【医療ニュースPickUp 2015年10月14日】 川本産業 医療用滅菌ガーゼなどを自主回収
2015年10月13日、川本産業株式会社(本社:大阪)は、工場の滅菌工程に不備があることが判明したことから、該当する滅菌工程の対象製品を、自主回収することを発表した。
自主回収対象商品数は8300点!
「滅菌工程の不具合」については公表されていないが、川本産業は「万全を期するため、当該滅菌工程の対象製品を自主回収することになりました。つきましては、別紙にお示しする回収対象製品がございましたら直ちにご使用を中止して頂きますようお願いいたします。」と呼びかけている。
今回、自主回収の対象となっているのは、医療用の滅菌ガーゼなど、およそ8300点余り。
一例を挙げると
- 滅菌デクーゼガーゼ
- 滅菌ラップスポンジ
- 滅菌タンポンガーゼ
- 滅菌ツッペル
- アンギオ用処置セット
- 手術パック
- 麻酔セット
- 眼科パック
- 透析セット
- 滅菌ドレープ
などであるが、川本産業では、ガーゼ類などはさまざまなサイズを扱っている上、セット化している枚数により、管理している商品番号が異なっている。また、医療機関ごとにセット内容が変わるものも扱っており、例えば手術パックや滅菌ドレープなど、医療機関の名称がつけられているものも多く扱っている。このため、対象となる製品数が8300点余りと、膨大になっている。
これらをすべて、自主回収するため、その費用は膨大になると予測されるが、川本産業は業績への影響を現在調査中であり、確定次第公表するとしている。
川本産業はさらに、医療機関などに対し、注意を呼びかけるとともに、14日付で「自社製品の出荷停止」も公表している。当該不備の是正および自社工場の生産工程見直しのため、関連する製品の出荷を停止した。
参考資料
川本産業株式会社 当社製品の自主回収について
http://www.kawamoto-sangyo.co.jp/wp-content/uploads/2015/10/c971c7888d983f0e96231feb686bbe72.pdf
同上 別紙)回収対象製品一覧
http://www.kawamoto-sangyo.co.jp/wp-content/uploads/2015/10/134934f7de992af1f5a084f515812af9.pdf
同上 当社製品の出荷停止について
http://www.kawamoto-sangyo.co.jp/wp-content/uploads/2015/10/d9863a1b59ce41b819a75b0b8a844324.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
川本産業といえば、滅菌ガーゼやドレープキットなどで、なじみのある医療機関も多いのではないでしょうか。他社の調査データによると(少し古いデータですが)、キット参入メーカーのシェアとしては、13%くらいは占めているようです。キット製品ではなくても、滅菌ガーゼやドレープ類など、医療機関の要望に応じて製品化してきたと考えられます。
実際、本日以降は出荷停止およびすでに出荷済のものを自主回収となると、医療機関によっては、通常の診療業務が行えなくなるところも、あるかもしれません。全国の医療機関においても、かなりの痛手になることは、容易に想像できます。
「自主回収」が公表された翌朝には、株価にもかなりの影響が出ているようです。
私自身は現在、医療機関に勤務している訳ではありませんが、例えば手術室で、ドレープ類が無くなるとか、ガーゼの単品がなくなるとか、考えるだけでもぞっとします。
当分の間、医療現場で「カワモト」のロゴを見ることは無くなりそうですが、少なくてもこれまで利用してきた医療機関にとっては、一日も早く、「カワモト」製品が復活してくれることを望んでいるのではないでしょうか。
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