【医療ニュースPickUp 2017年8月10日】認知症看護認定看護師が1,000人突破。21分野1万8,728人に
8月7日、日本看護師協会(以下、日看協)が「第25回認定看護師認定審査」を行った結果、新たに1,478人の認定看護師が誕生した。これで、全国の認定看護師は、全21分野で合計18,728人となった。
中でも日看協が注目したのは、認知症看護認定看護師が1,000人を超えた(1,003人)ことだ。認知症看護認定看護師とは、認知症に関する専門的な知識や技術を持ち、認知症の人とその家族に対するケアや知識の普及などにおいて、専門性を生かしていくことが期待されている。
認定看護師は、年々高度化・専門化する医療において、特定の看護分野について、水準の高い看護を実践できると認められた看護師である。
看護師として5年以上の経験と、615時間以上の認定看護師の教育基準カリキュラムを履修後、審査に合格しなければならない。21の認定看護分野のうち、今回認定者数が多かったのは「緩和ケア」「感染管理」「認知症看護」の分野だ。認定看護師は医療現場において、熟練した看護の実践、看護職への指導、コンサルテーション(相談)の3つの役割を果たすことがその役割とされている。
認定看護師が働く場所としては、「病院」が最も多く、90%を占め、次いで「訪問看護ステーション」「クリニック・診療所」の順となっている。認定看護師が所属する病院の規模を見ると、最も多いのは、「300から399床」の病院。5年前からみると、20床以上~200床未満の病院に所属する認定看護師数が2倍以上に増加しており、小~中規模の病院において、認定看護師数が増加している。
また、「訪問看護ステーション」「クリニック・診療所」「介護保険施設等」で働く認知症認定看護師数も、5年前と比べて2倍以上増加した。
特に訪問看護ステーションは、認定看護師数の増加が著しい。その内訳を分野別に見ると、最も多いのは「訪問看護」(365人)で、次いで「緩和ケア」(145人)、「皮膚・排泄ケア」(41人)となっている。
少子高齢化の進展にともない、認知症の高齢者は今後、爆発的に増加することが予測されており、認知症に対する適切な医療と介護を提供する体制づくりは、待ったなしの状態と言える。今後、認知症看護に限らず、介護にかかわる認定看護師の必要性は、ますます高まっていくであろう。
参考資料
公益社団法人 日本看護協会 広報部 ニュースリリース
認定看護師 21分野1万8,728人に 認知症看護分野1,000人突破 広がる活躍の場
http://www.nurse.or.jp/up_pdf/20170807170040_f.pdf
同上 専門看護師・認定看護師・認定看護管理者
http://nintei.nurse.or.jp/nursing/qualification/cn
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
今回は、看護師に関するニュースを取り上げてみました。
先月から、当サイトでは看護師向けの保健医療計画に関するコラムをスタートさせましたが、やはりどこの自治体でも「高齢化」「高齢化による介護の需要急増」「在宅療養のための訪問看護師の確保」などを、喫緊の課題として挙げているところが多いようです。
そんな中、看護師の中の看護師、超プロの看護師が増えるというのは、朗報と考えて良いのだと思います。特に、在宅医療に関する知識とスキルを持つ看護師は、どこの自治体でも「喉から手が出るほど欲しい人材」と言えるのかもしれません。
私事ですが、数年前に自分自身の家族を自宅で看取ったことがあります。その頃はすでにライターの仕事をしていましたので、在宅看護(介護)はその道のプロにお願いしました。
数人の看護師が日替わりで訪問してくれましたが、その中で「認定看護師」だった方は、多分1人だったように記憶しています。他の看護師はみな、その方の指示(もっと大元には医師の指示ですが)で動いていたように思いますが、やはり家族の方からみても、「頼れる」という印象が、違うものだなと漠然と考えながら見ていました。
家族との接し方、家族への指導の仕方、実際のケアのスムーズさ、医師との連携のスムーズさなど、「見る人が見れば違いは一目瞭然」だったと思います。
在宅看護を仕事としている看護師からすれば、何人もいる患者のうちの1人に過ぎないと思いますが、家族からすれば「看ている人は一人であって、大事な家族」なわけですから、患者さんの背景や家族のことも考えて「看てくれる看護師」が増えることを、期待しています。
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