【医療ニュースPickUp 2016年4月16日】「先進医療を受けられる医療機関」を公表 厚生労働省
2016年4月15日、厚生労働省は「先進医療」を実施することが出来る医療機関の要件と、実際に受診可能な医療機関の一覧を公表した。
現在、日本国内では117種の先進医療が認められている
そもそも、先進医療とは保険診療外の医療機器や薬剤を使用する検査・治療のことを指し、現在は「先進医療A」と「先進医療B」に分類されている。
【先進医療A】
- 未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術
- 未承認、適応外の体外診断薬の使用を伴う医療技術等であって当該検査薬等の使用による人体への影響が極めて小さいもの
【先進医療B】
- 未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴う医療技術
- 未承認、適応外の医薬品、医療機器の使用を伴わない医療技術であって、当該医療技術の安全性、有効性等に鑑み、その実施に係り、実施環境、技術の効果等について特に重点的な観察・評価を要するものと判断されるもの
日本国内では、平成28年3月1日現在で、117種類の先進医療が認められている。
厚生労働省が公表している資料には、先進医療の名称、適応となる疾患、施設基準などが詳細に記述されている。例えば「陽子線治療」と「重粒子線治療」では、施設基準は同様であるが、適応となる疾患をみると、陽子線治療には重粒子線治療にはない「脳腫瘍」「骨軟部腫瘍」が記されているなどの違いがある。
尚、平成28年4月1日現在では、第2項先進医療技術 【先進医療A】は40種類(848件)、第3項先進医療技術 【先進医療B】は57種類(701件)となっている。
一方で、先進医療技術の中には全国で1医療機関しか実施されていないものもあり、例えば「高周波切除器を用いた子宮腺筋症核出術」は茨城県、「自己腫瘍・組織及び樹状細胞を用いた活性化自己リンパ球移入療法」は岡山県の医療機関それぞれ1施設しか実施していない。
参考資料
厚生労働省
厚生労働省 先進医療を実施している医療機関の一覧
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html
同上 当該技術を実施可能とする医療機関の要件一覧
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan01.html
同上 先進医療の各技術の概要
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan03.html
同上 先進医療の概要について
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/index.html
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
実際に「先進医療を受けることができる医療機関」の一覧をみると、やはり大学の付属病院や、都道府県立のがんセンターなどが、圧倒的に多いようです。
しかし、「全国で1ヵ所だけ」という先進医療もいくつかあります。これを受けたい場合は、高額となる医療費のほかにも、患者さん本人と家族などの滞在費がかかりますし、その間の収入も一時的にストップするわけですから、やはり「先進医療=お金がかかる」というイメージはあります。
今回の資料は厚生労働省が公表しているものですから、患者さんなど一般の方も目にすることが出来ます。しかし、いくら情報化社会になったとはいえ、「自分にとって効果がありそうな治療法はどれか」を、患者さん自身が選択することは難しいと思いますし、例えば自分の主治医からどこまで説明が受けられるのか、実際にその治療を受けるための準備(資金面とか)ができるのかなど、まだまだ不公平感はあるように思います。
そんな中でも、「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」という手術を受けることができる医療機関は、500近くもあるようです。多い順に数えていくと、東京都56、大阪府51、神奈川県41、兵庫県39、愛知県36、となりました。
やはり、人口の多い地域に医療機関が集中するようですが、おおよそ全国の各地方には必ず1ヵ所以上の医療機関があるようです。大学の付属病院や、●●医療センターなど比較的大きな医療機関もありますが、中には明らかに「クリニック」と思われる医療機関名もあります。
むしろ、その方が多いような印象があります。これだけ多くの医療機関で対応できる治療法であるにも関わらず、なぜ「先進医療」という位置づけなのか、ちょっとした疑問が残りました。
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