【医療ニュースPickUp 2015年7月16日】 植込み型医療機器指針 総務省がパブリックコメント募集中
2015年7月3日、総務省は、携帯電話などの電波利用機器がペースメーカーなどの植込み型医療機器に及ぼす影響を防止するための指針の改訂案を取りまとめ、パブリックコメントの募集を始めたことを公表した。
パブリックコメントの受け付けは8月3日まで
総務省では、平成12年度から毎年度、携帯電話などの電波による植込み型医療機器等への影響に関する調査を、実施している。その結果に基づき「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」(以下、指針)を取りまとめている。
今般、同様の調査を実施し、その結果に基づき、指針の改訂案を取りまとめた。今回のパブリックコメントは、この改定案に対する意見を広く募集するというもの。
調査の対象となった植込み型医療機器は以下の通り。
- 植込み型医療機器:脳深部刺激装置、脊髄刺激装置、仙骨神経刺激装置、迷走神経刺激装置、 植込み型輸液ポンプ、植込み型心電用データレコーダ
- 装着型医療機器:補助人工心臓駆動装置、ポータブルインスリン用輸液ポンプ、 携帯型輸液ポンプ
これらの医療機器に対する調査を行ったところ、次のようなことが分かったという。
- 対象とした植込み型医療機器(本体)については、医療機器の電磁的耐性の国際規格(ペースメーカ・除細動器と同じ国際規格)に基づき、15cm 程度の離隔距離をとることで影響の防止が可能
- 対象とした装着型医療機器については、実測調査では大きな影響は確認されなかったものの、全ての機種について網羅的に調査が行われたものではなかったため、国際規格上の要求事項に鑑みれば約 1m 以下の離隔距離で影響を受ける可能性が残っている
いずれの医療機器においても「携帯電話等の利用者に対しては、従前の植込み型医療機器指針と同様の 対応を求めることとする」となっている。つまり、調査結果の如何に関わらず、「携帯電話は電子医療機器には近づけない」ことが望ましい、という結果だ。
これらを受けて作成された指針の改定案には、携帯電話の使用についての項目が明記されている。
パブリックコメントの受け付けは8月3日まで。指針の改定案は総務省のホームページから参照できる。
参考資料
総務省「各種電波利用機器の電波が植込み型医療機器へ及ぼす影響を防止するための指針」の改訂案に対する意見募集」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban16_02000096.html
同上 平成26年度 「電波の医療機器等への影響に関する調査」影響測定結果概要
http://www.soumu.go.jp/main_content/000366888.pdf
同上 「平成 26 年度電波の医療機器への影響に関する調査」を受けた
指針の改訂に当たっての論点整理
http://www.soumu.go.jp/main_content/000366889.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
平成12年から続いているというこの調査ですが、時代の流れとともに、携帯電話の方式も変わり、色々な影響が出てくることも増えたのでしょうか。
これまでの指針の中では「ペースメーカー等」であったものが、「心臓ペースメーカ、除細動す器等」という表記に変わっています。また。それまでは無かった「携帯電話による影響があるため、これらの医療機器からは15㎝以上離れること」などといった内容が追加されるようです。
現在は、どこにいってもスマートフォンをいじっている人がいます。電車の中だろうが店の中だろうが、病院の待合室だろうが、お構いなくです。私自身はペースメーカーとは無縁なのですが、実際にペースメーカーを使用している人から見れば、恐怖にしかなりませんよね。こういった風潮は、もう少しなんとかならないものかと、ついつい考えてしまいます。
この記事をかいた人
医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします
ツイート