【医療ニュースPickUp 2015年9月24日】 国立がんセンター 院内がん登録2013年集計報告を公表
2015年8月3日、国立がん研究センターは、全国のがん診療連携拠点病院(409施設)で、2013年の1年間に新たにがんと診断された患者数に対する集計結果を公表した。同センターの「がん対策情報センター」のサイト(http://ganjoho.jp/reg_stat/)でも公開している。
因果関係は否定出来ないと判断
今回公開された集計結果によると、2013年に拠点病院でがんと診断された症例数は629,491例だった。これは、国内のがん全症例のおよそ70%にあたる。2012年の登録数より、およそ39,000例増加している。
男女計でみると、1位:大腸がん(91,530例)、2位:胃がん(75,265例)、3位:肺がん(73,017例)となった。
男女別でみると、男性は、大腸がん(54,601例)、胃がん(52,807例)、前立腺がん(50,257例)、肺がん(50,255例)となっている。女性は1位から順に、乳がん(64,552例)、大腸がん(36,929例)、肺がん(22,762例)、胃がん(22,458例)となった。
男性の部位別症例数をみると、2007年の集計開始以来、初めて大腸がんが胃がんを抜いて1位となった。女性では、乳がんと大腸がんが、胃がんと肺がんの登録数の増加よりも、増加率が高い傾向であった。
詳細な結果をみると、2013年に特徴的なこととして、
- 子宮頸がんが初めて肝臓がんを抜き6位となった(2012年は7位)
- 膵臓が初めて9位となった(2009年から2012年は11位以下)
- これまで10位以内に含まれていた膀胱が11位に下がった
などの事柄が挙がっている。
ただし、この統計結果をみる際には1つの注意点がある。それは「日本の標準的な院内がん登録において、同一部位に発生した新たな腫瘍をどこまで登録対象とするかの判定基準が決まっていない」ことが挙げられるという。
例えば、原発性肝がんについてみると、初発時の腫瘍のみを登録対象とする施設と、2か月を超えて新たに発生した場合は異なる腫瘍とみなし、多重がんとして登録する施設が混在していることである。前者の場合、登録数は実際の患者数に近くなるが、後者の場合は登録数=述べ患者数に近くなるという。
参考資料
国立がん研究センター 全国409のがん診療連携拠点病院における診療実績を集計 院内がん登録2013年集計報告 小児がん拠点病院についても新たに集計開始
http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20150803.html#02
同上 がん診療連携拠点病院 院内がん登録 2013年全国集計 報告書
http://ganjoho.jp/data/reg_stat/statistics/brochure/2013_report.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
国がんの統計データをみると、改めて「がん患者さんの多さ」に驚きます。2012年と比べておよそ4万人も増えた、という背景には、何があるのだろうと考えてみました。高齢化が進んでいることはもちろんですが、他にも、診療技術の進歩で早期発見数が増えた?とか、検診を受ける人が増えたので見つけやすくなった?なども、あるのでしょうか。
私自身は今のところがんとは無縁ですが、親戚の中にはがん闘病中の人もいますので、「がん」自体はありふれた疾患になりつつあるのかもしれません。
実際、知人友人の中には、30代でがんを発症した人もいます。彼らの中には、すでに5年以上が経過している人もいますが、やはり「毎年のがん検診は欠かさない」といいます。一度、大きな恐怖と手術・抗がん剤治療という試練を乗り越えてきているので、色々なことに達観している向きもあります。強いなー、と感じますね。
まだまだ分かっていないこともあるがんですが、一方で遺伝子レベルでの研究も進んでいますし、新しい治療法や薬剤もどんどん産み出されています。がんは克服できる疾患となるのか、その将来に期待したいです。
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