衆議院 第193回国会 医療法等の一部を改正する法律案
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g19305057.htm
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
昨年あたりから、にわかに話題に上ることが多くなった、医療機関のWebサイトに対する広告規制。今年度の春から、厚生労働省主導による「ネットパトロール」が始まったことは、ご存知かと思います。
ただ、実際に「○○のサイトが指導を受けた」などのニュースは、メディアで取り上げられていないので、分かりにくいですよね。
しかし、今回の「医療法改正」では、「罰則がある」ことも明記されていますので、今後はある程度ニュースとしてメディアに取り上げられることが出てくるかもしれません。
つい先日、厚生労働省の「医療機関ホームページガイドライン」をじっくり読んでみましたが、かなり細かく「やってはダメなこと」が書かれています。さらに「医療広告ガイドラインに関するQ&A」では、実際に「こうやって書くのは良いけど、これを書いたらダメ」と、より細かく明示されています。
実際に現在公開されている美容外科クリニック等のWebサイトと見比べると、かなりの部分で「ダメ」とされている内容が、記載されていることに気付くのではないでしょうか。あくまでも私見ですが「じゃあ、何をWebサイトに書けば良いのか」と、頭を抱えている美容外科クリニックの関係者の方も、いらっしゃるのではないかと思います。
今や、クリニックのWebサイトは、集患には欠かせないツールとなっています。ネットパトロールが今後、どのような影響を及ぼしていくのか。動向に注目していきたいと思います。
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