【医療ニュースPickUp 2015年12月12日】2015年48週の感染流行状況 国立感染症研究所データより
2015年12月8日、国立感染症研究所は「IDWR速報データ 2015年第48週」を公表した。このデータは毎週公表されているが、今回は「11/23~11/29」の速報値となる。
インフルエンザは全国的にみても報告数が少ない
今回公表されたデータのうち「定点把握疾患(週報告)、報告数、定点当たり報告数、都道府県別」によると、全国での報告数および定点あたりの報告数は以下の通り。
- 感染性胃腸炎 20,077(定点あたり 6.42)
- A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 7,353(定点あたり 2.35)
- RSウイルス 6,598(定点あたり データなし)
- 流行性耳下腺炎 2,401(定点あたり 0.77)
- マイコプラズマ肺炎 311(定点あたり 0.66)
- 水痘 2,021(定点あたり 0.65)
- 伝染性紅斑 1,893(定点あたり 0.61)
- 咽頭結膜熱 1,436(定点あたり 0.46)
- 突発性発しん 1,410(定点あたり 0.45
- 手足口病 838(定点あたり 0.27)
- インフルエンザ 831(定点あたり 0.17)
- 感染性胃腸炎(ロタウイルス) 21(定点あたり 0.04)
48週でもっとも報告数が多かったのは、感染性胃腸炎(ロタウイルスを除く)であった。46週の報告数は21,696、47週の報告数は22,494であったため、やや減少傾向にある。
一方、インフルエンザは全国的にみても831と報告数は少ないが、46週が707、47週が919であったためほぼ横ばいだが、45週以前よりは若干増加傾向にある。
RSウイルス感染症は、46週が5,465、47週が6,687、48週が6,598であり、47週以降、横ばいとなっている。
都道府県別にみると、感染性胃腸炎がもっとも多かったのは東京都で1,974、次に大阪府(1,614)、神奈川県(1,488)と、大都市での報告が多くなっている。インフルエンザは、東京都が75ともっとも多かったが、次いで沖縄県(69)、北海道(61)となっている。RSウイルス感染症は、大阪府が724ともっとも多く、次いで北海道(392)、東京都(311)が続いた。
これからの季節、感染性胃腸炎の集団感染や、インフルエンザの流行などが予測されるため、データの動きに注目していきたい。
参考資料
NIID 国立感染症研究所 IDWR速報データ 2015年第48週
http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/239-idwr/data/6117-idwr-sokuho-data-j-1548.html
同上 IDWR速報データ 2015年第47週
http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/239-idwr/data/6099-idwr-sokuho-data-j-1547.html
同上 IDWR速報データ 2015年第46週
http://www.nih.go.jp/niid/ja/allarticles/surveillance/239-idwr/data/6092-idwr-sokuho-data-j-1546.html
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
研修医の「うつ」って、ホントに多いんですね。日本での研究で「4人に1人」というのも驚きました。
11月の最終週のデータから、全国での感染症流行状況をピックアップしてみました。
季節柄なのか、もっとも多かったのは感染性胃腸炎。これからの時期は、忘年会や新年会などが続きますし、子どもたちにはクリスマスのご馳走などもありますので、外食の機会が増えますよね。
出された食事が本当に安全であるかは、消費者には分からないわけですから、場合によっては注意のしようがないこともあります。単純に「気をつけましょう!」というだけではなく、特に飲食店などでは手洗いの徹底など、本当にしっかり行って頂きたい時期です。
以外と少ないと感じたのは、インフルエンザでした。ワクチン接種が浸透してきたからなのかもしれませんが、流行するのはこれから、なのでしょうか。
ところで、今回、報告数が少ないながらも、定点あたりの報告数が多かったので、マイコプラズマ肺炎を入れました。ここ数年、「従来の抗生物質が効かないマイコプラズマ」が増えているようですが、マイコプラズマ肺炎にかかる人って以外と少ないんですね。
「マイコプラズマでした!」と同定されることが少ないから報告数としてもあがってこない、あるいは通年的な感染があるからなのか分かりませんが、週当たりだと全国で500人もいないというのは驚きました。
私の身近には、11月中に「マイコプラズマ肺炎の確定診断」がついた人物が4人いましたので、もっと多いのかと思ったのですが。
私自身もその一人ですが、大人になってから40℃を超える熱発って、本当にきついです。「朦朧とする」状態を、ついうっかり体験してしまいました。子どもたちも辛かったとは思いますが、それでも休めない生活って、今にして思えば結構大変でした。子どもの熱発は侮ってはいけませんね。
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