【医療ニュースPickUp】2014年12月10日
医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。
癌の種類ごとに病院検索を行えるシステムが本格稼働 国立がん研究センター
2014年12月9日、国立がん研究センター(理事長:堀田知光、所在地:東京都中央区、略称:国がん))がん対策情報センター(センター長:若尾文彦)は、全国のがん診療連携拠点病院(以下、「拠点病院」)407施設で2009年から2012年までに院内がん登録された診療情報のデータベースを構築し、各種の条件で施設別に症例数を検索できるシステムを開発したと発表した。
同日より、各都道府県のがん拠点病院内になる「がん相談支援センター」にて本格稼働させ、患者からの相談に応じて、希望するエリアで自分と同じ癌の診療実績がある医療機関を紹介できるという。
このシステムでは、患者などの要望に合わせ、性別・年齢階級・原発部位・組織型・地域などの条件に合致する症例の、がん登録件数を施設別に検索し情報提供する。
検索対象となるデータベースは、拠点病院407施設において、2009年から2012年までに院内がん登録された診療情報、約220万症例分を元に作成されている。希少がん(骨肉腫、脂肪肉腫、成人T細胞白血病、乳房パジェット病、横紋筋肉腫、血管肉腫、平滑筋肉腫、上咽頭がん、喉頭がん、胸膜中皮腫、皮膚悪性黒色腫など)を含めた、ほぼ全てのがん種を対象に検索できるという。
但し、このシステムで行うのは、あくまで患者・家族・主治医への情報提供のみ。患者側からの要望があれば該当する相談支援センターへのつなぎは行うが、全国のがん診療連携拠点病院のデータを基にするため、それ以外の医療機関は検索ができない。
また、診療実績の件数が多ければ良いというわけではなく、あくまで過去の登録件数によるものであることに注意が必要だ。
希少癌への対応としてはこれまでも、2014年6月に国立がん研究センター病院内に「希少がん研究センター」を設置また、国立がん研究センター病院への通院が難しい患者向けに、同年7月から希少がんホットラインを開設し、患者への情報提供を行ってきた。
今回のシステムの本格稼働により、全国にいる希少がん患者に、平等な情報提供が行える仕組みが出来たといえよう。
希少癌に悩む患者は、全国的にみても確かに少ない。
しかしだからこそ、より正確な情報を求めているのではないだろうか。このシステムにより、癌治療難民となる患者が減ることを期待したい。
【都道府県がん診療連携拠点病院】
46施設および、がん研究センター関連2病院
北海道がんセンター
青森県立中央病院
岩手医科大学附属病院
宮城県立がんセンター
東北大学病院
山形県立中央病院
福島県立医科大学附属病院
茨城県立中央病院・茨城県地域がんセンター
栃木県立がんセンター
群馬大学医学部附属病院
埼玉県立がんセンター
千葉県がんセンター
東京都立駒込病院
がん研究会有明病院
神奈川県立がんセンター
新潟県立がんセンター新潟病院
富山県立中央病院
金沢大学附属病院
福井県立病院
山梨県立中央病院
信州大学医学部附属病院
岐阜大学医学部附属病院
静岡県立静岡がんセンター
愛知県がんセンター中央病院
滋賀県立成人病センター
京都府立医科大学附属病院
京都大学医学部附属病院
大阪府立成人病センター
兵庫県立がんセンター
奈良県立医科大学附属病院
和歌山県立医科大学附属病院
島根大学医学部附属病院
岡山大学病院
広島大学病院
山口大学医学部附属病院
香川大学医学部附属病院
徳島大学病院
四国がんセンター
高知大学医学部附属病院
九州がんセンター
九州大学病院
佐賀大学医学部附属病院
熊本大学医学部附属病院
大分大学医学部附属病院
宮崎大学医学部附属病院
鹿児島大学病院
国立がん研究センター中央病院
国立がん研究センター東病院
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