【医療ニュースPickUp】2015年2月13日
医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。
指定難病に41疾患追加 厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会
2015年2月4日、第7回 厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会が開催され、今夏から医療費助成を開始する指定難病の第二次実施分についての検討が行われた。
検討の結果、先天性ミオパチー、筋ジストロフィー、アトピー性脊髄炎など、41の疾患の追加が承認された。
◎41疾患名
1 先天性ミオパチー
2 マリネスコ・シェーグレン症候群
3 筋ジストロフィー
4 非ジストロフィー性ミオトニー症候群
5 周期性四肢麻痺
6 アトピー性脊髄炎
7 脊髄空洞症
8 顕在性二分脊椎
9 アイザックス症候群
10 遺伝性ジストニア
11 神経フェリチン症
12 脳表ヘモシデリン沈着症
13 禿頭と変形性脊椎症を伴う劣性遺伝性白質脳症
14 皮質下梗塞と白質脳症を伴う常染色体性優性脳動脈症
15 神経軸索スフェロイド形成を伴う遺伝性びまん性白質脳症
16 前頭側頭葉変性症
17 ビッカースタッフ型脳幹脳炎
18 けいれん重積型(二相性)急性脳症
19 先天性無痛症
20 アレキサンダー病
21 先天性核上性球麻痺
22 メビウス症候群
23 中隔視神経形成異常症(ドモルシア(De Morsier)症候群)
24 アイカルディ症候群
25 片側巨脳症
26 限局性皮質異形成
27 神経細胞移動異常症
28 先天性大脳白質形成不全症
29 ドラベ症候群
30 海馬硬化を伴う内側側頭葉てんかん
31 ミオクロニー欠神てんかん
32 ミオクロニー脱力発作を伴うてんかん
33 レノックス・ガストー症候群および関連脳症
34 片側けいれん片麻痺てんかん症候群
35 環状20番染色体症候群
36 ラスムッセン症候群
37 PCDH19関連症候群
38 難治頻回部分発作重積型急性脳炎
39 徐波睡眠期持続性棘徐波を示すてんかん性脳症および関連症候群
40 レット症候群
41 スタージー・ウェーバー症候群
2015年1月現在の指定難病は、クローン病、サルコイドーシス、シェーグレン症候群などを含む110。第二次実施分の候補としては、他にも610の疾患が上がっており、今後はこれらを210程度まで絞るよう検討が行われる。
指定難病の要件としては、以下の2つが必須となっている。
○患者数が本邦において一定の人数(人口の0.1%程度以下であることを厚生労働省令において規定する予定)に達しないこと
○客観的な診断基準(又はそれに準ずるもの)が確立していること
上記は成人に対する指定難病だが、小児でも11疾患群(514疾患)が指定難病となっている。
しかし小児の場合、助成の対象となるのは18歳未満(引き続き治療が必要であると認められる場合は、20歳未満)の児童までだ。成人になっても引き続き治療が必要とされる疾患でも、成人の対象疾患に含まれていなければ、20歳を過ぎたら助成されない。
その代表例が糖尿病だ。小児の助成対象の中には、1型および2型の糖尿病が含まれている。小児であれば確かに患者数も少なく、指定難病の対象に成り得る。
しかし成人になっても治療は引き続き必要であるにも関わらず、指定難病からは外れてしまう。こういった歪が起こる疾患は、他にもあるだろう。
医療の進歩に伴い、ますます疾患名は細分化されていき、助成の対象となる指定難病も増えてくるだろう。難病に苦しむ患者が、安心して療養生活が送れることを、願ってやまない。
参考資料
薬事日報 【厚科審検討会】指定難病に41疾病追加‐神経疾患や難治性てんかん
http://www.yakuji.co.jp/entry41574.html
厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会(第7回) 資料
第7回指定難病検討委員会において検討する疾病リスト
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000073008.pdf
同上 指定難病の要件について(追記の案)
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000073010.pdf
同上 指定難病(第二次実施分)として検討を行う疾病の一覧
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10601000-Daijinkanboukouseikagakuka-Kouseikagakuka/0000073011.pdf
厚生労働省 小児慢性特定疾患治療研究事業の概要
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/index.html
同上 リーフレット 全体版
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/boshi-hoken05/dl/110804_01.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
このトピックは個人的にですが、前々から疑問に思っていることもあり、それにちょっと触れてみました。
指定難病は、小児と成人と大きく2つあります。小児で指定難病と診断されると、その治療には助成がつきますが、年齢制限は20歳未満です。多くの場合そこまで生きられないとか、大人になるころは改善しているとか何か理由はあるのかと思いますが、年齢でスパンと切るのはどうかと思っています。その代表例が、糖尿病です。
糖尿病は一度罹患すると、完治はありません。特に小児期に発症する1型糖尿病の場合、死ぬまで一生、インスリン注射が必須です。
ですが、助成されるのは20歳未満までで、20歳を過ぎたら普通に医療費がかかります。まぁそれほど高くはないのですが。こういった歪のある疾患は、多分他にもあるのではないかと感じている次第です。
この辺が(難病に対しては深い知識もないので)曖昧というか、お役所仕事というか、一貫性がないというか…。
あくまで個人的意見であるため悪しからず。
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